[写真]膝靭帯負傷で今季中の復帰が絶望的になった吉田。だが今回はW杯までに復帰できる可能性がある

27日夕方、知り合い記者からの電話が鳴った。「マヤ、今季絶望だ」。いましがた終わったサウサンプトンの定例会見で、マウリシオ・ポチェッティーノ監督が、日本代表のDF吉田麻也(25)が膝のじん帯を痛めたと明かしたという。

「マヤはシーズン最後の今後6週間はプレーすることは難しいだろう…」。

5月11日のリーグ最終戦まで残り7戦への出場は絶望的だという。主将MF長谷部誠(ニュルンベルク)、DF内田篤人(シャルケ)に続く、日本代表の主力陣の負傷離脱。だが指揮官は自らの経験から、6月12日開幕の2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会には、復帰できる見方を示した。

かつてアルゼンチン代表のセンターバックとして鳴らしたポチェッティーノ監督はこう言い切る。「マヤが6−7週間、戦線離脱するのは事実だが、彼のW杯出場が脅かされることはない。私自身 (2002年)W杯前に似たようなケガをしたが、開幕1カ月前に復帰し、本大会で(3戦すべてに)出場した」

さらに指揮官は「すでにマヤはリハビリを開始した。スタッフの助けを得て、可能な限り早くベストな状態で戻って来る」と話し、順調にいけば、吉田は5月中旬に戦線復帰できる可能性を示した。

4年前、吉田は長崎の実家で、2010年W杯南アフリカ大会をテレビ観戦した。松葉杖を手に…。その半年前、名古屋グランパスからVVVフェンロ(オランダ)へ移籍した直後、当時はまだ平穏だったサヌアで行われた、アジアカップ予選のイエメン戦で代表デビュー。若手中心に編成され、平山相太(FC東京)がハットトリックを決めて3−2で逆転勝利し、アジアカップ出場権を獲得した一戦だ。

ところがサヌアからフェンロに戻って間もない1月10日、練習試合のMVVマーストリヒト戦で左足首を骨折した。わずかに抱いていたW杯出場の夢は完全についえ、実家で静養しながら、チームメートたちが活躍するのを複雑な思いで見ていたという。

「(川島)エイジくんや本田ら身近な選手が活躍するのがうれしくもあり、すごく悔しくもあった。いろんな気持ちが入り乱れる大会だった。だからここまでW杯に向けて頑張って来られた」。数週間ほど前、W杯にかける思いを吉田はそう話していた。

リハビリは厳しく、そして辛い。不安を振り払い、気力を絞り、単純な運動を黙々と続けるしかない。だが吉田は2度もW杯出場を逃すわけにはいかないのだ。4年前の松葉杖は知っている。あのとき思い。必ずブラジルのピッチに立たなければならない。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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