試合の行方

優勝争いの軸は、昨季世界選手権の銀メダリストでグランプリファイナル王者であるウィーバー/ポジェ組(カナダ)が中心と思われます。四大陸選手権では、SDで3位とコンディション調整に苦しんでいるかに思われましたが、FDの意地の巻き返し。FDでのレベルと加点を積み上げる力が群を抜いています。

しかし、シーズン前半とはまた大きく勢力図が変わっており、伸び盛りすぎるフランスの若きカップル・パパダキス/シゼロン組が遂に欧州王者に。滑らかでシームレスな滑りと、内面から感情がほとばしるような演技力は観衆の心を捉えて離しません。昨年の世界王者であるイタリアのカッペリーニ/ラノッテ組を下しての優勝でした。

一方、カッペリーニ/ラノッテ組はモチベーションとプログラムの構成に苦しみぬいたシーズン前半であり、欧州選手権は大きく改変した、その方向性に自信をつけるため……といった雰囲気が感じられました。ここからベテランである彼らの巻き返しも気になります。

アメリカのチョック/ベイツ組は、四大陸選手権ではコンディションが合いきらない滑りとなりましたが、それでも2位はキープ。華やかなプログラムで、もう一度シーズン前半の勢いを取り戻せるでしょうか。そしてアメリカ勢では、やはり年明けに強すぎるシブタニ組。SDの確実性は抜群であり、FDもどんどん洗練されてきています。強いSDでトップに立てれば、4年ぶりのメダルに手が届きそうです。

実力が未知数なのがロシア組。その才能を加速させつつあるステパノワ/ブキン組が、欧州選手権のメダルに手が届いたことで大輪の才能を花開かせるのか?ロシア王者イリニフ/ジガンシン組が、その情熱と激しい滑りで席巻するのか?しかし、大舞台での経験が浅い彼らが、世界選手権の魔物に打ち克てるのか?台風の目となりそうです。

ファンブルの極端に少ないアイスダンスでは、SDの時点で最終グループ5組に残れるかどうかで勝負は決まってしまいます。今挙げた名前でも既に7組、さらに屈指の強豪組はまだまだいます。実力伯仲、しびれる勝負となりそうです。

隅々まで楽しむために

アイスダンスは五輪開け、ルールが激変したシーズンでした。

まずSDにはパターンダンスの次に続けて、各カップルが自由に構成するホールドステップ「パーシャル・ステップ・シークエンス」が登場。自由とは言いながらも、パターンダンスと同じ位置で決められたキーポイントのステップを踏むこと、シークエンス中は一切離れてはいけない(ホールドチェンジの一瞬でもダメ!)という厳しい制約の中で独創性を表現という、ハードルの高い課題です。

さらにFDでもステップの評価方法が変わり、スタイルAとスタイルBという区別ができました。レベル4の要件の一つとして、これまで6種類の難しいステップ・ターンのうち5種類を成功させなければいけなかったのが、要件の厳しいスタイルAでも各2回までカウントされるうち9つ入れば良いと少し緩和。スタイルBではディフィカルトターン5つ、ホールドチェンジ4回、さらに音楽2小節分の逆行が許されるなどかなり自由度が増し、レベルステップの中にも印象的な振付が増えました。

というわけで、注目したエレメンツを少しご紹介します(四大陸選手権・欧州選手権時点の内容です)。

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