東アジアカップ(韓国)のため今季2度目の中断期間に入っていたJ1が31日に再開される。17日に行われた第17節終了時点で、サンフレッチェ広島が大宮アルディージャをかわして今季初の首位に立ち、その後ろに大宮、横浜F・マリノス、浦和レッズ、セレッソ大阪がつけている。広島と勝ち点10差に8チームがひしめく大混戦だけに、タイトル争いの行方はまだまだ流動的といえる。

それ以上に注目を集めそうなのが、東アジアカップ初優勝の原動力となった国内組ザックジャパンのメンバーたち。首位・広島には28日の韓国戦(ソウル=蚕室)で柿谷曜一朗(C大阪)の先制点を超ロングパスでアシストした青山敏弘を筆頭に、トップ下として創造性を発揮した高萩洋次郎、25日のオーストラリア戦(華城)で先発した千葉和彦の3人がいる。

このうち、特に青山は五輪代表時代以来の代表レベルの国際舞台だったにもかかわらず、鋭いタテパスを連発し、決定機を何本も作った。タテを一発で狙う意識はザックジャパン不動のボランチ・遠藤保仁(G大阪)を上回るレベルだ。彼の視野が広がったのは、10年連続Jリーグ2ケタゴールをマークしているエース・佐藤寿人と長年、一緒にプレーしてきたことが大きい。「トシ君は寿人さんにいつもああいうボールを出している」と柿谷が言うように、今回の代表でも佐藤寿人とプレーするようなイメージできたから、自分のよさをアピールできたのだろう。その青山が高萩らとともにチーム内でもリーダーシップを発揮するようになれば、広島はもっと強くなる。30代の佐藤寿人、森崎和幸・浩司兄弟もいい刺激を受けるはず。そういう相乗効果をぜひ見てみたい。

3位の横浜には最終ラインの軸を担った栗原勇蔵、オーストラリア戦で得意のドリブル突破から先制点を挙げた斎藤学、4位の浦和には韓国戦の柿谷の決勝点をアシストした原口元気、最終ラインの一角を担った槙野智章、チームを盛り上げ続けた森脇良太がいる。斎藤や原口といったロンドン五輪世代のアタッカー陣は自分の武器を前面に押し出し、さらなる飛躍へのきっかけをつかんだのではないだろうか。

ザックジャパン常連の栗原も、最初の中国戦(ソウル)で個人的なミスを繰り返し、先々が思いやられるスタートとなったが、ラストの韓国戦では競り合いの強さや高さ、1対1で激しく相手を止めに行くプレーを披露。日本代表屈指の身体能力を大一番で示した。今から10年前のことになるが、2003年ワールドユース(UAE)に出場した栗原は韓国とのラウンド16で圧倒的な球際の強さと対人プレーの激しさを示し、日本ユース代表のベスト8進出に貢献している。その時のいい記憶を思い出させてくれる好パフォーマンスで、森重真人(FC東京)とともに最終ラインを締めてくれた。このレベルのプレーをコンスタントに維持できるかどうかが、吉田麻也(サウサンプトン)と今野泰幸(G大阪)が組むセンターバックコンビの一角に入り込むカギとなる。そのためにもJリーグでの安定した仕事ぶりが肝要だ。

そして、得点王の柿谷にMVPの山口蛍、パスセンスに秀でた扇原貴宏と豪華な陣容を揃えるC大阪、森重ら代表4人を送り出したFC東京の動向も見逃せない。

もちろん最大の注目は柿谷だ。「代表を意識しながらセレッソでやるつもりはない。セレッソの試合はセレッソの試合なので。セレッソで今年優勝するっていう目標を掲げてやってきてる以上、それに集中するだけです」と28日の韓国戦後もクラブ第一を強調していた。彼がこれだけ短期間に急成長したのも、昨年頭に幼い頃から過ごした古巣・C大阪に戻り、同い年の清武弘嗣(ニュルンベルク)の劇的な成長を目の当たりにするとともにチームのために働く重要性を痛感し、エースナンバー8を森島寛晃から託されて責任感を強めたから。柿谷の変化をつぶさに見てきた山口や扇原も影響を受けたに違いない。柿谷効果でC大阪の客足が伸びるのもJリーグ全体にとって歓迎だ。それだけ注目を集める中、彼がどれだけ自分のレベルを高められるか。そこを興味深く見ていきたい。

FC東京の森重、徳永悠平、高橋秀人、権田修一の4人衆もフルメンバーの揃うザックジャパン入りを虎視眈々と狙っているはず。森重などは8月のウルグアイ戦(宮城)でのメンバー入りが有力視されるが、やはり大事なのはクラブでの一挙手一投足。日頃から安定したパフォーマンスを見せられなければ、さらに上のステージはのぞめない。

東アジアカップに参戦した選手の誰が突出した存在になるのか。あるいはまったく別の選手が頭角を現すのか…。そういう目線でJリーグを見ていくと面白味は増す。夏休み期間はより多くの方にスタジアムへ足を運んでもらいたい。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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