7月31日に今季J1後半戦スタートとなる第18節のゲームが行われた。最大の注目カードは首位・サンフレッチェ広島と2位・大宮アルディージャの上位対決だった。

フタを開けてみると、東アジアカップ(韓国)で活躍した日本代表メンバー4人を擁する広島が、石原直樹のハットトリックで3−1で快勝。2位以下をさらに引き離した。その石原の全ゴールをお膳立てしたのが高萩洋次郎だ。21日の中国戦(ソウル)と28日の韓国戦(蚕室)でタフな戦いを経験し、心身ともに一皮むけたのかもしれない。青山敏弘にしてもそうだが、激闘の疲れも感じさせず、チームに貢献するプレーを随所に見せたのは収穫だろう。そんな代表勢に石原も大きな刺激を受けたはずだ。

ザックジャパンの欧州組至上主義が色濃かったコンフェデレーションズカップ(ブラジル)までは、正直、Jリーグ勢全体に諦めムードが感じられた。しかし、国内組で構成された日本代表が今回、東アジアのタイトルを勝ち取ったことで、Jリーグにいる選手たちの目の色も変わりそうな印象だ。それによってJの戦いが活性化されれば、試合内容もより白熱し、客足も伸びるだろう。この日の広島を見る限りでは、いい相乗効果が生まれている様子。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)との掛け持ちで今季序盤こそ苦しんだ昨季王者だが、さらなる勢いを得て、ここから一気に走りそうな雲行きだ。

それ以外の東アジア参戦組の状況を見ると、キャプテンマークを巻いた駒野友一(磐田)、25日のオーストラリア戦(華城)で2ゴールを挙げた大迫勇也(鹿島)、オーストラリア戦と韓国戦で持ち味を発揮した豊田陽平(鳥栖)、声を出してチームを大いに盛り上げた森脇良太(浦和)の4人が、31日のJリーグでゴールという結果を残した。

とりわけ、佐藤寿人(広島)、大久保嘉人(川崎)と並ぶ今季得点ランキングトップの13点目を挙げた豊田は、8月14日のウルグアイ戦(宮城)に再招集の期待が高まっている。日本サッカー協会はすでに欧州組13人に招集レターを送っているが、負傷のハーフナー・マイク(フィテッセ)は除外されたという。ハーフナーと同じ大型FWの豊田がその枠に入る可能性は極めて高い。本人もそういう意味でモチベーションを上げているのだろう。

「チームが優勝したことと、韓国戦勝利に少しでも貢献できたことで多少はよしとしないといけないのかなと思いますけど、やっぱり選手は与えられた時間でやるべきことをしないといけない。得点という結果を残せなかったのは残念ですけど、すぐにJがありますし、サガン鳥栖で自分が飛躍できるように精一杯、努力していきたいなっていう気持ちでいます」と彼は韓国戦の後、神妙な面持ちでコメントしていた。

大会通算3ゴールを挙げた柿谷曜一朗(C大阪)や2ゴールを奪った大迫勇也、1点を取った斎藤学(横浜)ら他のアタッカー勢に比べると、無得点だった豊田が悔しさを覚えるのもよく分かる。けれども、彼が前線で体を張ってターゲットになり、他の選手たちをフリーにする場面はかなり多かった。韓国戦で原口元気(浦和)がドリブル突破からシュートを放った時も、豊田がゴール前中央に飛び込んだから、ファーサイドにいた柿谷への相手のマークが甘くなったのだ。傍目から見ると地味なこういう仕事をザッケローニ監督は評価する。前田遼一(磐田)が2010年秋のチーム発足時からコンスタントに主力として起用されてきたのも、ゴール以外の役割を献身的に果たしてきたからだ。

単純な高さではハーフナーより劣るかもしれないが、こうした泥臭さやゴールに体当たりで向かっていく貪欲さはやはり際立っている。加えて言えば、北京五輪代表だった彼は本田圭佑(CSKA)や香川真司(マンチェスターU)らの特徴を把握しているため、短期間で連携を確立できる強みがある。

「確かに本田や香川たちとは五輪の時にやっていたし、また一緒にやってみたいという気持ちはあります。でも今はまだ先過ぎて全然考えられない」と東アジアカップの最中に豊田は謙虚な口ぶりでこう語っていたが、その日が来るのも近いかもしれない。そのためにも今後のJリーグでコンスタントな結果が求められる。

アルビレックス新潟戦でシュート0本に終わった柿谷にしても、安定したパフォーマンスの重要性を痛感しているはず。新体制発足初期ならまだしも、ブラジル本大会に向けてチームを固めていかなければならないこの時期に、リスクの高い選手を指揮官は呼べない。好不調の波は新戦力にとって最も大きなマイナス面。それをJリーグで極力減らすことが代表定着への絶対条件だ。

今後も「代表生き残り」という視点でJリーグを見ていくのは面白い。選手たちには闘志あふれるプレーを期待したい。

photo

元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

お知らせ

■Facebookページ、J SPORTS × Footballがスタート!
プレミアリーグを中心にフットボールにまつわる名言、ジョーク、
事件簿、用語、画像などなど・・・。サッカーの面白ネタが満載!!
サッカー番組制作部、取材の裏側なども投稿中です!
>>「J SPORTS × Football」はこちらから