あれほどまで真っ赤に染まった甲子園は想像していなかった。

クライマックスシリーズ(CS)1stステージの一般チケットは販売開始から約2時間半で完売。ネットサーバー落ちっぱなしの争奪戦が繰り広げられた中、初のCSを自らの目で見ようとしたカープファンが健闘。その結果、2日間ともレフトスタンドから3塁アルプス席のほとんどは赤で埋め尽くされた。

「こんな光景は初めて」と3塁側でカープファンに囲まれていた阪神ファンは話していた。普段は外野席中心で行われる「スクワット応援」を内野席に座るファンも当たり前のようにやっていたため、ビールの売り子たちは“一体感”に圧倒されたのか、苦笑いしながら「すごいね」と呟いていた。

試合後も「カープのユニホームを着て大阪の街を歩くのは危険だよ」などと言われていたが、阪神電車や梅田の街は赤いユニホーム姿の人たちで溢れかえっていた。そして大阪の人たちは怒ることなく「おめでとう」「巨人倒してね」と優しい声をかけてくれた。

ファンだけでなくチームの“一体感”もはっきりと感じ取ることができた。第2戦の8回表、代打の小窪哲也がタイムリー三塁打を放った際はベンチ内も大盛り上がり。野村監督、菊池涼介、梵英心が笑顔で並んでいるシーンに雰囲気の良さが伝わってきた。自分たちの戦いに自信と手応えがあるのだろう。

16日からは巨人との戦いが待っている。前田健太、大竹寛、野村祐輔、バリントンの4本柱でストレート勝ちできるのが一番ではあるが、相手も内海、菅野、杉内、ホールトンあたりをぶつけてくると思われるので、厳しい道のりになるだろう。

だが、シーズン終盤にかけて仕上げられてきたチーム力は、このCSでしっかりと発揮できている。中でも菊池、梵の二遊間コンビの守備はチームに勢いを与えている。ゴロを打たせるタイプのピッチャーが多いカープにとって、2人は欠かせない存在だ。特に、谷繁元信が「何をしでかすかわからない嫌なバッター」と警戒していた菊池は7打数4安打2犠打と打撃も絶好調で、今カープで一番乗っている選手と言える。

相乗効果かはわからないが、同級生の丸佳浩も8打数3安打2四球1本塁打と一番打者としての輝きを取り戻しつつある。キラとエルドレッドの勝負強さも光っている。横山竜士や永川勝浩といったベテランも存在感を示している。こういった選手たち全員が一つになって戦っている。

東京ドームでは今季2勝8敗1分と負け越してはいるが、8敗のうち6敗が1点差での敗戦。しかし、これまでと違って今のカープには接戦をものにする勢いと力がある。後半戦の戦いで巨人への苦手意識もなくなってきているだろう。目の前で胴上げを見せられた悔しさを、ぶつけるときがやってきた。縮こまることなく、全員野球で戦いを制してほしい。

そして、東京ドームでの戦いは、関東のカープファンの底力を見せつけるときでもある。オフシーズン、広島ローカル放送でしか見ることができなかった選手たちの「釣り番組」を全国放送で…というのは無理かもしれないが、CSで勝ち上がれば確実にメディア露出は増えるだろう。冬場に鯉の季節を迎えるため、ファン一体となって甲子園以上の声援で後押ししようではないか。

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森田 和樹
平成生まれのゆとり世代。小学生の時、緒方孝市さんに一目惚れして以来の広島カープファン。関東というアウェイで応援を続け、大学在学中には関東のカープファンのためのフリーペーパー「Capital」の制作に携わる。いつかはこの目で優勝を見るため、真っ赤な球場へと足を運んでいる。

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