関東大学対抗戦Aグループと関東大学リーグ戦1部の16校が参加する交流試合、「関東大学春季大会」がこの春よりスタートした。これは公式戦の試合数を増やすとともに、いままで大学選手権等に限定されていた対抗戦勢とリーグ戦勢の対戦機会を増やすことで、大学ラグビーの強化と活性化につなげる目的で新設された大会だ。開催方式は前年の成績をもとに両リーグが上位Aグループ(4校)と下位Bグループ(4校)に分かれ、それぞれ同グループ内の相手リーグの4校と総当たり戦4試合を行う。

新しい戦力を試したい時期でもあり、まだまだどのチームも成長途上の段階だが、緊張感の中で公式戦を戦うことによって見えてくるものがあるのは確かだ。ここでは今季の大学シーンをわかせてくれそうな関東の9校プラス関西の2校をピックアップ。招待試合や練習マッチを含めた戦いぶりから、各チームの今季の戦力分析と展望を紹介する。

【天理大学】
[関西大学リーグ戦優勝/2011年度大学選手権準優勝]

◆春の主な戦績
4月22日 対摂南大 ●33-38
5月6日 対明治大 ○41-40
5月20日 対大阪体育大 ○50-12
6月4日 対立命館大 ○20-10
6月10日 対関西学院大 ●14-24
6月16日 対同志社大 ○64-21

◆春の戦いぶり
昨シーズンのパフォーマンスは衝撃的だった。SO立川理道(現クボタ)のリードするBKラインがおもしろいように防御を切り裂き、スピーディーな連続展開で大きな相手を翻弄する。あと一歩で頂点には届かなかったものの、胸のすくようなランニングラグビーは多くのファンを魅了した。

2月25日の日本選手権で長いシーズンを終えた後、天理大はその翌週からさっそく新チームでスタートを切った。「違和感なくすっと入れました。学生はオフがなくてかわいそうですけど」と小松節夫監督は笑う。あえてブランクを開けずチーム作りを始めたのは、今季にかける意気込みの表れだろう。

始動から1か月あまりで迎えた初戦の摂南大戦は、ほとんどのメンバーを入れ替えた後半に5トライを失い、黒星スタートとなった。しかし5月6日の明治大戦では、持ち前のテンポのいいライン攻撃が威力を発揮。後半39分の逆転トライで、シーソーゲームを制した。6月に行われた関西リーグのライバル3校との顔合わせでは、多くの主力が欠場した関西学院大戦こそ敗れたものの、同志社大には大勝。あらためて地力の高さを証明した。

◆戦力分析
部史上初の大学選手権決勝進出を果たしたチームから主軸の10人が卒業した。「普通やったら厳しいと思うでしょうね」と小松監督も認めるように、大駒の抜けた影響は否めない。それでも指揮官は、「少なくともいいチームを作ることはできる」と自信をみせる。

FWで中心となるのは、昨年の選手権準優勝メンバーである芳野寛主将、金光大生の両PRとFL唄圭太の3人だ。サイズ的には昨季よりさらに小型化したため、運動量と低さ、激しさを武器に、いかに8人でまとまって戦えるかがカギになる。

BKはSO立川、CTBアイセア・ハベアの2枚看板が抜けたものの、新戦力の台頭で今年も強力なラインに仕上がりつつある。楽しみなのは2年時に高校日本代表に選出された経験を持つWTBモセセ・トンガ(日本航空石川)。1年生ながら強烈なタックルと弾丸ランで1軍に定着、明治大戦で3トライを挙げるなど出色のプレーを見せている。前年のレギュラーであるWTB宮前勇規、FB塚本健太と組むバックスリーの得点力は大学屈指だろう。CTBトニシオ・バイフと合わせアウトサイドに好ランナーが揃うだけに、SH山本昌太副将、SO斉藤遼太郎のHB陣のゲームメイクがポイントとなりそうだ。

◆今後の展望
昨季に比べ飛び抜けた選手がいないぶん、今季は全員のレベルを底上げし、チームトータルで戦うスタイルを目指している。もちろん戦い方の基本となるのは、これまで同様BKのフラットラインを軸にしたスピーディーなアタッキングラグビーだ。「まったく新しいチームになって、不安というより楽しみのほうが大きい。これまでのやり方を踏襲しつつ、今年のチームに合わせてアレンジしていきたい」と小松監督。

メンバーが大幅に入れ替わる中、今季のスタイルを浸透させるため、チーム作りは例年より早めに進められている。ここまでの戦いぶりを見る限り、ステップは順調。今年も関西の主役となるのは間違いないだろう。

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直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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