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スキー コラム 2013年2月20日

「愛子、五輪会場で表彰台!」の意味

ブラボー!!モーグル by STEEP
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2月15日、W杯第7戦ロシア・ソチ大会が行われた。来年の五輪会場でのテストイベントであっただけに、注目度はより高いものとなった。

プレ五輪コースは、長さ247m、平均斜度28.7度。きれいな1枚バーンで、長めの設定でもあり、ターンの質、スピードコントロールなどが大きなポイントとなった。エアは特に第2エアがビッグになることが必然で、迫力のあるレースが展開された。どうやらソチ五輪は、選手の限界を問うサバイバルレースになりそうだ。
また今回浮き彫りになったのが、「天気と雪質はどうなるかわからない」ということである。
レース中、2月の中旬なのに雪ではなく雨が降った。雪質は春のようなシャーベット状だった。ソチのダウンタウンがさほど寒冷地でないことは伝えられていたが、フリースタイル会場のある山の上も気温は低くなく、雪質抜群とは言えないようだ。寒暖の差がありそうで、その日のコンディションによって波乱も起こるかもしれない。今回は、エアが得意なはずのアレキサンダー・ビロドー(カナダ)が、第2エア着地で前方に転倒するなど、雪質によるコースの難しさが如実に表れていた。

そんな中、きっちり結果を出したのが上村愛子だった。今季2度目の3位表彰台。ソチ五輪に向け、いい感触を持っただろう。彼女は雪が硬くても柔らかくても、急斜面でも緩斜面でも、あらゆるタイプのバーンで結果を残している。そして思えば、惜しくも4位だったバンクーバー五輪決勝も雨だった。今や最年長選手である愛子のテクニックと経験値は、難しいコースでより生きる。天気や雪質がどうなろうと自分の滑りが出来るのは、メダル獲得への大きな武器だ。
優勝したハナ・カーニー(アメリカ)は1人だけ違うレベルの滑りをしていたが、第2エアで大きな減点になりかねないミスもあった。ハナは'10季バンクーバー五輪こそ勝ったが、'06季トリノ五輪は予選落ち。初めてW杯総合優勝をした09季は、世界選手権で大失敗。W杯を圧勝した'11季は、自国開催の世界選手権で、ライバル、ジェニファー・ハイル(カナダ)にシングル&デュアルのW優勝を許した。実は、過去にビッグイベントでのミスが多い。ソチ五輪に向けても、今回のレースでのミスは不安要素のひとつになったのではなかと想像する。

男子は、遠藤尚が表彰台でもおかしくなかった快走を見せた。
予選を5位、16人によるファイナル1を3位。そしてスーパーファイナルでは、“勝負エア”と言えるコーク720とコーク1080の組み合わせで優勝を狙ったのだった。ところが完成度が評価されず、選んだラインのせいかタイムもよくなかった。
結果4位で表彰台こそ逃したが、頂点を争う滑りをしているのは間違いない。今季は、シングル4戦中3戦でスーパーファイナル進出しているのが頼もしい。
現在、ミカエル・キングスベリー(カナダ)、アレキサンダー・ビロドー(カナダ)、パトリック・デニーン(アメリカ)の3強が横綱とすれば、アレキサンダー・シュミシャエフ(ロシア)と遠藤が大関、そんな構図になったと言えるだろう。

そして今週末は、いよいよ猪苗代大会である。

大胆な予想をすれば、女王ハナの優勝は薄いと見る。彼女は現在までW杯通算34勝しているが、なぜか猪苗代では勝ったことがない。前述の'09季世界選手権での屈辱も、猪苗代大会だった。
女王の唯一の弱点は“急斜面”と思われる。猪苗代大会のW杯コースは、スタートから第1エア着地点くらいまで斜度35度超とも言われるまさに“壁”だ。そして、これこそが女王の鬼門なのだ。猪苗代以外でも今季第4戦では、ミドルセクションで急激に落ち込む“壁”ではじかれ、今のところ出場4戦で唯一優勝できなかった大会となっている。

その反面、猪苗代で絶対的な強さを誇るのが上村愛子だ。'08季以来、W杯&世界選手権を4連勝中。今回は'10季以来の開催となるが、コースの相性と最近の上り調子を考えると、愛子の方がハナよりも勝つ確率は高いと見る。

男子は、遠藤尚の活躍を楽しみにしたい。彼にとって猪苗代は、生まれ育ったまさしくホーム。成長した自分を地元に披露する晴れ舞台だ。力みすぎず、自身の力を存分に出し切ることを祈りたい。
アレックスは、'09世界選手権でデュアルこそ制したものの、猪苗代を決して得意にしていない。ミカエルは今回、初めての猪苗代。いかに安定度の高い王者でも、あの急斜面を攻略できるかは未知数だ。3強の中でいいイメージを持っているのがパトリックだ。'09世界選手権は、彼にとって初めて世界を制した場所。急斜面を高速で滑り切れるボディの強さは折り紙つきだ。
よって、今回のW杯猪苗代大会でアドバンテージを持つのは、パトリック・デニーンと遠藤尚と考えられる。

振り返れば'08季、上村愛子の5連勝が始まったのが猪苗代大会である。かつてジェニファーやハナの初優勝を実現したのは日本だった。新たな流れが生まれるのも、東洋のW杯なのである。

[写真1]W杯ソチ大会で今季2度目の表彰台に上がった上村愛子。猪苗代での連勝に期待
[写真2]'09世界選手権猪苗代大会デュアルは、優勝愛子、2位伊藤みき、3位ハナ、4位里谷多英だった。こんな展開をぜひ再び!

[写真3]'09季世界選手権優勝はフロックとも思われたパトリックだが、今や世界3強の一角

STEEP

スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/

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