関東大学対抗戦Aグループと関東大学リーグ戦1部の16校が参加する交流試合、「関東大学春季大会」がこの春よりスタートした。これは公式戦の試合数を増やすとともに、いままで大学選手権等に限定されていた対抗戦勢とリーグ戦勢の対戦機会を増やすことで、大学ラグビーの強化と活性化につなげる目的で新設された大会だ。開催方式は前年の成績をもとに両リーグが上位Aグループ(4校)と下位Bグループ(4校)に分かれ、それぞれ同グループ内の相手リーグの4校と総当たり戦4試合を行う。

新しい戦力を試したい時期でもあり、まだまだどのチームも成長途上の段階だが、緊張感の中で公式戦を戦うことによって見えてくるものがあるのは確かだ。ここでは今季の大学シーンをわかせてくれそうな関東の9校プラス関西の2校をピックアップ。招待試合や練習マッチを含めた戦いぶりから、各チームの今季の戦力分析と展望を紹介する。

【帝京大学】
[関東大学対抗戦/2011年度大学選手権優勝]

◆春の主な戦績
4月29日 対大東文化大※ ○98-0
5月13日 対関東学院大※ ○73-24
5月27日 対明治大 ○59-26
6月3日 対流通経済大※ ○29-15
6月10日 対東海大※ ○57-10

※は関東大学春季大会(公式戦)

◆春の戦いぶり
史上2校目となる大学選手権3連覇を達成した昨季のチームからレギュラー8人が卒業した。SO森田佳寿主将を筆頭に、SH滑川剛人、CTB南橋直哉、LOティモシー・ボンドら下級生時代から主軸として活躍してきた選手がごっそり抜けただけに戦力ダウンを不安視する向きも多かったが、そんな声を一蹴するかのように、今季も圧倒的な力を誇示し続けている。

春季大会の初戦で大東文化大を98-0と粉砕すると、続く関東学院大戦でも11トライを奪う猛攻で大勝した。圧巻だったのは5月末の明治大戦だ。3年生にしてこの春日本代表にも選出されたSO中村亮土を軸に緩急自在のアタックを披露し、前半だけで47点を奪って格の違いを見せつけた。昨季のリーグ戦王者、流通経済大との試合は主軸数名を欠いた影響もあって前半12?10と苦しんだものの、後半にきっちり立て直して勝利。さらに東海大にも完勝し、地力のあるところを証明した。

◆戦力分析
今季もチームの根底を支えるのは大学ラグビー界随一の強力FW陣だ。わけてもバックファイブの迫力は強烈。第3列は昨年のスターターがそのまま残り、LOジョシュア・マニングも体がひと回り大きくなってたくましさを増している。岩出雅之監督が「FWの中心的存在」と認めるNO8李聖彰、LO小瀧尚弘が復帰すれば、さらに盤石の布陣となる。メンバーが入れ替わったフロントローでは、2年目の森川由起乙が成長し豊富な運動量でアピール。リーダーシップに定評あるHO泉敬が最前線でチームを牽引する。

BKにも好選手は多い。CTBからSOに戻った中村亮土は、腰の強いランニングと攻撃的なゲームメイクで森田の穴を見事に埋めている。ミッドフィールドでは2年生のCTB権裕人が、ペネトレーターとして持ち前のパワフルな突破力を発揮。1年時から15番を背負うFB竹田宜純の安定感抜群のフィールディングも心強い。

1年生ではNZの強豪ケルストンボーイズ高からの留学生、FLマルジーン・イラウアやPR深村亮太、SH荒井康植(ともに佐賀工業)、PR浅堀航平(京都成章)がすでに公式戦で先発しているほか、HO/FL坂手淳史(京都成章)やPR徳永一斗(佐賀工業)らが1軍デビューを果たしている。

◆今後の展望
シーズン終盤にピークを合わせるところから逆算し、じっくりとチーム作りを進めるアプローチがここ数年で定着した。流通経済大戦後、岩出監督が「春シーズンで結果に一喜一憂することはない。一つひとつ積み上げてくれれば」と語ったように、今季も先を見据えながら着実に地力を高めるスタイルを貫く。史上初の大学選手権4連覇がかかる年となるが、「追われる立場という意識はまったくない。今年のチームのよさを発揮して、挑戦的に臨むことを追究していく」と岩出監督。看板の強力FWと堅固な組織防御は維持しつつ、積極的にボールを散らして外で仕留めるアタックにも継続的に取り組んでいる。「これから半分くらいメンバーは変わるでしょう」と岩出監督がいうように、今季の本当の姿が見られるのは、ケガ人が続々と復帰する夏以降になりそうだ。

photo

直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ