昨年11月、日本代表と対戦したときのオランダ代表、ファンハール監督。0−2から日本に追いつかれ、引き分けた

すでに3年契約で合意し、今日にも、明日にも正式発表かも、言われている。来季からのマンチェスター・ユナイテッドの新指揮官に就任が確実な、ルイ・ファンハール監督(62=オランダ)のことだ。2012年7月からオランダ代表を率い、ワールドカップ(W杯)ブラジル大会後に退任が決まっている。

現在、オランダ代表はフンデルローで国内合宿を行っているが、そこへ多くの英国人記者たちが取材に訪れている。とはいえ、オランダ代表自体には、まったく興味はない。連日、あの手この手で、ファンハール監督について報じているのだ。

だが当の監督もマンチェスターUのことについて、一度「監督をやってみたい」と話したきり、ほとんど語らない。13日に30人のW杯登録メンバーを発表したが、その会見でマンチェスターUのことを聞かれ、ファンハール監督は憮然として、こう言った。

「私がオランダ代表監督としてここにいる。初日に話が逸れたことがあったが、それは招かざる英国メディアがいたからだ。少しくらい質問に答えないのは悪いと思い、4つだけ言葉を発したが、それだけで60ページもの記事を書かれてしまった 私にはどうすることもできない」

「招かざる英国メディア」と言ってしまったのだ。これは禁句である。オレンジ軍団の指揮官として、本大会に向かって調子を上げているときに、マンチェスターUのことは聞かれたくなかったのだろう。だがいくらでも対処の方法はあったはずだ。それなのに、正面からぶつかってしまった。

ファンハール監督は稀代の戦術家として知られ、経験もあって勝負の勘どころもいい。アヤックスでリーグ3連覇、欧州チャンピオンズリーグ優勝、バルセロナでリーグ2連覇した。AZでもリーグ優勝を飾り、バイエルン・ミュンヘンではリーグとドイツカップ優勝と実績は十分だ。まさに鬼才なのだが、だがそれだけでは、プレミアリーグの強豪の監督は務まらない。英国メディアと上手く渡り合っていく能力がなければ、どんどん追い込まれ、結局自滅してしまう。これまで何人もの指揮官が、英国メディアと対立し、去って行ったことか…。

英国人記者たちは、大人で老練だから、いまは表立ってこの禁句を取り上げたりはしない。だが決して忘れない。オランダ人にやられて、絶対に黙っているわけがない。これが英国人のプライドだ。正式就任前から、不必要な火花を散らしてしまったファンハール監督の行く末が案じられる。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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