1月3日、2万人とほぼ満員の観客を集めて「花園」こと全国高校ラグビー大会の準々決勝4試合が行われた。今大会で特に注目されていたのは昨年8月に台湾で行われたU19アジア選手権に大学生を抑えて高校生ながら選出され、レギュラーとして活躍していた3選手だ。

その3人は9月と10月に高校生で唯一、日本代表合宿にも参加した報徳学園(兵庫)の副将でCTB(センター)梶村祐介(3年)、東海大仰星(大阪第1)で2年前の決勝戦にも出場していたFB(フルバック)野口竜司(3年)、そして昨年度の大会から桐蔭学園(神奈川)の中軸だったPR/HO(プロップ/フッカー)堀越康介(3年)。なお野口と堀越は昨年度、今大会は花園に出場できなかった伏見工WTB(ウイング)尾崎晟也(3年)とともに2年生ながら高校日本代表に選ばれていた(現在2年の目黒学院のNo.8テビタ・タタフは1年生ながら選出)。

その3人だが、準々決勝では明暗が分かれた形となった。まず大会で最も目選手となった超高校級CTB梶村が牽引する報徳学園は、FB野口のいる東海大仰星と対戦。西條裕朗監督が「BKラインは通用した」と振り返ったように、梶村を中心に前半は3トライを挙げて善戦したが、後半は相手のFWとBK一体となった速い展開の前にディフェンスが崩れて失点を重ね17-66で敗戦した。

「全国制覇を目指してやってきて、ベスト8で終わったことは悔しかったです。ですが満員の中でラグビーができて幸せでしたし、楽しかった。高校3年間で花園に2回出場できて良い思い出となった。難しいと思われるかもしれませんが、大学で優勝を目指したい」。梶村の顔に涙はなく、時おり笑顔を見せながら3年間を「やりきった」という表情でいっぱいだったのが印象的だった。なお、梶村はNo.8前田剛主将とともに明治大に進学する予定で、すでに体重は96kgとなったフィジカルと同時にスピードも鍛え続ける。

「全員ラグビー」を掲げて報徳学園を圧倒したAシードの東海大仰星は、初戦から絶好調である。準々決勝まで3試合連続60点以上の得点を挙げて準決勝に進出。FB野口は、鋭いランだけでなく、正確なゴールキックでチームの勝利に貢献している。野口は2年前、1年生ながら花園の決勝の舞台を踏むも、FB藤田慶和(現・早稲田大2年)が牽引した東福岡に敗れ、準優勝。昨年度の花園は大阪府の予選で優勝した常翔学園に敗れて出場することも叶わなかった。

「2年前の決勝は先輩たちについて行っているだけで全然ダメだったが、最高学年になってリーダーシップも発揮できるようになり、良くなってきたと思います。昨年は出場できなかったが、花園は自分のプレーを披露する場だと思うので、固くならずにやっていきたい。そして(2年前の決勝で負けた)借りを返したい」。準決勝で東海大仰星は、2年前の決勝で敗れた、その東福岡と対戦する。野口は得意のキックと最後方からチームを鼓舞し続けるだろう。

準決勝のもう1試合は東西のAシード同士の「桐蔭対決」となった。大阪桐蔭の主将でSO(スタンドオフ)喜連航平(3年)が「桐蔭学園は堀越など突破役が多い」と名指し、警戒しているのが桐蔭学園のHO(フッカー)堀越である。小学校時代は楕円球を追い、中学時代は柔道で群馬県2位の実績を持つ。昨年からフィットネスと低い姿勢からの突破は昨年から突出しており、3月には高校日本代表の欧州遠征、9月にはU19代表の台湾遠征にも名を連ねた。

その堀越は、「梶村、野口、尾崎らのプレーは刺激になりますし、遠征ではいろんな人とプレーして勉強になりましたね。準々決勝では自分たちの強みであるFWを前に出すことができました。大阪桐蔭と対戦する準決勝は自分にとって未知の領域なので、このまま自分たちのラグビーをしてベスト4に進出したい!」と、「一戦必勝」と言わんばかりに、優勝よりも目の前の試合に勝利を見据えた。

そんな堀越のプレーで何よりも驚いたのが、3回戦の春日丘(愛知)との一戦で、相手FWのボールキャリアが低い姿勢となって突破しようとするのに対し、自分の体をねじ込むように入り込み相手を倒さずにモールにし、なおかつボールに絡んでモールアンプレアブルを誘ってターンオーバーしていたことだ。世界のトップレベルではよく見られるプレーであるが、堀越本人も「いつも狙っています!」とキッパリ。柔道で培った体裁きと、桐蔭学園の砂のグラウンドで鍛えてきた証であろう。頼もしい限りだ。

「HOに専念して大学でもチャレンジしていきたい」と語る堀越の憧れの選手は、日本人FWとして初のスーパーラグビープレイヤーとなったHO堀江翔太(パナソニック)だ。そして目標は「2019年のワールドカップ(W杯)に出ること」だ。以前、現在、27歳の堀江は「なるべく長く選手としてプレーしていたい。33歳ならワールドカップに出られますね」と語っていた。堀越は、帝京大2年のHO坂手淳史とともに、近い将来、堀江のライバルとなる資質、可能性を十分に秘める。

「花園から世界へ」。初出場となった倉吉北(鳥取)のFL(フランカー)田中丈大主将(3年)が選手宣誓した通り、きっと、今回の花園に出場した選手の中から2019年のW杯、2020年のオリンピックに出場する選手が出てくるはずだ。すでにCTB梶村の報徳学園は敗退したが、東海大仰星のFB野中、桐蔭学園のHO堀越を筆頭に、選手の個々の活躍にも注目しながら、準決勝、決勝を観戦してほしい。

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斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365 」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「突破!リッチー・マコウ自伝」(東邦出版)など著書多数。≫Twitterアカウント

お知らせ

★全国高校ラグビー大会準決勝 放送予定
 1月5日(日)午後0:50より、J SPORTS 1で生中継
・東福岡(福岡)vs.東海大仰星(大阪第1)
・大阪桐蔭(大阪第2)vs.桐蔭学園(神奈川)

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