J1に続いて2013年J2も終盤戦へ突入。最近8試合負けなしで首位を独走しているガンバ大阪は9月1日、今季J2初参戦ながら3位と大健闘しているVファーレン長崎をホーム・万博記念競技場に迎えた。この一戦に勝てば6位以内が確定する重要なゲームだけに、遠藤保仁や今野泰幸ら主力も意欲が高かった。7月に古巣復帰を果たし、7試合7得点と華々しい活躍を見せている宇佐美貴史も「相手はリーグ最少失点ということだけど、自分たちは最多得点だから関係ない。恐怖感は全くないし、最少失点から引きずり下す気持ちで積極的に仕掛けたい」と意気揚々と大一番に向かおうとしていた。

長崎の高木琢也監督も試合前、「今日は結構、点を取られると思う。覚悟してのぞみます」と語っており、ある程度の劣勢を承知のうえで、あえてリスクを冒して前から積極的にプレスをかける策を選択した。

その高木監督の戦い方がズバリ的中し、長崎は前半から主導権を握った。5−4−1ともいえる布陣を採った彼らは宇佐美とロチャの強力2トップをマンマークで守り、中盤と前線も豊富な運動量で激しくボールを奪いに行った。前線の奥埜博亮、幸野志有人、佐藤洸一の3枚が流動的に動いて相手守備陣を脅かし、両アウトサイドもアグレッシブなアップダウンを繰り返す。気迫あふれる戦いぶりに、さすがのG大阪もよさを出せない。前半41分に金久保彩の右クロスに奥野が飛び込んだ先制点の場面も、当然のなりゆきという印象が強かった。

G大阪は後半に入ると宇佐美の位置をやや流動的にし、相手のマークがつきにくいところでプレーさせるようにした。これによって宇佐美が前を向いてボールを持てる場面が増え、長崎も苦しい展開を強いられる。後半11分に岡崎建哉に代わって出場したベテラン・二川孝広も流れを変えるのに貢献し、14分の藤春廣輝の同点弾につなげる。前半から飛ばしてきた長崎も時間の経過とともに動きが落ち、徐々にG大阪が優位な状況になってきたかと思われた。

しかし長崎の高木監督は満を持して長身FW小松塁を投入。その小松が見事な決勝弾を挙げる。後半40分に古部健太が右サイドからクロスを入れた瞬間、G大阪守備陣は小松を完全にフリーにしてしまった。「最終的に加地(亮)が飛び込んだけど、上からはたかれてしまった。長崎の狙い通りだったと思う。ああいうところで体をぶつけてヘディングをさせないことが大事なのに、こういうミスが続いている。今後に向けて修正を図らないといけない」と長谷川健太監督も厳しい表情で語っていた。長崎がパーフェクトな戦い方をしたのは確かで、それは高く評価されるべきだが、G大阪が昨季からの課題であるクロス対応から2点を失ったのは事実。それはしっかりと受け止めるべきだ。

「長崎はどこでも数的優位を作れる。守備の時に前へ行っても必ず戻ってサポートに入っていたし、攻撃でもあらゆる局面に顔を出していた。ホントに力があるチームだと思う。走らないと勝てないというのはサッカーの基本中の基本。そういうことを徹底するチームが強い。今日の自分は言い訳できないし、力不足を感じた」と守備の要・今野泰幸は神妙な面持ちでこう言った。

最近の日本代表戦でも守りのミスが目立っているが、今野は「今の自分はしっかりしたポジションが取れてない。そのせいで失点している。これは重く考えないといけない。ホント最悪です」と自らの不調を実感しているようだ。2010年秋のザックジャパン発足後、彼は日本代表とクラブでフルに戦ってきたが、今年は中東遠征2回にブラジル遠征と確かに移動距離がこれまでに増して長い。タフな男を言われてきた彼も30歳の大台を迎え、目に見えない疲れが蓄積しているのかもしれない。「そういう言い訳は許されない」と本人も話してはいたが、微妙な感覚の狂いに悩んでいるという。

それでも試合は待ってくれない。G大阪はまだ首位をキープしているから1年でのJ1復帰はほぼ確実だろうが、日本代表の方は限られた時間しかない。9月2連戦(6日・グアテマラ戦=大阪・長居、10日・ガーナ戦=横浜)に向けた合宿はすぐにスタートする。「頭を切り替えていくしかない。チームが変わるからやり方も変わる。最近は失点が多いし、守備も安定してないから、それを減らすように練習からやっていきたい」と今野は気持ちを奮い立たせるように語っていた。

吉田麻也(サウサンプトン)がプレミアリーグで試合出場機会を得られなくなった今、今野までパフォーマンスが低下してしまうと、日本代表守備陣の不安は増大する。そういう最悪の事態は何としても回避しなければならない。長崎戦の反省を生かし、次なる代表戦でどこまで自分自身を変えられるか。この2連戦は今野の一挙手一投足をしっかりと見極めるべきだろう。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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