キャシー・リード/クリス・リード
日本代表
シーズンベスト SP:54.28 FS:81.85 Total:136.13

Photo:YUTAKA/アフロスポーツ

【使用曲】
SD:踊るリッツの夜、ハーレム・ノクターン
FD:Ona Hei (ゲーム『トータル・ウォー:ショーグン2』より)、 苦くて甘い水 Bitter Sweet Water(TVアニメ『地獄少女 三鼎』サウンドトラックより)、Good Death(『トータル・ウォー:ショーグン2』より)

アメリカ人の父、日本人の母を持ち、2006年から日本代表を選び、長く活躍してくれている我らがリード姉弟。そのキャリアは痛みとの戦いです。昨年8月、ツイズルのジャンプエントリーの練習中に、既に3度の手術を経てきたクリスの膝の半月板に新たな損傷が生まれました。骨挫傷の激しい痛みの中、ブレースという固定金具を付け、9月末の五輪予選・ネーベルホルン杯でアイスダンス出場枠を獲得。これは日本代表の団体戦出場枠をもたらすものでもありました。
枠を獲得したものの怪我の状態が心配されていましたが、氷上練習を短期集中型に変え、陸上トレーニングやきめ細かいメンテナンスを続け、無事このソチでも演技を披露してくれます。団体戦ではクリスが副主将を務め、演技後にはファンや仲間の応援にハッピーなインタビューで応えてくれた2人は、日本代表にとってかけがえのない、屋台骨とも言えるアイスダンサーです。
クラシカルなスタイルを愛する2人のアイスダンスは、キャシーが花、クリスが額縁としてパートナーを輝かせることに徹する、正統派ボールルームダンスです。それに加え、花であるキャシーは、そのオリエンタルな魅力と長い手脚を美しくキープしたポージングで、圧倒的な存在感を氷上で発揮します。
SDはスタンダードなナンバーを、ブロードウェイの振付師パティ・ウィルコックスさんの振付でスタイリッシュに表現。4年ぶりに「和」をテーマにしたFD「将軍」は、クリス演じる若き武将が、戦いの中で得た負傷をキャシー演ずる姫に癒され、再び立ち上がって天下に向かう…まさしく彼らのアイスダンス人生そのもののようなストーリーを描きます。

メリル・デービス/チャーリー・ホワイト
アメリカ代表
2010年バンクーバーオリンピック銀メダル/2013年世界選手権優勝
シーズンベスト SP:77.66 FS:114.34 Total:191.35

Photo:YUTAKA/アフロスポーツ

【使用曲】
SD:映画「マイ・フェア・レディ」より
FD:『シェヘラザード』 byリムスキー−コルサコフ

アイスダンスの常識を塗り替える、異次元のチャンピオン。バンクーバーオリンピックで銀メダルを獲得し、この時金メダルのヴァーチュー/モイアと熾烈なトップ争いを続けます。翌年には世界選手権初優勝。その翌年は2位でしたが、2012−13シーズンはシーズンすべての大会で優勝しました。アメリカのアイスダンス初の世界王者であり、今回も優勝すれば初の金メダリストとなります。
彼らを世界のトップに押し上げたのは、圧巻のスピードです。コーチや関係者からその身体能力を絶賛されるホワイトに、涼しい顔で難なくついていくデービス。10歳の頃からカップルを組む二人の技術は年々磨かれ、難しいステップやターンをしながらもスピードが落ちないどころか後半に向けて加速するようにすら感じます。充実したフィジカル能力で、凝りに凝ったエレメンツと多量かつ高難度のつなぎをシームレスにつなげ、人智を超えたプログラムを送り出してきます。また、どんなストーリーにもスッと入りきるデービスの“ヒロイン力”と、ホワイトの否応無しに人を惹き付ける“ヒーロー力”が合わさって生まれるドラマティックさも演技の魅力です。
SDは映画「マイ・フェア・レディ」の音楽に乗せて、舞踏会の華やかな雰囲気を表現しました。パターンダンス課題フィンステップに求められる“シャンパンの泡のように”軽く弾ける、幸福感に溢れるダンスです。FDは「シェヘラザード」。世界最高点を出しながらも、シーズンが進むごとに振付をブラッシュアップし、オリエンタルな絢爛さと耽美さを備えた無二の作品に仕上げました。ダイアゴナルステップと2つのリフトが詰め込まれた最後の1分の超・無酸素運動、瞬きする間もない激しさをとくとご覧あれ。

テッサ・バーチュー/スコット・モイア
カナダ代表
2010年バンクーバーオリンピック金メダル/2013年世界選手権2位
シーズンベスト SP:77.59 FS:112.41 Total:190.00

Photo by Dave Sandford/Getty Images

【使用曲】
SD:『私を夢見て』by エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング、『マスクラット・ランブル』 by ルイ・アームストロング)、『Heaven(チーク・トゥ・チーク)』 by エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング
FD:バレエ音楽「四季」より秋:小さなアダージョ、コンサート・ワルツ第2番、夏:コーダ by グラズノフ、『ピアノ協奏曲嬰ヘ短調作品20 第3楽章』 by スクリャービン

世界中のスケーターから尊敬を集めるカリスマカップル。地元開催のバンクーバーオリンピックで、北米初の、そして最年少の金メダリストとなり、アイスダンス史上に名前を残しました。その直後の世界選手権でも優勝。しかし2010年、ヴァーチューが以前から脚に抱えていたコンパートメント症候群の手術のため長期離脱、復帰後の2011年世界選手権では2位となります。次のシーズンは後半に調子を上げ優勝しましたが、その翌シーズンからはデービス/ホワイトの後塵を拝し、逆転に賭けるオリンピックです。
彼らの魅力は卓越した「滑り」と「踊り」。特にモイアのスケーティングは、素人目にも「足、どうなってるの」と震えが来るエッジの倒しぶりであり、そのリードとともに男性ダンサーとして圧倒的な実力を感じさせます。そのモイアが絶対の信頼を置くパートナーのヴァーチューは優れた感性と力強い肉体を持つ天性のダンサーで、カップルに華やかさと創造性をもたらします。彼女を美しく魅せるために、時に影のように、時に激しく、寸分の狂いも許さずモイアが寄り添う姿から、リンクは一瞬にして2人が作り出す世界に染まります。
SDは“Jazzyで現代的な社交ダンス”。ノットタッチのステップシークエンスは、足元は同じステップを踏みながらも身体の向きをずらしたり、軌道を鏡合わせにしたりと複雑に絡み合い、デュエットの歌をそのまま可視化したような素晴らしい構成です。フォックストロットからクイックステップへリズムが変わると、流麗な動きから弾けるような動きへ踊りがパッと変わり、ダンスとしての表現も秀逸。FDはロシア人作曲家・グラズノフの「四季」を中心に編曲し、男女の関係を四季に例えて演じながら、2人のこれまでの歩みを氷上に表していきます。

エカテリーナ・ボブロワ/ドミトリー・ソロヴィエフ
ロシア代表
2013年世界選手権3位
シーズンベスト SP:70.27 FS:99.90 Total:168.32

Photo:AP/アフロ

【使用曲】
SD:『Diamonds Are a Girl's Best Friends』by Jule Styne、『I Will Wait For You』by Michel Legrand、『Swing, Swing, Swing My Baby 』
FD:『ハーモニカの男』by エンニオ・モリコーネ、『トスカ』byプッチーニ(マートン演奏)

前回のオリンピックではロシア最若手として演技していた彼らですが、先輩カップルが引退した後はすぐに欧州選手権の銀メダルを獲得し、世界のトップクラスに上り詰めてきました。昨シーズン、コーチ変更とともにそれまでのザ・ロシア!といった古典的なスタイルをガラッと現代的に変え、2年連続の銀だった欧州選手権でついに優勝すると、世界選手権の銅メダルも獲得。熾烈な戦いのロシアアイスダンスのチャンピオンに君臨し続け、オリンピックに臨みます。
伸びのあるスケーティングと高いコンパルソリー技術を備えていた彼らですが、スタイルを変えてからは特に演技のスピードが際立って目立つようになりました。まさに「ギリギリを攻める」というほどのスピードで各エレメンツをこなすため、ハマれば鬼気迫る圧倒的なパフォーマンスを見せますが(団体戦のSDを参照!)、大きな失敗のリスクも高いためどちらに出るか。ボブロワの背中の柔らかさと繊細な上半身の表現は群を抜いており、さまざまなリフトやトランジションの振付の危ういまでの美しさにもご注目ください。
SDはボブロワの華やかでセクシーな魅力がいかにもマリリン・モンロー!ですが、ソロビエフの動きのキレや恵まれた身体の美しさが遺憾なく発揮されているプログラムだと思います。FDは、昨年末のロシア選手権後、欧州選手権をスキップし、昨季のプログラムに戻して用意してきました。昨季の時点で判明しているストーリーは…「心を病んだ恋人をお見舞いにいった彼女が、彼を元に戻そうとするものの心の闇に引きずり込まれて…」はい、怪作です。ストーリーもですが、振付も個性的で引き込まれる名作ですが、今回は明るいラストにアレンジしたとのことで、どんな作品を見せてくれるでしょうか。

ナタリー・ペシャラ/ファビアン・ブルザ
フランス代表
2013年ISUグランプリファイナル3位
シーズンベスト SP:70.59 FS:102.48 Total:171.08

Photo:AP/アフロ

【使用曲】
SD:『Roxie』(映画「シカゴ」より)、『シング・シング・シング』by ルイ・プリマ、『私の愛するあなた』(映画「キャバレー」より)
FD:『カルーセル』(シルク・ドゥ・ソレイユ「キダム」より)、『Droit de Cite』(映画「ミックマック」より)、映画「禁じられた遊び」より、『星の王子さまと彼の薔薇』by マキシム・ロドリゲス

群を抜く個性を発揮し、たくさんのファンを惹き付けてきたフランスのベテランカップル。前回オリンピックを7位で終えましたが、翌2011年の欧州選手権を制覇、2012年の地元ニースの世界選手権では念願の銅メダルをつかみ取りました。昨季はブルザがシーズン後半に膝に怪我を負い、世界選手権もその影響で6位とふるわず、シーズンオフに拠点とコーチの変更を決断。今季はベテランならではの経験値と集中力に技術的なチューンナップを加え、現役最後の試合と決めたオリンピックに臨みます。
彼らの魅力といえば、一に個性、二に個性。ペシャラがコケティッシュな魅力を惜しみなさすぎるほどに発揮すれば、ブルザは軽いタッチでぐんぐん伸びるスケートと包容力あふれるリードで応えます。多くのカップルと同様にアメリカに練習拠点を置く彼らですが、振付も衣装も必ず地元フランスで、長年信頼を置くチームで作ってくるところが際立った個性を発揮し続けるポイントです。
SD・FDともに、毎年テーマ(題名)から発表し、物語性を感じるエンターテインメントな作品を揃えます。ちなみに今季はSDが「Fosse」、ボブ・フォッシーのセクシーなダンスミュージカルを表現します。彼らも欧州選手権に出ず、使用曲を一部変更してブラッシュアップしてきました。FDは「星の王子さまと彼の薔薇」。サン・テグジュペリの名作を読み込み、王子さまと薔薇が登場する場面をすべて書き出して、「出会い」「親しみ」「別れ」「邂逅」という4つの場面を作り上げたというアプローチも興味深い作品です。
(「親しみ」:原語はフランス語で「l'Apprivoisement」です。『星の王子さま』の中でもこの単語をどう訳すかで翻訳者の性格が出がちな単語です。)

エレーナ・イリニフ/ニキータ・カツァラポフ
ロシア代表
2014年欧州選手権2位
シーズンベスト SP:69.54 FS:103.48 Total:171.89

Photo:YUTAKA/アフロスポーツ

【使用曲】
SD:『素敵なあなた』by Sholom Secunda、『16トン』、『シング・シング・シング』
FD:バレエ音楽『白鳥の湖』by チャイコフスキー

ザ・才能の塊。2010年の世界ジュニア選手権で鮮烈な「シンドラーのリスト」を演じて優勝し、次のシーズンからシニア参戦。グランプリシリーズでいきなり表彰台に乗り、翌シーズンには欧州選手権のメダルを獲得、以降2年連続の銀と、順調すぎるほどに有望さを遺憾なく発揮してきた、19歳と22歳の超若手カップルです。
膝を柔らかく使った(素人目に見てもはっきりわかる)伸びやかなスケーティングと、大人顔負けの演技力、抜群のスタイルはジュニア時代から注目と期待を集めてきました。特にカツァラポフは、まだまだ技術的に荒削りの部分があるものの、滑りの質だけなら既にトップレベルといっていい実力の持ち主です。プリマのように華のあるイリニフと、ハマれば周囲を圧倒するような絢爛豪華な世界を作り出します。まだ緊張に弱い面はありますので、地元の大声援の元で平常心で滑りきれるか心配されていましたが…団体戦では見事に克服してきました!
SDはジャズのスタンダードナンバーに乗せて、フラッパースタイルのドレスを纏ったイリニフとタキシードのカツァラポフが登場するだけで、もうムードは20's。今季の課題に対して非常に正統派なアプローチで、華やかで良い作品です。ノットタッチステップは、彼らの滑りを最も堪能できるエレメンツです。FD「白鳥の湖」は、これまた真っ向からバレエ風に演出した、大変彼らの魅力が伝わりやすいプログラムです。最初のゴージャスなロングリフトから、黒鳥イリニフの美しさ満開です!

テキスト:海鳩オッコ

photo

Pigeon Post ピジョンポスト
フィギュアスケーターの"声" "今"を届ける記者チーム(Pigeon Post HP)。
日本チームを中心に、世界のフィギュアスケートを特集する日本語英語のバイリンガルサイトで、インタビュー・リポートを掲載。Twitterをポータルとして、新しい記事の紹介やニュース、イベントのリポートまで、ワンストップで伝える。FacebookもTwitterと連携させている。

お知らせ

◆ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2014
3月21日 (金) 〜23日(日)エキシビジョンまで全種目放送!
★特集ページはこちら ★放送予定一覧こちら

◆ISU世界フィギュアスケート選手権2014 日本・さいたま
男女シングルはじめ、ペア、アイスダンス、エキシビションまで全種目・全滑走放送。選手インタビュー&プレスカンファレンスの模様も放送。
★特集ページはこちら ★放送予定一覧こちら
スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ