茗溪学園(茨城/Bシード)
独特のカルチャーと際立つ個性を有する魅力的なチームが、3年ぶりに花園へ帰ってきた。ここ2年は県内のライバル、常総学院と清真学園の前にあと一歩のところで涙を飲んできたが、今季は春の県新人戦から5月の関東大会予選、花園予選といずれも他を寄せつけず圧勝。選抜大会ベスト8、関東大会Aブロック3位の実績からBシードに選出され、自信を持って花園に挑む。

今季の3年生は茗溪学園中時代に東日本大会を制した世代であり、新チーム結成当初から高い評価を受けてきた。2月の関東新人大会では深谷を29−12で下し4強に進出。全国選抜大会は筑紫、新潟工業といった実力校が揃う予選ブロックを勝ち抜いて潜在力の高さを披露した。6月の関東大会では國學院久我山にAブロックの初戦で敗れたものの、3位決定戦では桐蔭学園に24−19で勝利しており、関東トップクラスの実力を備えていることに疑いはない。

BKが一体となってボールをつなぐランニングラグビーを身上とする茗溪学園だが、今季のチームにもその伝統はしっかりと受け継がれている。スピーディーな連続展開の起点となるのは、キャプテンのSH大越元気だ。卓越したフィットネスとキャッチャーの手に吸い込まれるように伸びるパスが自慢で、リーダーシップも抜群。強気の仕掛けからテンポよくボールをさばき、チームに躍動感をもたらす。

BKラインではCTB鈴木啓太の存在が光る。171cm、75kgと体格はさほど大きくないが、加速力と思い切りの良さをいかしたプレーで攻守の軸となる選手だ。この夏には高校生ながらU19日本代表に選出され、アジア大会に出場。ゲーム理解の深さと統率力で首脳陣から高い評価を受けた。

FWにも好選手は多い。LO/FL鈴木達哉は180cm、90kgのサイズにしてスピードがあり、破壊力あるランで突破口を開く。PR小山朋哉もチーム最重量の112kgながら運動量は豊富で、ルースプレーで積極的にボールに絡むアタッカーだ。大越、鈴木啓とともに高校日本代表候補に選出されたFL/NO8芝原世良は、頑健なコンタクトを武器にFWを牽引する。

型にはまらない奔放なアタックで、これまで数々の印象的なゲームを花園の歴史に刻んできた茗溪学園。個性的なキャラクターが揃った今季のチームも、その歴史を受けつぐ魅力を備えている。きっと聖地に鮮烈なインパクトを残してくれるはずだ。

 

流経大柏(千葉/Bシード)
前年のレギュラーから11人が卒業した今季、2月の関東新人大会では2回戦で國學院久我山に12−27で敗れ、順位決定戦でも深谷に19−26で惜敗して全国選抜出場を逃すなど、春シーズンは苦しんだ。しかし6月の関東大会では太田に41−5で快勝し、Bブロックの決勝に進出。花園予選も3試合で計218得点、失点は8と圧倒的な内容で、節目となる20回目の出場を決めた。

徹底したトレーニングで鍛え上げた強靭なフィジカルを武器にこれまで6度のベスト8進出を果たしてきた流経大柏だが、今季も接点の強さに自信を持つ屈強なチームに仕上がった。FW前5人は平均179.8cm、91.6kgと大型で、セットプレーは安定感がある。中でも今夏U17日本代表に選出された左PR金仁謙◆∈鯒のU17代表で今季は高校日本代表候補に入ったHO永井元太郎は、密集戦で軸となる中心選手だ。キャプテンを務めるNO8廣瀬直幸は167cmと上背こそないものの、頑健な突破力を誇るFWの攻守の要。昨年も8番を背負って花園に出場しており、先頭で体を張ってチームを牽引する。

BKではただひとり昨年からスターターを務めてきたWTB中島翼に注目したい。'91年の第2回W杯に出場した元日本代表FL中島修二氏を父に持ち、チーム1の50m5.9秒という快足を誇る。フィニッシャーであるとともにプレースキッカーも務めており、スコアできる選手として重要な存在だ。またSO堀米航平△癲△海硫U17日本代表に選ばれた逸材。自慢のロングキックを生かして大型FWを前に出し、試合を優勢に進める。

今大会はBシードに推され2回戦からの登場となるが、組み合わせでは初戦が鹿児島実業と新潟工業の勝者、それに勝てば次は選抜大会準優勝の石見智翠館、長崎南山、札幌山の手の勝者と対戦するという非常に厳しいブロックに入った。流経大柏以外はいずれも今季の全国選抜大会に出場しており、激しい戦いとなることが予想される。もっとも今季の流経大柏は夏以降に力を伸ばしてきたチームであり、上昇度ではそれらの相手にも引けは取らない。その勢いを生かし、自己最高のベスト8以上の成績を目指す。

 

桐蔭学園(神奈川/Bシード)
2009(準優勝)、'10年度(両校優勝)と2年連続で花園決勝進出を果たし、昨年はベスト8で王者・東福岡に21−29の死闘を演じるなど、ここ数年は全国トップレベルの好成績を収めてきた。今季も2月の関東新人大会で優勝を果たすなど滑り出しは順調だったが、その後、チームは思うような結果を残せず、苦しい時期を過ごした。

春の全国選抜大会では長崎南山、天理、八戸西と強豪が揃った予選プールを2勝1分けで突破したものの、準々決勝では秋田工業の頑強な攻守の前に13−22で敗北。6月の関東大会も日川(0−15)、茗溪学園(19−24)と連敗を喫し、Aブロック4位に終わった。それでも夏以降は戦術のベースとなるフィットネスと組織力、判断力の強化に取り組み、様々なメンバーの組み合わせも試しながら、チーム力は着実に上昇しつつある。

2年前の優勝時に花園を席巻したWTB竹中祥(現筑波大)、FB松島幸太朗(現南アフリカ・シャークスアカデミー)のような飛び抜けた選手はいないが、今季も各ポジションに力のある好選手が揃っている。PR堀越康介は2年生ながら高校日本代表候補に選ばれた逸材で、PRとは思えぬ運動量と強靭な突破力を武器によくボールに絡んでチャンスを作る。LO佐藤大樹△郎鯒も1年生にしてレギュラーで花園を経験しており、188cmの長身を生かしてラインアウトで活躍するセットプレーのキーマンだ。

キャプテンのNO8上原充は175cm、81kgと体格はさほど大きくないものの、強靭なハートで先頭に立ってチームを鼓舞する闘将。接点のしぶとさとリアクションの早さ、運動量で勝負するバックローで、トップスピードで懐深く突き刺さるハードタックルは必見だ。

BKではSO横山陽介△僚侏茲カギを握る。秋田北中時代に全国制覇を果たしているエリートで、トリッキーな動きとロングキックが持ち味。今季は一時期スタメンを外れたこともあったが、プレーメーカーとしての能力はチーム随一であり、この選手がいかにリードできるかに桐蔭学園の浮沈はかかっているといっていい。

FB尾崎立洋△183cmの長身から繰り出す距離の出るキックが自慢。横山との連係がうまくかみ合えば、陣地戦で大きく優位に立てるはずだ。高校日本代表候補のWTB村松佑一朗は、181cmのサイズとスピードを生かしてチャンスメークからフィニッシュまでこなす。

2人のロングキッカーに高さのあるラインアウトと、ここ数年にはなかった強みを有し、「これまでより戦い方の幅は広がった」と藤原秀之監督はいう。下級生が多く、伸びしろはまだまだ大きい。ここ一番でのしぶとさには定評があるだけに、波に乗れば花園で一気に躍進する可能性を秘める。

 

深谷(埼玉/Bシード)
あるいは今回の花園でもっとも注目されるチームかもしれない。理由は、たったひとりのプレーヤーの存在だ。山沢拓也。深谷高校の中枢にして浮沈のカギを握る司令塔。もしかしたら日本代表の未来をも左右するかもしれない希望の光である。

2年前の2回戦、石見智翠館で4トライを挙げる衝撃の花園デビューを飾って以来、山沢の名は一気に全国のラグビーファンに知れ渡った。今年3月には2年生ながら高校日本代表に選出され、堂々たる主軸としてU18フランス代表とのテストマッチ勝利に貢献。6月には日本代表の若手育成プロジェクト、ジュニア・ジャパンの一員としてトンガ代表との試合にも出場し、そのプレーぶりをエディー・ジョーンズヘッドコーチに認められ、7月の日本代表候補合宿にも招集されている。

驚くことに本格的にラグビーを始めたのは高校から。それまではサッカーの有望選手だった。にもかかわらず、若干18歳にして、技術と経験をもっとも必要とされるSOで日本のほぼトップに位置づけられる。メディアや関係者のみならず、多くのファンがそのプレーに注目するのも無理はない。

最も間近でその成長を見てきた横田典之監督は、山沢の最大の長所を「ラン」だと語る。スピードやステップ、パワーを生かして防御の裏へ出られるSOならそこそこはいる。しかし裏に出て、ひとりでトライまで走りきれるSOは、そうはいない。山沢はそれらの能力に加え、ディフェンス網の穴を見抜く視野と、卓越したボディーバランスも兼ね備えている。そこが、ただ抜けるだけのSOとは決定的に違う点だ。小さいモーションから繰り出される鋭いパス、サッカー仕込みのキック力も、高校レベルでは抜きん出た精度と飛距離を誇る。

そして今季の深谷の魅力は、「山沢だけではない」という点にある。11月末に発表された高校日本代表候補スコッドには、山沢のほかLO土屋樹生、NO8葛野翔太、CTB三笠琳央の3人が選出された。それ以外にも、SH中嶋大希やCTB川田雅也など、下級生時から公式戦を経験してきた実力者は多い。山沢、三笠、川田で組むBKのフロントスリーのラインブレイク能力は、今大会でも屈指だろう。

春の全国選抜大会では近畿大会覇者の京都成章を32−22で下すなど、地力は十分。試合を支配できる絶対的な切り札がいるだけに、型にはまった時はどんな相手にも勝利できるだけの爆発力を有している。うまく勢いに乗れば、目標と掲げるベスト4進出、さらにはそれ以上のステージへかけあがることも十分可能だ。

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直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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12月28日(金)09:55 J SPORTS 3  生放送  1回戦 2日目 花園第3グラウンド
12月28日(金)11:10 J SPORTS 1  生放送  1回戦 2日目 花園第1グラウンド
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12月30日(日)09:25 J SPORTS 1  生放送  2回戦 花園第1グラウンド
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