[写真]CTB林真太郎選手

1980年代、同志社大は黄金時代を謳歌していた。80年の全国大学選手権(第17回)決勝で、明治大を11−6で下して初優勝を飾る。のちに日本代表の名LOコンビとなる林敏之(3年)、大八木淳史(1年)がFWの軸になっていた時代である。翌年は準決勝で敗れたが、82年からは全国大学選手権史上初の3連覇を達成。大学ラグビー界きってのスター選手・平尾誠二はじめ、高校日本代表の逸材が、これでもかと揃う才能集団だった。タテの明治、ヨコの早稲田、魂のタックルの慶應とくれば、同志社は「自由奔放」である。才能ある選手が楽しげにグラウンドを駆け回るのが魅力だった。

しかし、3連覇を達成した1985年の秋、関西大学Aリーグで大阪体育大学に関西リーグの連勝記録を71で止められると、その後は大学王座はおろか、関西で優勝することすらも難しくなる。関東の新興大学が推薦制度などを充実させ、大阪体育大や京都産業大など関西の大学も強化に力を入れ始めるなか、同志社大の強化は立ち遅れた。大学のキャンパスが京都市の中心部と京田辺市に分かれ、練習時間の調整が難しくなるという環境面の問題もあった。

創部100周年の節目だった2010年、OBやサポーターにとっては低迷を痛感する出来事が起きる。関西大学Aリーグで7位となり、Bリーグとの入替戦を初めて経験したのだ。気づけば他校には専任コーチがいて、栄養士がついての食事管理、充実したトレーニング環境が整い、いまだプロコーチのいない同志社大はあらゆる面で立ち遅れていた。3連覇から25年、同志社はようやく復活への道を本格的に歩み始める。

2011年春、同志社大OBで三洋電機ワイルドナイツを日本一に導いた宮本勝文を監督に迎え、クボタスピアーズで監督経験のある山神孝志など国内トップレベルのコーチを招へい。宮本監督は就任会見で言った。「やって楽しい、見て楽しい、そして勝つ。それが同志社のラグビーです。最近は、その楽しさを忘れていたかもしれません。フィジカルは徹底的に、スキルと両面を科学的に鍛えます。目的意識をしっかり持ち、選手と一緒に考えながらやっていきたい」

勝てない時代にいつしかラグビーを楽しむことを忘れていた選手たちは、宮本監督の下、奔放にボールを動かし、関西大学Aリーグで2位、そして全国大学選手権(第48回)では2回戦で敗れるも王者・帝京大学を追い詰めるまでに成長する。しかし、宮本監督はパナソニックの社員としての激務をこなしながらの指導で、すべての練習に来られるわけではない。身体づくりも成果が出るには時間がかかる。他大学は10年スパンで肉体改造を行っているのだ。翌シーズンは再び関西大学Aリーグ6位と成績は下降、全国大学選手権出場すら逃してしまう。

2013年春、前年はヘッドコーチを務めていた山神が新監督に就任。「宮本監督と2年間培ってきた展開スタイルを継承し、関西大学Aリーグでの優勝、全国大学選手権の覇権奪回という目標に精進してまいります」と意欲を語った。山神監督は、選手の意識改革、体づくりなど土台を作りながら、「まずは、スピード勝負」の展開ラグビーを磨く方針を掲げる。関東の上位大学に比べて体格の小さな同志社大は、スピード勝負しかないのだ。

この春は、高校日本一の常翔学園からLO山田有樹、WTB松井千士、茗溪学園のSH大越元気など有望な新人が加入。キャプテンのHO秋山哲平、PR北川賢吾、才田智のFW第1列は、高校ラグビー界の強豪・東福岡高トリオで学生屈指のスクラムの強さを誇る。スピード勝負とはいえ、横にボールを動かしているだけでは防御は破れない。今季は縦の動きを織り交ぜ、効率的に突破する戦法を練習してきた。

春からの練習試合の戦績もよく、関西大学Aリーグ優勝候補の一角と見られていた。しかし、9月29日の開幕戦では課題の防御が機能せず、立命館大に敗れる。日本一から25年も遠ざかっているチームが、2年や3年で完全復活すると考えるのは甘いのか。それとも、今季中に巻き返すのか。今後の動向から目が離せない。

photo

村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

お知らせ

■学生が体当たり取材!!大学ラガーマンの秘密■
早稲田スポーツ新聞会、慶應スポーツ新聞会、同志社スポーツアトム編集局の学生記者が、ラグビー部の秘密に迫る!ラグビー部がいつも行っている秘密の食堂、寮やトレーニング室など秘密の練習場所、大学生だから潜入できる体当たり取材のコラムです。

◆学生が体当たり取材!!詳しくはこちらから

 

■ラグビー 関西大学リーグ2013 放送予定■
10月13日(日)午前11:50 J SPORTS 1 生放送 #3 大阪体育大学 vs. 立命館大学
10月13日(日)午後01:53 J SPORTS 1 生放送 #4 同志社大学 vs. 天理大学
10月27日(日)午前11:50 J SPORTS 2 生放送 #5 同志社大学 vs. 関西学院大学
10月27日(日)午後01:53 J SPORTS 2 生放送 #6 京都産業大学 vs. 立命館大学
11月16日(土)午前11:50 J SPORTS 2 生放送 #7 京都産業大学 vs. 大阪体育大学
11月16日(土)午後01:53 J SPORTS 2 生放送 #8 関西学院大学 vs. 天理大学
11月23日(土)午前11:50 J SPORTS 2 生放送 #9 京都産業大学 vs. 関西大学
11月23日(土)午後01:53 J SPORTS 2 生放送 #10 大阪体育大学 vs. 同志社大学
11月24日(日)午後02:50 J SPORTS 2 生放送 #11 関西学院大学 vs. 近畿大学
11月30日(土)午後05:00 J SPORTS 1 初回放送 #12 天理大学 vs. 立命館大学

◆ラグビーシーズン到来!特集ページをご覧ください!

◆J SPORTSラグビー放送予定はこちらから

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ