第58回全日本大学野球選手権
法政大 000 000 014=5
富士大 000 010 000=1

東洋大の連覇と、明治神宮大会から継続して全国大会4連覇がなるかが注目された大会だったが、その東洋大は準々決勝で大塚豊(日本ハム)のいた創価大に5―6で敗退。その夢が断たれた。
結局、4強に進出したのは、東京新大学連盟の創価大と北東北連盟の富士大、阪神学生連盟の関西国際大に法政大という顔ぶれになった。東京六大学の法政大を除くと、創価大は6回目のベスト4だが、決勝進出はまだ果たしていない。創部12年目という関西国際大と富士大は、いずれも初めてのベスト4進出というフレッシュな印象を与える大会となった。 また、東海地区連盟代表の東海大海洋学部が、本家とも言うべき東海大を2回戦で下したことも話題になった。このあたりも、大学野球の勢力構図が、地方分散していることを示している大会であったと言ってもいいであろう。

富士大は準々決勝で過去優勝4回、準優勝5回という名門近畿大にサヨナラ勝ち。そして、準決勝では守安玲央が創価大を完封して、決勝進出を果たした。図らずも、決勝の相手は青木久典監督(当時、現法政大監督)の母校法政大との対戦となった。指揮官として、青木監督は母校と決勝でまみえることになったのだ。決勝進出を決めると、青木監督はインタビューの際には、思わず涙にむせぶくらいに感動していた。

そんな富士大を迎え撃つ法政大は二神一人(阪神)と武内久士(広島)という二人の4年生に加えて、3年生の加賀美希昇(横浜DeNA)、2年生で三上朋也(JX−ENEOS→横浜DeNA)、1年生で三嶋一輝(横浜DeNA)というように、各学年に将来プロ入りするような選手がいるという豊富な投手陣でリーグ戦を6季ぶりに制しての選手権出場だった。

大会では2回戦から登場して、初戦は白鷗大を3―0と完封で退け、準々決勝はやや苦戦したが、九州地区代表の日本文理大に4―3。準決勝でも二神が、食い下がる関西国際大打線を2点に抑えて5―2と快勝して貫録の決勝進出だった。

法政大は三上、富士大は守安という先発で始まった決勝は、緊迫の投手戦となった。

富士大は守安が、強打の法政大打線を7回まで1安打に抑えるという好投をみせる。そして5回には主将の夏井大吉がタイムリーを放って先制した。よもや、という展開になってきたが、さすがに法政大は底力があった。8回に何とか同点に追いつくと、9回は無死一二塁という場面で、大八木誠也がバントの構えから、バスターで安打を放ってついに勝ち越す。さらに、中尾孝のタイムリー打などで3点を追加、その裏、粘る富士大を二神が抑え込んで、14年ぶり、8度目の大学日本一に輝いた。 18年春のリーグ優勝以降、4位以下という低迷が続いていた法政大。それだけに、3年ぶりとなった大学選手権では、六大学の覇者としても優勝しなくてはいけないという使命感を持っての登場だった。その任を果たしてホッとしたという様子でもあった。
先発に抑えにと大活躍した二神は、もちろん最高殊勲選手に選ばれ、最優秀投手にも選出された。また、大会通して打ちまくった1年生の多木裕史の好打も特筆ものだった。多木は法政大からトヨタ自動車へ進んで、社会人野球で活躍している。

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手束 仁
愛知県出身。81年に國學院大學卒業後、映画会社、編集プロダクションなどを経てスポーツ作家および、ビジネス実用書等の編集制作者として独立。2012年より、メディアミックスを目指した情報発信会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。主な著書にはスポーツ関連で『プロ野球「もしも」読本』(イースト・プレス)、『「野球」県民性』『流れの正体〜もっと野球が好きになる』、『日本体育大学の底力』、『プロ野球 名言・珍言108選』(日刊スポーツ出版社)などがある。「高校生新聞」の特派記者や「ベースボールドットコム」の取材レポートなども務める。教育史として、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)もある。

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