昨年より新設された関東大学春季大会や春の招待試合、オープン戦が大詰めを迎え、今シーズンの各大学の力関係が徐々に明らかになってきた。もちろん各校ともチーム作りはまだまだ途上の段階であり、代表活動やケガ等で主軸が不在のケースも多く、この成績がそのままチーム力を反映しているわけではない。ただここまでの戦いが、今季の戦力を把握する上でひとつの指標となるのは確かだ。ここでは関東春季大会を中心にそれぞれの春ゲームの戦いぶりから、2013〜2014シーズンの覇権争いを賑わわせそうな関東、関西の有力校の現状と、今季の展望をリポートする。

天理大学
[関西大学Aリーグ/2012年度大学選手権セカンドステージグループ3位]

<春の主な戦績>
5月5日 対 関西学院大 ●12−24
5月12日 対 京都産業大 ○97−7
5月19日 対 近畿大 ○33−19
5月25日 対 神戸製鋼 ●0−57
6月9日 対 朝日大 ○54−17
6月16日 対 筑波大 ●14−29

<春の戦いぶり>
昨季リーグ3連覇を果たし、関西王者の座を確固たるものにした感もある天理大だが、大学選手権決勝に進出するなど旋風を巻き起こした’11年度から2年が過ぎ、当時のレギュラーで残る選手はCTBトニシオ・バイフただひとりとなった。HO芳野寛やSH山本昌太、FB塚本健太ら長く主軸を務めてきた選手も卒業し、今季はフレッシュな顔ぶれが多く並ぶ。

この春は関西リーグのライバルとなる関西学院大、京都産業大、近畿大に加え、トップリーグの強豪神戸製鋼や東海学生リーグで年々力をつけている朝日大、そして昨季の大学選手権ファイナリストである筑波大などとゲームをこなした。神戸製鋼には地力の差を見せつけられる形で完敗を喫したが、学生相手の成績は3勝2敗と勝ち越し。筑波大戦も敗れはしたものの、後半20分過ぎまで8点差と互角の戦いを演じており、今後への可能性を感じさせる試合となった。

キャプテンのHO中村光希がケガで不在、また教育実習でチームを離れる4年生も多かった事情を考慮すれば、春の成績は十分評価できるものだろう。「メンバーが大幅に若返って試行錯誤しながらの戦いでしたが、なんとかなるかな、という感じは持てた。まだまだ伸びるし、秋にはいいチームになると思っています」と小松節夫監督。今年も関西をリードする存在であるのは間違いなさそうだ。

<戦力分析>
2年続けて大きくメンバーが入れ替わったが、「どちらかといえば昨年は立川(理道/現クボタ)や山路(和希/現ヤマハ発動機)らの抜けた穴を埋めるイメージ。今年は上がってきた下級生が新しい力で押し上げている感じがある」と小松監督に悲観の色はない。経験不足の点は否めないものの、楽しみなチームに成長する土台は十分ある。

FWの中心となるのはプレー、メンタル両面でリーダーとなるHO中村主将と、190cmの長身LO青野天悠の4年生2人だ。ほかにもPR高光晃大、LO吉崎隼人、FL 梶間歩など前年のレギュラーが残っており、まとまりのあるパックに仕上がりそう。BKでは昨季1年先発を務めたことで成長したSO白井竜馬の存在が大きい。アウトサイドにはCTBバイフやWTB松井謙斗など決定力のあるランナーを擁し、BKのコーチングにも定評あるチームだけに、こちらも総合力の高いラインになりそうだ。

何といっても楽しみなのは1年生。PR原健将やLO西川太郎、NO8フィリモニ・コロイブニラギ、SH藤原恵太、SO後藤大輔、WTBジョシュア・ケレビなど多くのメンバーがすでにAチームデビューを果たしており、「(2年前に大学選手権準優勝を遂げた)立川らの代が入ってきた時のような感じがある」と小松監督はいう。特にフィジー出身のコロイブニラギ、ケレビの留学生2人は、これまでのトンガ出身の選手とは異なる持ち味を有しており、「パンチ力はそこまでないけど、よく動くし、勤勉に仕事ができる。日本で成長できる選手だと思います」と小松監督の期待も高い。新戦力がうまくチームにマッチすれば、チームの勢いはさらに加速する。

<今後の展望>
 立命館大や関西学院大、同志社大といったこの春好調が伝えられる関西リーグのライバルと戦っていないため、今季の力関係はまだはっきりしない部分もあるが、天理大も着実に地力をつけているのは確かだ。「メンバーも固っていないし、決して余裕はないけれど、どうにもならないとも思っていません」と小松監督。秋のリーグ戦は拮抗した混戦が予想されるが、過去3年優勝を果たし、勝ち方を知っているという経験は、そうした状況で大きな意味を持つだろう。

元木由記雄氏がコーチに就任し注目される京都産業大や同志社大など強敵との対戦が序盤にあるだけに、今後は秋の開幕へ向け早めの仕上げを意識しながら夏を過ごす予定。もちろん目指すスタイルは、フラットなラインから巧みなコンビネーションで防御ラインを突破し、早いテンポでボールを動かし続ける伝統のランニングラグビーだ。多くの賞賛を集めた2年前の快進撃を再現すべく、切れ味鋭いアタックに磨きをかけてシーズンに挑む。

photo

直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

お知らせ

■ラグビー 放送予定■
07月05日(金)16:30 生放送 J SPORTS 4 スーパーラグビー 2013 〜南半球3カ国スーパークラブリーグ〜 第19節-1 #69 クルセイダーズ vs. チーフス
07月06日(土)16:30 生放送 J SPORTS 4 スーパーラグビー 2013 〜南半球3カ国スーパークラブリーグ〜 第19節-2 #70 ハリケーンズ vs. ハイランダーズ
07月06日(土)18:50 生放送 J SPORTS 1 ラグビー ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ213 オーストラリア遠征 第3戦 オーストラリア vs. ライオンズ
007月06日(土)26:05 生放送 J SPORTS 1 スーパーラグビー 2013 〜南半球3カ国スーパークラブリーグ〜 第19節-4 #72 ブルズ vs. シャークス

◆ラグビー特集ページをご覧ください!

★J SPORTSラグビー放送予定はこちらから

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ