歯がゆいというべきか、不甲斐ないというべきか……。U-19日本代表がUAE(アラブ首長国連邦)のラスアルハイマで開かれているAFC U-19選手権で苦しい戦いを続けている。初戦のイランには0-2で完敗。2戦目のクウェート戦でも、前半の追加タイムにFKからのボールを岩波拓也がうまく相手ゴールに流し込んで得た貴重な1点を守りきって勝点3を獲得したものの、後半に入って疲労で足が止まったクウェートを最後まで崩しきれず、逆にカウンターから危ない場面も作られ、なんとか逃げ切った展開だった。

2試合を消化して、得点はセットプレーからの1点のみ……。どう考えても「褒められた内容」ではない。何が足りないのか。一言で言えば、「勇気」だろう。中盤でパスは回っても前線にボールを送れないのだ。クウェート戦では、初戦の反省もあったか、多少は前にボールを付けるようなプレーを考えていたように見えたが、前へのボールもワントップの久保裕也に入れるのではなく、相手DFとの勝負を避けるようにサイドに出すようなボールが多い。

守備でもそうだ。イラン戦では相手との1対1での勝負を避けて、ズルズルと引いてしまう場面が目に付いた。もちろん、カバーがないような状況では1対1で勝負するより、相手のプレーを制限しながら攻撃を遅らせることも必要だが、カバーがある場面でも勝負に行かずにラインを下げてしまう。遠藤航など、もっとラインブレークしてでも積極的にボールを奪いに行く選手のはずである。

もちろん、やりにくい条件はそろっている。中東勢。とくにイランの選手はフィジカルが強いから、1対1で競り負けることも多いだろう。U-19代表クラスの選手であれば、国内での同年代とのゲームなら常に1対1では優位に立ってプレーすることが多いだろうから、フィジカルが強い相手に面食らうこともあるかもしれない。だが、1対1で競り負けることを恐れていては、サッカーなどできない。Jリーグのトップチームでのプレー経験のある選手たちが、たとえイランとはいえ、同年代の選手に対して怖気づいていてしまうわけはない。

夜でも30度。しかも湿度も高いというコンディションで中1日の3連戦という厳しい日程の影響もあるだろうが、高温多湿は日本でもさんざん経験しているはず。これも言い訳にはならない。

純粋なボール扱いの技術であれば、イランの選手よりも、クウェートの選手よりも、日本選手の方が上であるのは間違いない。だが、そのテクニックを試合で生かせていないのだ。相手のプレッシャーを受けるとテクニックを発揮できないということなのか。そうであれば、本当の意味でのスキルが身についていないということになるのだが、問題はそれ以前のところにある。もっとトライしてみないことには、「ハイプレッシャーの中でテクニックを発揮できない」という課題すら見えてこない。もっと自信を持って、まずしかけてみる。そういう姿勢を発揮してほしいのだ。それで、テクニックが通用しなかったら、それはそれで反省となり、自らの課題として今後取り組んでいけばいい。

「おとなしい選手が多い」というのは、このチームの立ち上げのときから言われていたことだ。「おとなしい」というのは性格の問題であって、変えることも難しいし、変える必要もないが、プレー面でしっかり体を張って戦う姿勢は持たなければならないし、吉田靖監督以下、指導陣は選手からそういう姿勢を引き出していってほしいものだ。

日本対クウェート戦の後の試合でイランがUAEと引き分けたため、グループAは混戦となった。グループ最終戦で日本がUAEに勝てばグループリーグ突破が決まるし、もう1つの試合の結果によっては1位通過の可能性もある。さらに、引き分けても2位以内に入れる公算が大きい。

そして、いよいよ問題の準々決勝ということになる。準々決勝に勝ってベスト4に入れば、来年のU-20ワールドカップ出場権を獲得できるのだが、最近の2大会、日本は準々決勝で敗退して世界への道を閉ざされている。相手は、どちらも韓国だった。

そもそも、このU-19年代の大会で、日本はほとんど韓国に勝ったことがない。小野伸二や高原直泰などを擁した黄金世代。ワールドユースで準優勝したあの世代ですら、アジアユースでは韓国と2回(グループリーグと決勝)対戦して、2回とも同じ1-2のスコアで敗れているのだ。U-19での大会は、韓国とどこで対戦するかによって成績が決まってくるのである。決勝で敗れれば準優勝。準々決勝で敗れれば、ベスト8止まりというように。

そして、今回の大会でも、グループリーグを勝ち抜くと、韓国が入っているグループBのチームと準々決勝で対戦することになる。そのグループBの方も、初戦で韓国とイラクが引き分け、2試合終了時点で両チームがまったく並んでいる状態で、どちらと当たるかまったく予想できない状態だ。最終戦は韓国のグループBの方が早い時間に行われるから、UAE戦が始まる時点ではグループBの順位は確定している。今の日本代表は、「他のグループの結果を見て2位狙い」などという余裕はあるようには思えないが、しかし、イランとクウェートの試合展開によっては、わざと引き分けて韓国との対戦を避けることも可能だろう(19歳のプロ選手であれば、そういう、大会を通しての戦い方というものを経験させるのも悪いことではない)。

しかし、最初の2試合であまりにも不甲斐ない試合をしてしまったU-19日本代表には、韓国との激しい試合を経験させることで刺激を与える方が良いのかもしれない。「世界大会での経験」を云々という前に、アジアの相手ともっと激しく、もっと気持ちのこもった試合をしておかなければ……。

来週の水曜日、11月14日には、フル代表がワールドカップ予選でオマーンと試合をする。僕も、このオマーン戦の観戦に行くのだが、その前にUAEに寄って準々決勝を見てから行くか、それともバンコクに立ち寄ってフットサルのワールドカップを見てから行くかと、いろいろ検討した末に、今回は2泊5日のオマーン単純往復にしてしまった。だが、U-19代表の不甲斐ない試合を見ていて、やっぱり準々決勝の日韓戦を見てから行く日程にすべきだったかと反省しているところである。かなり自虐的な意味で、ですね。

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後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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