フランス・リーグアンを楽しむための最大のツボは、これから世界的にブレイクしそうな“金の卵”を発見することにある。俗に言う青田買いというやつだ。

今シーズンで言えば、リールから約40億円でチェルシーに移籍し、今や日本でもすっかり有名になったベルギー代表のエデン・アザールがその筆頭。リーグアン好きのサッカーファンなら、4年ほど前からアザールの非凡な才能に目を奪われていたはずだ。

そのアザールはもちろん、それ以外でもこれまでリーグアン中継や「foot!」で数多くのリーグアンの有望選手を紹介してきた。で、その度に言っているのが、「リーグアンでブレイクした選手は、おおよそどこのリーグに行っても活躍できる」ということだ。
もちろん個人的な思い入れがゼロとは言わないが、これが単なる私見ではないことはご理解いただきたい。あくまで、ヨーロッパのマーケットがそう言っているのだ。

「フランス=育成先進国」、「リーグアン=欧州最大の青田買いマーケット」。
これが、ヨーロッパサッカーの常識であり、通説なのだ。

そもそもヨーロッパの強豪クラブで活躍するフランス人選手、あるいはアザールのようなフランスで育成された外国人選手が目立つようになったのは、ボスマン裁定が移籍ルールに適用された96−97シーズン以降のことだと記憶する。

当然、その前の時代にもプラティニやカントナやJPP(ジャン・ピエール・パパン)のような大物もフランス国外で活躍していたのだが、それはどこの国も同じこと。要は、お金のあるクラブが大物助っ人外国人を集めた中のひとりという位置付けに過ぎない。

だが、ある意味で移籍の自由化が施行されたそのボスマン初年度、当時リーグアン屈指の有望タレントだったジダン(ボルドー→ユベントス)、ジョルカエフ(PSG→インテル)、デュガリー(ボルドー→ミラン)、ブラン(オセール→バルセロナ)、テュラム(モナコ→パルマ)らが、こぞってビッグクラブに移籍。
その後もアンリ(モナコ→ユベントス→アーセナル)のようなフランス代表クラスの選手やドログバ(マルセイユ→チェルシー)に代表されるようなフランス育ちのアフリカ人選手が続々と主要リーグの名門に羽ばたいている。

以降、現在に至るまで、さきほど言った常識、通説は変わっていない。それはつまり、裏を返せばフランスが絶やさず有望タレントを育成し続けているからだ。

世界のお手本と評されるフランスの育成システム。
日本のサッカーファンの間でも、アンリやアネルカを育てたINF(フランス国立サッカー学院/研究所)、通称クレールフォンテーヌの存在がよく知られているが、フランスの育成システムが本格的に着手されたのは、何と1972年にまで遡る(ちなみにクレールフォンテーヌは地名で、クレールフォンテーヌ国立研究所が正式な施設名)。

選手の発掘と育成に目を付けたフランスサッカー連盟は、当時のブローニュ代表監督の下、全国的な選手の育成改革に着手すると、その2年後にはオヴェルニュ州のヴィシーにINFを創立。そこで若手選手のエリート教育をスタートさせたのである(クレールフォンテーヌは、そのヴィシーにあったINFが1988年に移転したもの)。

もちろん、それだけではない。選手を育てるには、優秀な指導者が必要不可欠ということで、エリートを育てる指導者の養成、そして連盟の指導方針を全国に伝えるための各地域アドバイザーと各県のアドバイザーの人材育成も怠らなかった。

細かいところは割愛させていただくが、その後はヴィシーのINFを見本として、各プロクラブが同じフィロソフィーのアカデミーを積極的に推進し、フランス各地に16〜18歳を対象にした「フォルマシオン(育成センター)」が網の目のように広がっていった。
そしてこの改革の成果が、1984年のユーロ優勝を含めた80年代のフランス代表の活躍となって花開いたのである。

さらに育成改革の第2弾は、80年代後半からスタート。89年から連盟内に最高技術部門「DTN(ディレクシオン・テクニーク・ナシオナル)が組織され、その初代トップにジェラール・ウイエが就任。新たな育成強化システムが構築された。

そして、各クラブのフォルマシオンが充実してきたことに伴い、クレールフォンテーヌに移転したINFでは対象年代を13〜15歳に引き下げ、プレフォルマシオン(前育成センター)という新機軸でよりエリート色の強いプログラムを推進。フランス各地域にも設立されたこのINFのプレフォルマシオンが見本となって、今度はプロクラブでもプレフォルマシオンが広がっていく……。
1998年ワールドカップ優勝とユーロ2000の優勝。簡単に言えば、これが改革第2弾の成果というわけだ。

かなり駆け足の紹介になってしまったが、これがフランスで優秀なタレントが育成されている重要なバックグラウンドと言えるだろう。
もっとも、近年はINFよりフランスに30以上のプロクラブが持つ連盟公認のフォルマシオンが育成の中心となっている。ただし、基本方針は連盟のDTNが策定している点は見逃せない。 連盟管轄のINFと各クラブが一体となって推進される見事な育成システム。各都道府県協会とクラブの関係がぎくしゃくする日本からすると、何とも羨ましい環境だ。

今回は少し難しい話になってしまったが、こんなことを頭に入れながらリーグアンを見てみると、現在優秀なタレントを多く育成しているクラブがどこなのかが、きっと分かってくるはずだ。
そうなれば、あなたもヨーロッパサッカーの青田買いマイスターになれるかも!?

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中山 淳
1970年生まれ。山梨県甲府市出身。ワールドサッカーグラフィック編集長を経て、2005年に独立。サッカージャーナリストとして専門誌、スポーツ誌、Web媒体に寄稿する他、J SPORTSではフランスリーグ中継の解説、「Foot!」にも出演。紙媒体やデジタルコンテンツの編集制作をする有限会社アルマンド代表。同社のサッカーコアマガジン「フットボールライフ・ゼロ」発行人。フットボールライフ公式Webサイト»http://www.footballlife.jp

お知らせ

■12/13 フランス リーグ・アン 放送予定■
10月27日(土)26:54 J SPORTS 2 生放送 第10節-1 ナンシー vs. パリ・サンジェルマン
10月29日(月)04:54 J SPORTS 2 生放送 第10節-2 マルセイユ vs. リヨン

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