オーストラリアにおけるWRCの歴史はそれほど長くなく、これまで約20回開催されてきましたがその拠点は西海岸のパースでした。そのパースが財政的な理由で開催困難となり2007年から2年間お休みのあと、2009年に拠点を西海岸からニュー・サウス・ウエールズ(NSW)に移し再開しました。FIAのカレンダー調整の影響を受け同じ南半球のニュージーランドとの隔年開催が固定したようです。先回の開催は2011年でヒルボネンが優勝しています。西海岸パースから約4000キロ離れたNSWに移動して今年は第3回目の開催となります。

NSWといえば古いラリーファンには懐かしい場所です。1960年代―1970年代に多くの日本車が活躍したサザンクロス・ラリーの本拠です。当時日本車の最終目的はサファリに勝つことでしたが、その準備のため日本から比較的近い英語圏で耐久タイプのサザンクロスに焦点を当てていました。このラリーは1966年から開催されていましたが1972年から三菱ランサーがアンドリュー・コーワンのドライバーで5連勝。続いて1977年よりダットサン(日産)が4連勝してこれらのメーカーが日本の国際ラリーの中心的役割を果たしていました。コーワンはその後、三菱との関係が深まってラリーアートでWRCの指揮を執るようになったのは皆さんもご存じの通りです。先日亡くなられた私のWRC時代の戦友である三菱の木全巌さんもサザンクロスにどっぷりと浸かっていた人でした。

オーストラリアのラリー主催者はイベントをより効率的に、より観客に親切に、より環境に配慮をした構成を工夫することで知られ、西海岸開催の時代にも2回の‘Rally of the year’の表彰を受けています。今年のポイントは開催エリアを集約してSSはすべてサービスパークから半径35−55キロ以内に抑え、その結果SS総距離352キロを確保しつつ総走行距離を1000キロ以下の933キロにしたことです。総走行距離に対するSS比率は他の標準的な数値25−30%と比べ37.8%となりきわめて高いといえます。リエゾンを抑えて効率を上げる手法がとられています。一方取材陣は忙しくて大変と思います。

競技進行上のアクセントは50キロのロングステージ2本が用意されていることでしょうか。 街の中のスーパースペシャル合計6本も遠くに見に行けない人々には親切な設定です。 その代り、西海岸の特徴だったボールベアリング路面はここにはありません。

競技概要は次の通りです。

DaySS本数SSkmLiaison kmTotal km
Leg1(9/12)2本3.20km2.61km5.81km55.1
Leg2(9/13)8本91.34km 172.54km263.88km34.6
Leg3(9/14)6本132.68km257.40km390.08km34.0
Leg4(9/15)6本125.14km147.86km273.00km45.8
Total22本352.36km580.41km932.77km37.8

以上 福井敏雄

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福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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