1月上旬、真っ白に染まった富士山のふもと静岡県御殿場市で、広島カープに移籍して2年目のシーズンを迎える久本祐一が自主トレを開始。菊池涼介、庄司隼人、戸田隆矢、中日の赤坂和幸ら若手選手とともに汗を流している。同県でのトレーニングは中日入団2年目になるオフから毎年行っていて、今年で12回目。だが、今年はプロ入り初となる先発投手としての調整を行なっているため、「昨年よりも練習が一段と厳しくなり、ランニングのメニューも増えた」と話す。

昨年、開幕から先発として6試合に登板した際(5月にリリーフへ転換)、体への疲労は相当なものだったという。それもそのはず、昨年の自主トレは3時間半ルールがなくなり登板回数が増加することを予想して行ってはいたが、あくまで中継ぎとしての調整だったため、開幕先発の抜擢は良い意味で“誤算”だったのだ。なので、今回は1年間ローテーションを守れるような体作りをし、キャンプからしっかりとアピールできるような調整を行っているため、例年以上にメニューがハードになっている。

午前中は屋内で筋力や循環器系のトレーニングを行っているのだが、「ウエイトトレーニングをガンガンやるといった育ち方をしてきていない」と久本が話すように、一カ所の筋肉に大きな負荷をかけるのではなく、体のバランスを意識しつつ複数の筋肉を同時に動かすといったエクササイズを中心にプログラムが組まれている。

このように書くと、それほどキツくなさそうに思えてしまうかもしれないが、選手たちの体は朝起きたときに悲鳴を上げるほどパンパンになっているという。ただ、菊池や庄司らは「ヤバい」と言いながらも、いつも楽しそうにしているため、雰囲気はとても良い。施設周辺に雪が積もり、トレーニング前に雪かきをしなければいけないというハプニングなどもあったが、選手らの口からネガティブな言葉は出てこなかったという。

午後はグラウンドに移動して、技術練習などを行う。久本はキャッチボールの際、必ず戸田とペアを組み、1球1球後輩のフォームを確認しながら熱心に指導していた。「久本さんが『良い』と言ってくれたフォームで投げたときは、自分でも納得のいくボールを投げることができているので、それをしっかりと覚えたい」と意気込む戸田も、キャンプまでに順調に仕上げてきている。

課題とされる軸のブレは、この自主トレで行っている体幹トレーニングによる改善が期待される。また、久本が「キャンプくらい走っている」と話すように、ラントレーニングも充実している。10歳以上離れた選手たちが走り終わった後にぐったりとしてしまうメニューを、久本も同じようなペースで走っている姿を見て、若手選手から良い刺激を受けていることを感じさせた。

「昨年の成績から、負け数を減らして、防御率を2点台にする」という目標を掲げている久本について、ずっと指導してきたトレーナーの方は「プロ13年目にして、新たな挑戦を試みている姿を見てほしい」と話す。そして、この厳しさを乗り越えて「40歳までやってもらいたい」と語っていた。

先発起用になるか中継ぎ起用になるかは、首脳陣の判断になるためまだわからないが、昨年と同様にキャンプ初日から良いアピールをできるのではないだろうか。そして、久本に負けじと今回参加した若手選手たちの奮闘にも期待したい。

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森田 和樹
平成生まれのゆとり世代。小学生の時、緒方孝市さんに一目惚れして以来の広島カープファン。関東というアウェイで応援を続け、大学在学中には関東のカープファンのためのフリーペーパー「Capital」の制作に携わる。いつかはこの目で優勝を見るため、真っ赤な球場へと足を運んでいる。

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