23日の富士ゼロックススーパーカップの前座で行われたU−18Jリーグ選抜と日本高校選抜のネクストジェネレーションマッチを東京・国立競技場で取材した。

Jリーグ選抜は17歳以下の構成で、高校選抜は先の高校選手権で活躍した京都橘の仙頭啓矢、桐光学園の諸石健太、野路貴之ら3年生中心だった。つまり、両者には年齢差があったのだが、Jクラブの選手たちはさすがにスキルが高い。ボール支配力や1対1の突破力、ゴール前の鋭さなどで上回っていた。試合自体は0-0で終わったものの、サンフレッチェ広島入りした四日市中央工の浅野拓磨も「Jユースの選手は1人1人の能力が高く、1つのパスもドリブルもレベルが高かった」とコメントしていた通り、クオリティの部分ではやはりJユースに分があった。

Jリーグ選抜の指揮を執っていたのが、コンサドーレ札幌U-18の四方田修平監督だ。四方田監督は習志野高校から順天堂大を経て、筑波大大学院でコーチ学を学び、99年から札幌で指導者に。2004年にU-18の監督となり、今年で10年目を迎えたという。

実は四方田監督のことは、彼が筑波大大学院の田嶋幸三(現日本サッカー協会副会長)研究室にいた頃から知っている。当時の田嶋研究室は小野剛杭州緑城ヘッドコーチや影山雅永ファジアーノ岡山監督ら有能な人材を数多く抱えており、指導者研修の改革や教科指導指針の策定にも関わっていた。四方田監督も日本サッカーが世界へ出て行こうとしていた当時の最先端の情報に日々、触れていたのである。さらに彼は、日本代表が98年フランスワールドカップアジア最終予選を戦っていた97年にスカウティング担当も務めた。ジョホールバルの歓喜につながる天国と地獄の日々を岡田武史監督(現杭州緑城監督)や小野剛コーチと共有した経験は、今に生きているに違いない。

その後、札幌へ赴き、どんな指導者になるのかを興味深く見守っていたが、近年の際立った活躍には驚かされるばかりだ。2005年の高円宮杯全日本ユース(U-18)準優勝、2011年からスタートした高円宮杯プレミアリーグ(U−18)では初年度がイースト優勝、2年目の2012年がイースト2位とコンスタントに上位にいる。昨年はJユースカップも制覇した。四方田監督が札幌U-18で指揮を執るようになってから、トップに昇格させた選手は22人にも上るという。その中には、ザックジャパンで日本代表デビューを飾った西大伍(鹿島)やユース代表としてAFCU-19選手権に出場した古田寛幸、奈良竜樹、榊翔太(いずれも札幌)らも含まれている。

「昨年と一昨年はたまたまタレントがいたからタイトルが取れた」と指揮官は謙遜するものの、その手腕は目覚ましいものがある。習志野高校時代の恩師・本田裕一郎監督(現流通経済大学付属柏高)も「四方田はいい指導者になった」と褒めていたほどだ。

その四方田監督と久しぶりに話をしたが、札幌という厳しい気象条件を逆手に取った指導をしているという。「僕らは雪が多い地域上、冬は室内で練習をすることが多くなる。となると、どうしても広いグランドを使ってプレーすることができず、狭いピッチでの練習を余儀なくされる。そういう環境を生かすことで、狭い局面を打開していくテクニックを身に着けられる。もともと札幌という地域は小中学校年代でボールを大事にする指導が行われているので、その延長線上でやれるのも僕らのアドバンテージだと思います」と彼は語っていた。

確かに札幌の下部組織出身者を見ると、西や藤田征也(新潟)、古田、榊などスキルの高い選手が目につく。高校選手権で準優勝した京都橘も狭いグランドで練習しているというが、環境に不平不満を言うことなく、与えられた条件の中でできることを最大限できれば、選手たちは確実に力をつけていく。恵まれた環境下にいる子供たちよりもタフさや激しさ、力強さも養えるだろう。そうやってプラス思考でやってきたからこそ、四方田監督の近年の成功があるのだろう。

「でもテクニックのあるMFだけを育てられればいいということではない。屈強なセンターバックや機動力のあるサイドプレーヤー、存在感のあるセンターFWの育成にもトライしています」と彼はさらなる野心を口にした。こうした積極的な取り組みから、いずれ日本代表を背負うようなタレントが出てくれば、本当の成功といえる。さしあたっては昨年と今年にユースから昇格してきた面々の活躍に期待したいが、彼にはもっともっと個性的なタレントを育ててもらいたい。10年間サンフレッチェ広島ユースの監督を務めた森山佳郎監督が一足先にU-15日本代表コーチに転身した今、四方田監督にかかる期待は大きい。Jクラブの選手育成を今後もリードし続けていってほしいものだ。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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