このように4試合を踏まえると、酒井高徳はダイナミックかつアグレッシブな攻め上がりの回数がやや少なかった印象だ。いいタイミングでオーバーラップしても、クロスの精度が低くて得点機につながらないことも多く、内田のような安定感を示せたとは言い切れない。それでも本田が「高徳との関係は日に日によくなっている」と強調したように、右のタテ関係は前進した点も見受けられた。彼らが練習や試合の間にコミュニケーションを取る場面も増えており、もっと時間をかければ、彼が本田を追い越して深い位置までえぐってラストボールを出すような効果的な攻めも増えてきそうだ。

守備面は全体的に合格ラインを超えていたが、相手を防ごうとしてボールの目測を誤りビックチャンスを作られそうになったり、1対1でかわされてゴール前に侵入されるなど、一瞬のミスを犯すシーンは皆無ではなかった。そういう課題の1つ1つを本人がどれくらい厳しく突き詰めていけるか。そこが酒井高徳にとっての大きなテーマと言える。

この4試合を総括すると、現状ではまだ内田の方が上というのが多くの関係者の評価。シャルケという強豪クラブで毎年のようにUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントに進出し、数々の修羅場をくぐっている内田はやはり攻守両面で安定感があり、クロスの精度も高い。前にいるのが本田だろうが、岡崎慎司(マインツ)だろうが、活かし活かされる関係を短時間で構築できる。そういうインテリジェンスはやはり内田の長所。この先も彼の力は日本代表に必要だ。

酒井高徳は恵まれたフィジカルを生かした推進力、球際の強さといった利点を伸ばしつつ、課題と言われるクロスの精度や1対1の守備を改善していかないといけない。本人もアジアカップに初めてフル参戦し、自分がこの先、何をしなければならないかよく分かったはず。主力として戦った今大会の経験を確実にこの先の糧にすることが肝要だ。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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