トップリーグ開幕から2週後の9月15日、いよいよ2013年度の大学ラグビーシーズンがスタートした。大学選手権4連覇の偉業を遂げた帝京大が春から順調に歩を進める一方、追走する他の強豪校も厳しいトレーニングを積み重ね、着実に力を高めてきた。試練の夏を越え、各校の力関係が徐々に明らかになりつつあるいま、それぞれはどんな状況で開幕を迎えようとしているのか。今シーズンの優勝争いを、リーグ毎に展望してみる。

▼関西大学リーグ

主要3リーグでもっとも混戦が予想されるのが、関西大学リーグだ。過去3年は天理大が伝統のランニングラグビーを武器に連覇を果たしてきたが、今季は上位校の実力が例年以上に拮抗しており、激しい優勝争いが繰り広げられそうだ。

[写真]トニシオ・バイフ選手

ディフェンディングチャンピオンの天理大は、HO芳野寛主将(現リコー)やFB塚本健太(現サントリー)を筆頭に昨年のレギュラーから半数が入れ替わった。旋風を巻き起こした2季前の大学選手権の決勝(●12―15帝京大)に出場したメンバーはCTBトニシオ・バイフ(日本航空石川④)、WTB松井謙斗(常翔学園④)の2人だけとなり、春はなかなか戦いぶりが安定しなかったが、夏を越えて布陣も固まりつつあり、いい状態で開幕を迎えられそうだ。

8月14日―20日の岐阜・流葉での1次合宿後、20日から28日までは菅平で2次合宿を実施した。立正大(○35―14)、青山学院大(○34―29)に連勝した後、最終戦では東海大と対戦。7人を入れ替えた後半に逆転を許し28―45で敗れたものの、先発メンバーで戦った前半は21―7でリードを奪った。関東リーグ戦の優勝候補と目される実力校を相手に互角以上の戦いを演じられたことは、今季からレギュラーをつかんだ選手の多いチームにとって大きな自信となったはずだ。

メンバーで注目されるのは活力あふれるプレーでチームに勢いを与えている1年生たちだ。NO8フィリモニ・コロイブニラギ(ケルストンボーイズ高)は191センチの長身に柔らかさを備え、堅実に仕事もこなせるマルチプレーヤー。SO後藤大輔(常翔学園)は昨冬の花園で全国優勝を果たしたチームの中心選手であり、よく伸びるキックと巧みなランスキルを生かして、テンポのいいパスワークが光るSH藤原恵太(天理)とともに攻撃を組み立てる。左ヒザのケガで春は試合出場がなかったHO中村光希主将(飯田④)も夏合宿を前に完全復帰し、求心力はさらに高まった。フレッシュな勢いを上昇力に変えて、リーグ4連覇に挑む。

昨季リーグ2位の立命館大は前年の主軸選手が数多く残り、今季は春から優勝の有力候補として高い評価を受けてきた。春は同志社大に54―14で快勝し、夏合宿初戦の法政大戦も14―0で勝利。その後筑波大(●19―43)、拓殖大(●28―35)と連敗を喫したものの、9月1日に行った近鉄Bチームとの練習試合では、外国人選手も出場したトップリーグクラブを相手に14―19と善戦した。地力は間違いなく関西随一と見ていいだろう。

先発の顔ぶれを見ると、U20日本代表のHO庭井祐輔主将(報徳学園④)。ジュニア・ジャパンのLO宇佐美和彦(西条④)の2人の存在がとりわけ目を引くが、ほかにも確かな実力を有する好選手が揃っている。昨季からのレギュラーであるFL萩原寿哉(明和県央③)、NO8嶋田直人(伏見工業④)のバックロー2人は豊かなスピードと運動量を誇り、攻守に渡ってボールに絡み続ける仕事人。SH井之上明(市立尼崎④)、SO井本拓也(報徳学園④)の鋭い仕掛けとテンポのいいパスワークもチームの大きな武器だ。

この秋は9月29日の開幕戦でいきなり同志社大と激突する(宝が池/14時キックオフ)。地力では今季関西の2強と称される両者だけに、優勝争いを大きく左右する大一番となりそうだ。

昨季は僅差の3位と復活の兆しを見せた関西学院大も評価は高い。この夏は早大(●12―38)、流経大(●17―22)、東海大(○31―21)、帝京大C(○42―26)と、関東の上位校を相手に実戦を重ねた。最終戦の筑波大戦は7―71と大敗を喫したが、関西勢を大きく引き離す関東の実力校とのタフな連戦を戦い抜いた経験は、秋以降にきっとものをいうはずだ。

メンバーは3年生以下に高校時代から実績を挙げてきた逸材が揃い、若い選手が多く並ぶ布陣になりそうだ。中心となるのはジュニア・ジャパンで今春海外遠征を経験したNO8徳永祥尭(関西学院③)。サイズと走力、スキルを兼ね備えたユーティリティーFWで、迫力ある走りで突破口を開く。BKでは185センチの大型WTB金尚浩、的確な判断力が持ち味のFB高陽日(ともに大阪朝高③)が攻撃の軸。WTB畑中啓吾主将(東海大仰星④)はキレのいいランとアウトサイドからの的確な指示でチームを牽引する。

これら昨季の上位3校以上に大きな注目を集めているのが、大学選手権4度の優勝を誇る関西の雄、同志社大だ。山神孝志新監督が就任した今季は春から関東の実力校を相手に好勝負を繰り広げ、夏合宿では東海大に29―28、9月7日の定期戦では明治大に33―26で勝利を挙げた。平成19年以来6年ぶりの関西制覇へ向け、今季にかかる期待は大きい。

戦力面で大きな武器となるのは強力なスクラムだ。ジュニア・ジャパンのPR北川賢吾③を軸に、HO秋山哲平主将④、PR才田智②といういずれも高校時代に全国制覇を成した「東福岡トリオ」の推進力は学生屈指。ここで圧力をかけてFW戦で優位に立ち、決定力あるBKを存分に走らせたい。久々に有望選手が大量に入部した1年生にも大きな期待がかかる。昨冬の花園優勝キャプテン、LO山田有樹(常翔学園)をはじめ、FL末永健雄(福岡)、SH大越元気(茗溪学園)、WTB松井千士(常翔学園)らすでに1軍に定着しているメンバーも多く、これからの成長が注目される。

今季は開幕戦でいきなり優勝候補の立命館大と激突。さらに2戦目で天理大(10月13日/花園)、4戦目で関西学院大(10月27日/鶴見緑地)と、序盤に上位校との対戦が組まれている。ここをいい形で乗り切ることができれば、大きく躍進を遂げるだけのポテンシャルは十分にある。

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直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

お知らせ

■ラグビー 関西大学リーグ2013 放送予定■
09月29日(日)11:50   J SPORTS 2  生放送 #1 関西学院大学 vs. 京都産業大学
09月29日(日)18:00   J SPORTS 1  初回放送 #2 立命館大学 vs. 同志社大学
10月13日(日)11:50   J SPORTS 1  生放送 #3 大阪体育大学 vs. 立命館大学
10月13日(日)13:53   J SPORTS 1  生放送 #4 同志社大学 vs. 天理大学
10月27日(日)11:50   J SPORTS 2  生放送 #5 同志社大学 vs. 関西学院大学
10月27日(日)13:53   J SPORTS 2  生放送 #6 京都産業大学 vs. 立命館大学

 

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