第57回全日本大学野球選手権
東海大 002 000 210=5
東洋大 021 100 30X=7

1イニングで16点を挙げるという記録的な猛攻撃で東京六大学の覇者明治大を準決勝で下し、2年連続の決勝進出を果たした東海大。今年こそは前年の決勝敗退の悔しさを晴らすとぞ、ばかりの勢いがあった。
また、前年秋から就任した横井人輝監督は、高校野球(東海大菅生)の監督が長かったということもあって、リーグ戦よりもむしろ、大学選手権のようなトーナメント大会の方が戦いなれているのではないかと思われた。

これに対する、東洋大は“戦国東都”といわれている東都大学野球リーグで4季連続優勝を果たし、黄金時代を形成しつつあった。まさに、最も勢いに乗っている状態でもあった。投手陣は豊富で、上野大樹(ロッテ)と2年生の乾真大(日本ハム)、さらには1年生で浦和学院出身の内山拓哉もリーグ戦では3勝を挙げていた。まさに、充実の投手陣を誇っていたのだが、その投手陣を引っ張り、リーダーシップがリーグ戦から光っていたのは、この年主将を務めていた大野奨太(日本ハム)だった。

リーグ全の勢いそのままに初戦、準々決勝を順調に勝ち進んだ東洋大であったが、一転、準決勝では大苦戦となった。東洋大は9回2死まで関西学生連盟の雄・近畿大に2―0と追い込まれながら中倉裕人が同点2ランを放って延長にもつれ込んだ。近畿大エース巽真吾(ソフトバンク)を相手に、11回に中倉がタイムリーを放つも、その裏に再び追いつかれ、もつれにもつれた試合は延長15回になった。そして、三度、中倉が活躍して、決勝打となる右中間三塁打などで2点を加えて、決勝進出を果たした。

そんな東洋大と東海大の一騎打ちとなった決勝戦。投手戦が予想されていたのだが、東洋大は乾、東海大は杉本智大の先発で始まった試合は、前半から点の取り合いの展開となっていった。東洋大は7回に2点リードを追いつかれるがその裏、瀧本聖也の三塁打や柘植宏介のタイムリー打などで3点を奪って試合を決定づけたかに思われた。
しかし、東海大も粘って8回に1点を返すが、最後は抑えとして登場していた上野が東海大打線を封じて、東洋大に22年ぶりの大学日本一をもたらした。

なお、最高殊勲選手には準決勝で当たりまくって、チームを危機から救った中倉が選出され、上野が最優秀投手となった。中倉は、この大会では勝負強い打撃が光っていたが、プロからは指名されず、その後は住友金属鹿島(現新日鐵住金鹿島)に進み、社会人野球の顔となっている。

この年のドラフトでは、大野はそのインサイドワークも含めて評価されて日本ハムの1位指名、巽がソフトバンクの外れ1位(※)指名を受けてプロ入りした。

※ 外れ1位とは、2度の重複指名でいずれもクジで外れたということ。

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手束 仁
愛知県出身。81年に國學院大學卒業後、映画会社、編集プロダクションなどを経てスポーツ作家および、ビジネス実用書等の編集制作者として独立。2012年より、メディアミックスを目指した情報発信会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。主な著書にはスポーツ関連で『プロ野球「もしも」読本』(イースト・プレス)、『「野球」県民性』『流れの正体〜もっと野球が好きになる』、『日本体育大学の底力』、『プロ野球 名言・珍言108選』(日刊スポーツ出版社)などがある。「高校生新聞」の特派記者や「ベースボールドットコム」の取材レポートなども務める。教育史として、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)もある。

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