人間は進化する。それを姿としてこの目に見せてくれるのがスポーツとアートです。アスリートとアーティストは先達に学び自己を磨き後進に伝え、リレーのようにその技術と精魂を進化させてきました。
アスリート×アーティストなフィギュアスケーターの歩みは、ソチ五輪という大舞台が終わっても止まりません!上海ワールド(世界選手権=Worlds)に向け、男子女子シングルの進化する○○をまとめました。

『(出場)枠 』という熱き聖戦が見られる

ISU(国際スケート連盟)主催の選手権には各国選手の成績によって翌年の各国出場選手枠が決まるというアツイシステムがあります(四大陸選手権を除く)。五輪前のシーズンには世界選手権の枠=五輪選手枠となり、一昨年の世界選手権でも、それぞれのスケート界の進化を願い1つでも多くの枠を獲得しようとする勇士コメントが数多く聞かれました。
日本女子は2001年に村主章枝が2枠(1人出場の場合10位以内、2人以上出場の場合上位2名の順位の合計数値が「28」以内)にし、2002年にその村主と恩田美栄で3枠(1人出場の場合2位以内、2人以上出場の場合上位2名の順位の合計数値が「13」以内)にして、以降3枠を誇っています。日本男子は1枠2枠と連綿と培ってきて2007年に髙橋大輔と織田信成で3枠にしてから輝かしい3枠時代が続いています。
演技後のインタビューでは文脈的に取り上げられないので馴染みがないかもしれませんが、日本を含めロシア・アメリカ・カナダ等強豪国の選手達は最大の『3枠』を狙い、個人競技ながらチーム一丸となり進化をかけて臨みます。

トップアスリートの踊りが見られる

フィギュアスケートでしか見られない『トップアスリートの踊り』。世の中にこの真価が伝わっていないと思います。他のスポーツの選手の踊りを想像してみて下さい。あのフィジカルとメンタルで、思い思いの音楽に合わせ、時に楽しげに時に儚げに踊る。歓喜です。
シルク・ドゥ・ソレイユの振付師デボラ・ブラウンの「アスリートが本気出して踊ればダンサーは敵わない」説にも頷けるような、そんな選手が揃ったこの上海ワールド。進化する踊り手を紹介します!

ジェイソン・ブラウン(20、アメリカ男子)は今季から四回転も試合で入れるようになり、着々と鬼に金棒化する全米チャンピオン。
もちろん昨季から、ダンサーがフィギュアスケートをしている感じで、踊りの技量は群を抜いていました。ブラウンの踊りには、所作仕草からリズムの取り方に至るまでくせがありません。ダンサーとしても振付そのものを見せられ、フィギュアスケーターとしてもあらゆる音楽で踊れる、奇特な選手です。
フィギュアスケートは常に氷の上で滑っていて、腰から下の関節がほとんど踊りに使えないため、どうしても上肢と下肢が一体に見えず「上肢+下肢」の踊りに見えてしまう、それがフィギュアスケートの踊りであり宿命(その替わり陸では絶対に見られないムーヴも見られる)。……という見解がブラウンには戯言になってしまうほど、全身のシルエットで魅せる踊りにもなってきています。

ミーシャ・ジー(23、ウズベキスタン男子)ももちろん昨季から、ひとたび演技をすれば必ずお客さんのヒーローになっていました。今季はフリー終盤のステップ2つ(ステップシークエンス、コレオシークエンス)で会場を持っていくスペクタクルをやめ、ステップシークエンスを前半にしバランスよく盛り上げ、同時に得点が1.1倍になる後半のジャンプも増えています。
自身振付の踊りは、一見すると昨季までより手数足数が減り寂しく見えるかもしれません。しかしながら、持ち前の端麗なクラシック(バレエ)ラインをより活かし一挙手一投足に意味を持たせた「リリカルダンス」へと進化しています。フィギュアスケートにはコンテンポラリーダンス(抽象的な体のライン)を取り入れた振付は結構ありますが、リリカルダンスの域に入っているものはなかなかない、それをトリプルアクセルジャンパー(23)が自作自演しているというこの奇跡。特にリリカルダンス色の強いショート『アヴェ・マリア』(with ヒゲ)の奇跡、是非体感して下さい。

ジェレミー・テン(26、カナダ男子)は、映像では分かりにくいのですが関節を時間差で動かすことが出来るため、波打つようなムーヴで魅せます。サッと同時に関節を動かすと体が直線的なラインを描き簡素になってしまうところ、同じテンポが4分半続くフリー『ハレルヤ(Jeff Buckley)』さえ関節を駆使して豊かに描写しています。6年振り2回目の出場となる世界選手権でも「体中の骨や血まで曲に反応するかのような(カナダ選手権インタビューより)」その演技を見せてくれるでしょう。

村上佳菜子(20)のショート+フリー『オペラ座の怪人』。女性(クリスティーヌ)と男性(ファントム)の踊り分けは国民行事的に堪能してほしいです。クリスティーヌの朗らかで優美なムーヴは、体に持ちこたえるパワーがないと見せられない女子力。そして壁ドンなど相手にならない佳菜子ファントムの無類のカッコよさ。トップアスリートならではの強靭なフィジカルとメンタルで、女性らしさと男性らしさを打ち出しています。

トップアスリートの芝居が見られる

イチローが古畑任三郎に出た時、ドキドキしましたね。フィギュアスケートは、そんなドキドキの連続です。
次から次へとトップアスリートが自ら世界を作り出し役に入り込む。演じることが得意な役者肌の選手だけではなくアスリート然とした選手の芝居も、裏打ちされた人生経験や人となりや生き様、まごころに触れることが出来て、全員にときめきます。

今季一味違うのは、ジョシュア・ファリス(20、アメリカ男子)の映画っぽい演技です。
今季から歌詞入りの曲の使用が認められ、ショートのさらけ出し系のロック『Give Me Love』がどハマり。フリーは20歳ながら自らとコーチで振り付けた『シンドラーのリスト』。受け手を意識した舞台演技と言うよりは映像演技的で、魅せると言うより心の内をさらけ出すことで受け手を世界に引き込んでいます。
「人見知りで、ギターを弾いて歌う時は自分を出せる」と語っており、演技でも同様だと思われます。夭折の巨星Jeff Buckleyによるさらけ出しロックの金字塔『Grace』も出来そうな演者が現れました。技術面でも、滑りと踊りのシルエットの美しさや高得点を稼ぐスピンに加え、四回転も鋭意装備中です。

お知らせ

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◆ ISU世界フィギュアスケート選手権 2015
世界最高峰のスケーターたちが、上海に集結!J SPORTS4で、全種目・全滑走を放送!!

  • 4月 1日(水)午後0:00〜 ペア ショートプログラム
  • 4月 2日(木)午後0:00〜 ペア フリースケーティング
  • 4月 3日(金)午後0:00〜 アイスダンス ショートダンス
  • 4月 4日(土)午後4:30〜 アイスダンス フリーダンス
  • 4月 6日(月)午後1:00〜 女子シングル ショートプログラム
  • 4月 7日(火)午後1:00〜 女子シングル フリースケーティング
  • 4月 8日(水)午後0:00〜 男子シングル ショートプログラム
  • 4月 9日(木)午後0:00〜 男子シングル フリースケーティング
  • 4月10日(金)午後0:00〜 エキシビション
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