12月20〜22日に13−14ブンデスリーガの前半戦が終了。ウインターブレイクに突入した。17試合終了時点の順位表を見ると、昨季UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)王者のバイエルン・ミュンヘンがFIFAクラブワールドカップ出場で1試合消化が少ないにもかかわらず、勝ち点44でダントツのトップ。2位に7差でレバークーゼンがつけている。3位は同33のボルシア・メンヘングラッドバッハ、UCL死の組を突破したボルシア・ドルトムントは同32の4位と苦戦を強いられている。

日本人選手の所属クラブの動向を見ると、細貝萌がプレーしているヘルタ・ベルリンは同28で6位と大健闘。内田篤人のシャルケも同じ勝ち点28だが7位とUCL圏内からだいぶ差をつけられ、苦しい前半戦を余儀なくされた。前半戦8ゴールの固め取りを見せた岡崎慎司のマインツは、同24の9位とまずまずの位置につけている。酒井高徳のシュツットガルトは同19(1試合未消化)で10位、酒井宏樹のハノーファーは同18で13位、欧州リーグに参戦した乾貴士所属のフランクフルトも同15の15位と中位から下位をウロウロしている。そして長谷部誠と清武弘嗣が揃ってプレーするニュルンベルクは、ついに17試合未勝利のまま折り返し地点を迎えてしまい、勝ち点11の17位とブンデス2部降格危機の瀕している状態だ。

全体として日本人所属クラブが低調な戦いを強いられている中、パフォーマンスが際立っているのが、今季から新天地に赴いた岡崎だ。今季開幕のシュツットガルトとの古巣対決でいきなりゴールを奪い、チームも開幕3連勝を最高のスタートを切った。ところが、そこから6試合未勝利という苦境に直面し、岡崎もゴール欠乏症に苦しんだ。トーマス・トゥヘル監督から2トップの一角や2列目のサイドで使われ、自分の役割や動き方をあれこれ悩むようになったことで、負の連鎖に陥ったのだ。

そこでし本人は「ピッチの上で『またミスする』とか雑念が入ったら、プレーに集中できなくなる。どうせやるなら、強引にでも自分のやりたいことろやり通そうと練習でも割り切ってやり出したら、監督やチームメートから『それいいじゃん』と言われた」と話すように、いい意味でゴールだけに集中するようになった。

ほぼ同時期の1トップに固定されたプラス効果もあって、ブラウンシュヴァイク戦の2点目につながり、そこからはコンスタントに得点を挙げている。21日のハンブルガーSV戦もそうだが、1試合2得点を前半戦だけで3回も達成できる選手はそうそういない。得点ランキングも9位に浮上。レヴァンドフスキ(ドルトムント)やマンジュキッチ(バイエルン)、イビセビッチ(シュツットガルト)らトップスコアラーを射程距離に捉えたといっていい。岡崎のブレイクは日本代表にも大きなプラス効果をもたらすはず。1月からACミランで新たなキャリアを踏み出す同期の本田圭佑に追いつけ追い越せで、後半戦も好調を維持してもらいたい。

内田もまずまず堅調なパフォーマンスを見せた1人だ。今季のシャルケはフンテラールやヘーガー、アオゴ、ヘヴェデスら主力の負傷者が続出し、戦力ダウンが著しい。そういう中でUCLベスト16入りを果たしたのは評価すべき点だろう。その反動がブンデスリーガの戦いに出ていると見てもおかしくない。特に大きな問題といわれるのが失点の多さだ。シャルケの総得点32はレバークーゼンと同じだが、失点28は下位のフランクフルトとほぼ同じ。シーズン序盤の大量失点が非常に痛かった。しかし最近は少しずつ守備も安定しつつあり、一時の苦境は脱したようだ。内田はその原動力の1人になったといっても過言ではない。後半戦もこの調子を維持しつつ、上位躍進の切り札として活躍してほしいものだ。

一方、気がかりなのは長谷部と清武のニュルンベルクだ。8月末に長谷部がヴォルフスブルクから移籍し、中盤の構成力や攻守のバランスは多少改善されたものの、依然として明確な得点の形が見えてこない。21日のシャルケ戦でもチャンスは何度か作っていたが、フィニッシュの精度が甘く、点が取れそうな雰囲気がまるで感じられなかった。清武も日本代表でプレーしている時よりはゴールへの意欲をむき出しにしているが、どうしても得点数が伸びない。前半戦2点という数字を本人も満足していないはず。いかに決定力を高めるかが後半戦の大きなテーマになるだろう。

細貝がヘルタ移籍によって出場機会をつかみ、酒井宏樹も今季はほぼレギュラーとしてピッチに立っているなど、明るい材料もある。そういう選手が増えてこそ、2014年ブラジルワールドカップ本番にも明るい希望が見えてくる。1か月間の中断期間を有効に生かし、1月末から再開する後半戦では日本人選手たちのさらなる活躍をぜひ見たい。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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