國學院栃木(栃木)
残念ながらシード校には選出されなかったものの、実力的には十分それに値する技量を備えたチームであることは間違いない。2月の関東新人大会では日川に10−19、順位決定戦でも流経大柏に31−36で競り負け、春の全国選抜大会出場を逃した。しかし6月の関東大会では今回の花園でBシードに選ばれた深谷、流経大柏に勝利し、Bブロックで優勝。発展途上の段階で結果を残せたことで、チームは自信を深めた。

初めて花園でベスト8に進出した昨年度のレギュラーで残ったのは、NO8西松大輝主将、CTB尾又寛汰副将の2人だけと、チームは大幅に若返った。エイジグレードの代表もSH吉岡航太郎◆U17日本代表)ひとりで、昨季のエース、FB田村煕(現明大)のような飛び抜けた存在もいない。もっともここ数年追求してきたボールを大きく動かすスタイルはしっかりと受け継がれており、総合力で勝負できるチームに仕上がっている。

FWは平均体重88.6kgと全国的にも大型の部類に入る。ただし180cm以上がLO川島卓也(184cm)ひとりのため、いかにラインアウトをうまく確保できるかが重要なポイントとなりそうだ。ワイドなアタックを継続するためには、FW陣の素早い集散とブレイクダウンでの健闘が不可欠。金井駿◆⊂鐇達△領FLとNO8西松の第3列が密集戦を支配し、早い球出しでBKに好球を配したい。

BKではスピーディーな球さばきでアタックにリズムを生み出すSH吉岡と、前が見えるCTB尾又が中心。優れたハンドリングスキルを持つ尾又を昨年のSOからCTBにコンバートしたことで、外への展開力は高まった。相手のセットを上回るテンポでアウトサイドの空いたスペースにボールを運ぶ形に持ち込めば、トライチャンスは大きく広がる。

今季のチームは3年生が13人と少ないが、21人が在籍する2年生は吉岡肇監督が昨年から「楽しみな世代」と語っていたように、好選手が揃っている。また前年の好成績の影響からか、30人の1年生が入部し、すでにメンバー入りを果たしている選手もいる。若い力を勢いにして、昨年以上の成績を目指す。

 

伏見工業(京都/Bシード)
これまで花園を4度制覇し、高校ラグビー界で屈指の人気と知名度を誇る名門が、2005年度の第85回大会以来となる優勝を狙う絶好のチャンスを迎えた。4人の高校日本代表候補を擁し、FWは8人の平均体重が95.3kgと同校史上過去最高の超大型パックに仕上がった。なにより大きいのは、絶対的エースのFB松田力也主将の存在だ。

1年時からレギュラーを務めて花園を経験し、今年3月には2年生ながら高校日本代表入り。イタリア、フランス遠征で全試合に先発出場を果たした。さらに高校生では史上初となるU20日本代表にも選ばれ、6月にアメリカで開催されたジュニア・ワールド・ラグビー・トロフィーに出場。切れ味鋭い走りと正確なキックで、決勝進出に大きく貢献している。卓越したセンスと高い次元での万能性から、中学、高校の先輩である平尾誠二氏(現神戸製鋼GM)の再来とも評される逸材だ。

今季は高校、U20代表の合宿や遠征で松田が不在の時期が多く、チームは春先あと一歩で結果を残せない大会が続いた。3月末の近畿大会は松田を欠いた状態で臨み、2回戦で天理に17−26で惜敗。第5代表決定戦を勝ち抜き全国選抜大会には出場したものの、高校代表遠征から松田が復帰したばかりで連係面に未熟さが目立ち、秋田工業に8−14で競り負けて決勝トーナメント進出を逃した。5月の府大会も昨年花園出場を阻まれたライバル、京都成章に12−17で敗れ、優勝を逃している。

しかし絶対的な柱を欠いた状態でそうした経験を積むことで全体が底上げされ、チーム力は着実に向上していった。花園予選決勝では京都成章の強力なドライビングモールに苦しみ、前半を11−14とリードされたものの、後半に反撃。25分にU17日本代表の尾崎晟也△この日2本目となるトライを挙げ、劇的な逆転勝利で2年ぶりの花園への出場権を手にした。

伏見工業といえば果敢な展開ラグビーの印象が強いが、今季は先述したようにFWの充実ぶりも目を引く。フロントローは全員100kオーバーで、スクラムの安定感は抜群。193cmのLO寺田桂太(高校日本代表候補)の高さは、空中戦で大きな武器となる。バックローにもFL小山健斗副将、高校日本代表候補のNO8高橋稔貴とタレントが揃っており、パックとしての総合力は全国屈指だ。

もちろんBKの展開力も健在だ。府予選決勝では松田がSOでプレーしたが、花園ではFBに戻り、決定力ある尾崎が本来のWTBに入る予定。バックスリーの決定力がより高まる形になり、相手にとっては脅威が増すだろう。

順当に勝ち上がれば、1月1日の3回戦ではSO山沢拓也を擁する深谷高校と対戦する可能性もある。今季の高校ラグビーの双璧にして最大のライバルでもある2人が激突するとなれば、多くの注目を集めることになりそうだ。

 

御所実(奈良/Bシード)
巧みなキッキングゲームと堅固なモールを武器に昨年の花園でベスト4に進出、今季は準決勝に出場したメンバーが途中交代も含めると10人残った。豊富な試合経験と精緻なゲームメイク力を生かし、3月の近畿大会では優勝候補筆頭の常翔学園を準決勝で21−19と撃破。全国選抜大会も準々決勝で東福岡に敗れたものの、後半途中までは一進一退の激闘を繰り広げた。続く5月のサニックス・ワールドユースでは、順位決定戦で東福岡に28−14で雪辱。あらためて今シーズンの覇権争いの有力候補であることを証明した。

徹底した体幹強化でサイズの劣勢を覆し、立ってボールをつなぐスタンディング・ラグビーで知られる御所実業だが、今季のチームは持ち味の展開力がより高まった。SO福沢遼やCTB坪井宏樹、FB和田源太など、パスも自分で持って走ることもできるユーティリティープレーヤーが中軸に並び、自陣からでも臆することなく大胆にボールを動かして一気にトライラインを越える。昨年の全国ジュニア大会で主将として奈良県選抜を優勝に導き、1年生ながら先発に名を連ねる快足ランナー、WTB竹山晃暉のキレのあるランニングにも注目だ。

FWでは1年時からレギュラーとして花園を経験してきたHO竹井勇二主将が攻守に渡り激しいプレーでチームを勢いづける。182cm、104kgの体を杭のように打ち込む猛タックルは迫力満点だ。高校日本代表候補で卓越した仕事量を誇るFL立花拡聖、腰の強いプレーが持ち味のFL中川将弥、第2のSHとしての働きをするNO8平澤馨の3人で組むバックローは、あらゆる局面でボールに絡んで存在感を示す。

15人が複雑にポジションを入れ替えながら連動する独特の一体感あるアタックは、今年も健在。複数のキッカーを要所に配置し、流れの中で巧みにキックを使ってエリアを進める陣地戦略のうまさは今大会でも随一だろう。ゴール前に行けば鉄の結束を誇るモールが威力を発揮する。はっきりとした戦い方の型を持っており、得意の展開に持ち込めば、あらゆる相手を凌駕できるだけの力を有している。

4年前、現法大のCTB岡本圭司主将やSO吉井耕平(現早大)、FB竹田宜純(現帝京大)らを擁し、FW8人の平均が170cm、80kgという小柄なチームで決勝進出を果たした時のような旋風を巻き起こすことができるか。目の離せない存在となりそうだ。

 

大阪朝高(大阪第2/Bシード)
迷いのない縦突破と矢のように次々と突き刺さる猛タックルで、出場すればいつも鮮烈なインパクトを残すチームである。2009、'10年度は2年連続で花園ベスト4に進出し、いまではすっかり全国区の強豪としての地位を確立した。もっとも昨年は初戦で日本航空石川に10−29で敗れ、大阪代表で初めて北信越ブロックのチームに敗れるという苦杯をなめた。それだけに、今大会にかける意気込みは相当強いものがあるはずだ。

今季は3月の近畿大会の初戦で優勝校の京都成章に7−29で敗れ、全国選抜大会出場を逃した。そのため全国レベルでの実績は残していないが、潜在力は新チーム結成当初から高い評価を受けてきた。5月の大阪府大会は4位に終わったものの、常翔啓光学園戦(22−25)、順位決定戦の大阪桐蔭戦(22−24)といずれも内容は接戦。ケガ人が復帰した夏以降はさらにチーム力が高まり、花園予選決勝では常翔啓光学園に14−7で競り勝ったことからも、地力があることがわかる。

今年のU20日本代表に選出されたPR金寛泰(現関西学大)やCTB金勇輝(現法大)をはじめ、SO朴成基、CTB権裕人(ともに現帝京大)ら世代トップレベルのタレントを数多く擁した2年前のチームに比べれば、今季は飛び抜けた選手はいない。しかしどのポジションにも献身的に体を張れる選手が揃っており、一体感のある戦いをできる点が最大の強みだ。

FWは8人の平均が177.6cm、88.1kgと均整のとれたパックになった。スクラム、ラインアウトには自信を持っており、安定したボールアウトで攻撃の起点となる。全員が骨惜しみすることなく走り、ひたむきにタックルし続けられるのもこのチームの特長だ。金幸寛、李智栄の両FLと副将のNO8趙隆泰の3人が、攻守の中心として様々な局面で仕事をこなす。

BKの中心は昨年からのレギュラーであるSH金大地主将だ。テンポのいい捌きと左足のキックを有効に使い、181cmの大型SO金成志とのコンビでゲームを組み立てる。バックスリーにはスピードある選手が揃った。WTB韓勝成、FB金貴大はともに50m6.1秒のチーム一の快足を誇り、スペースがあるところでボールが渡れば相手にとっては脅威となる。

そしてなんといっても大阪朝高の魅力は、迷うことなくまっすぐに突き刺さるタックルだ。大きく、力強い相手ほど、その威力と効果は高まる。鋭く前に出るタックルで相手を仰向けに倒し、ターンオーバーからの速攻でバックスリーを走らせる得意の展開に持ち込めば、驚くような大物食いを見せてくれる可能性も十分ある。

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直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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12月28日(金)11:10 J SPORTS 1  生放送  1回戦 2日目 花園第1グラウンド
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