9度の世界選手権を制覇したセバスチャン・ロウブの最終戦はもちろん母国フランス、そして出身地でもあるアルザスでの戦いです。 今シーズンの出場を4戦にとどめるとの発表を行った際に最初のモンテと最終のフランスは決まっていたようですが2つ目と3つ目はどこなのか話題になりました。結果は、“私はまだ雪の上でも走れることを証明したかった”とスエーデンを選択、3つ目はおそらくシトロエン本社の希望で海外の重要市場であるアルゼンチンを選択したと考えられています。 モンテとアルゼンチンでは優勝、スエーデンでは2位と強さを十二分に見せつけて最終戦に臨みます。WRCの歴史の中で過去も未来にも当分出てきそうにないロウブの偉業に拍手を送りましょう。

フランスのWRCは1973年の世界選手権設定以来コルシカ島でTour de Corseとして2008年まで開催されました。イベント自体は1956年から続いている歴史あるラリーで今でもIRCの一環として開催されています。コルシカはほとんど直線道路がなく10 thousand turns rally(1万コーナー)とも呼ばれそのユニークな特性と風光明媚な環境、それに険しい崖っぷちでの危険性など話題が多いラリーでしたが、ロウブ出現以来メーカーはもっと多くの観客を集めてセールスに寄与したいなどマーケティング上の理由もあって本土への移転を画策したものと思われています。移転により観客はフランスのみならず近隣のドイツ、ベルギーなどから集まりイベントの価値を高めることができました。ただ、ドイツのラリーと開催場所が近く丘陵のブドウ畑や林道を使用するなど環境が似ている点多少の問題点はありますがなんといってもロウブの出身地であるアルザス地方ですから話題には事欠きません。

最終日のHaguenauのスーパースペシャルは故郷に錦を飾る表彰式になるのでしょうか。 ラリーはフランス東部のドイツとの国境に近いストラスブール(欧州議会の所在地)を拠点に開催され日本でも観光客に有名なColmarにリモートサービスが設定されます。 アルザス地方はグルマン(質と量を兼ね備えた美食)として有名でこれからは紅葉が見ごろになります。

競技上の注目点はなんといっても二人のセバスチャンの対決でしょう。一時同じチームでライバルでもありました。今回はシトロエンとVWの対決ですから何のわだかまりもありません。シトロエンは車両の改良開発が少しスローになっていますがロウブがその高い運転能力と経験でカバーできるのか、オジェは上り坂の勢いで先輩を超えることができるのかこの点に絞られます。今回はターマック戦ですから北欧系には不利ですが雨になれば勝機は増します。ダークホースはベルギー人のヌーヴィルとスペイン人のソルドあたりと思います。アルザスワインを傍らにお楽しみください。

今回のパワーステージは一風変わった方式ですが最終日でなく初日、木曜日のSS1(4.5キロ)になっています。今回J SPORTSでは4日間にわたりラリー・ド・フランスのSSの一部をゲストの方々をお迎えして生中継します。ご期待ください。

ラリー概要は次の通りです。

DaySS本数SSkmLiaison kmTotal km
Leg1(10/3)1本4.55km10.22km14.77km
Leg2(10/4)6本116.08km 294.70km410.78km
Leg3(10/5)7本134.93km375.00km509.93km
Leg4(10/6)6本56.58km258.31km314.89km
Total20本312.14km938.23km1250.37km

以上 福井敏雄

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福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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