埼玉県の熊谷ラグビー場で開催された全国高校選抜大会は4月7日に決勝戦が行われ、大阪桐蔭が東海大仰星との大阪対決を33−14で制し初の全国優勝を飾った。ここでは予選リーグを勝ち上がった8校による決勝トーナメントの模様をお伝えする。

▼決勝(4月7日)

2005年度の第6回大会の啓光学園(現常翔啓光学園)−東海大仰星以来、7大会ぶり2度目の大阪勢の激突となった今回の決勝戦。キックオフ直後に降り出した豪雨と雷の影響で開始2分から約40分間試合が中断するという荒れ模様のスタートとなったが、再開後は次第に天候も回復。大阪桐蔭、東海大仰星の両校が春の高校王者のタイトルをかけて激しいファイトを繰り広げた。

前半まず主導権を握ったのは、風上の大阪桐蔭だった。5分にゴール前のスクラムからNO8吉田杏が豪快にサイドを突破して右中間に飛び込むと、その後もテンポよくボールを動かす東海大仰星のアタックに対し、鋭い出足からタックルで激しく体を当てて対抗。ディフェンスを軸にペースをつかみ、25分にCTB伴井雄太がトライを加えて14−0とリードを奪う。

一方、風下の不利に滑りやすいコンディションも重なってミスを連発した東海大仰星だったが、28分に得意のワイドな連続攻撃を仕上げきり、FB野口竜司がようやくトライを返す。前半はチャンスを確実にものにした大阪桐蔭が14−7と先行して折り返した。

後半も東海大仰星が果敢に仕掛け、大阪桐蔭が激しいディフェンスでしのぐという流れが続いたが、東海大仰星にとって不運だったのは、風向きが変わり後半も風下での戦いを余儀なくされたことだった。12分、狙い通りにボールを動かしてWTB河野翼が左中間へ飛び込み、12−12の同点に追いついた仰星だが、どうしても自陣で過ごす時間が長く、苦しい展開を強いられる。

逆に大阪桐蔭はディフェンスで激しく体をぶつけるたびに勢いに乗った。17分に敵陣ゴール前まで攻め込むと、FW戦で相手防御を寄せてからBKに展開し、FB岡田優輝が鋭く縦に切れ込んで勝ち越しトライを挙げる。25分にも同様のパターンで岡田がインゴールへ。勝負が決したロスタイムには、SO喜連航平主将が鮮やかなサイドステップで防御を抜き去ってダメ押しとなるトライを奪い、勝負を締めくくった。

試合を重ねるごとにあふれんばかりの潜在力を開花させ、2回目のセンバツ出場にして一気に頂点へと上りつめた大阪桐蔭。これまではどこか勝負に淡白な印象を拭いきれなかったが、今大会ではそんな過去のイメージを一掃する見事な戦いぶりで、殻を破ったことを強くアピールした。「日本一の実感はありませんが、この大舞台を経験できたことは大きな財産になる。まだまだ課題は一杯あるので、(花園までの)あと6か月でさらにブレないチームを作っていきたい」と綾部正史監督はさらなる飛躍を誓った。

惜しくも2度目の優勝には届かなかったものの、東海大仰星も持ち味の高速ラグビーを最後まで貫いて優勝候補筆頭と称されるにふさわしい実力を示した。決勝は悪コンディションにもかかわらず地上戦にこだわり過ぎた印象だが、裏を返せばまだまだ伸びる余地は大きいともいえる。「大阪桐蔭は1対1が強かった。あのレベルに対抗できるよう、今後はフィジカル面を強化していく。試合運びの面でもまだまだ若い、というのが見えたのはよかった」と土井崇司監督。なお土井監督は今大会をもって東海大仰星中、高の総監督という立場になり、'99年度に花園で初優勝を果たした時のキャプテンでもある湯浅大智コーチが監督に昇格することになった。

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直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

お知らせ

■第14回 全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 決勝 放送予定■
04月09日(火)18:00〜 初回放送 J SPORTS 1

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