プレミアリーグの最終戦で暴力行為をはたらいたQPR(クイーンズ・パーク・レンジャーズ)の主将、MFジョイ・バートン(29)に対し、FA(イングランド協会)は12試合の出場停止処分と、罰金7万5000ポンド(約975万円)という厳しい処分を下した。バートンの戦線復帰は10月末か11月になる見込みだ。

13日のマンチェスター・シティー戦でバートンは、FWカルロス・テベスに対する悪質なファウルでレッドカードを受けたあと、退場する直前、FWセロヒオ・アグエロを蹴飛ばし、主将のDFバンサン・コンパニともみ合いになった。結局、試合は10人になったQPRがロスタイムに連続2失点して2-3で逆転負け。結果的にQPRはプレミア残留を果たしたが、マンシティーの優勝を許した。

処分の詳細は、テベスへのファウルが4試合停止で、アグエロとコンパニへの行為が8試合停止だという。これはプレミアリーグ史に残る事件になったが、過去の事例と比較すると、意外に処分は軽かった、という印象だ。例えば、1995年1月にマンチェスター・ユナイテッドのFWエリック・カントナが、観客へ跳び蹴りをした。いわゆる「カンフーキック事件」だが、このときカントナは9カ月間の出場停止を受けている。また1998年9月にシェフィールド・ウェンズデーのFWポール・ディカニオが、レッドカードを受けたあと、主審を押し倒したときは、計11試合の出場停止だった。主審への暴力行為よりも、相手選手への暴力のほうが重罪、ということなのか…。

バートンが退場処分を受けるのは、今季2度目で、10年間のプロキャリアのなかで6度目だ。ほかピッチの内外でも、いくつもの問題を起こしてきた。例えばマンシティー時代の2004年12月、クリスマスパーティーのさなか、火のついたタバコの吸殻をチームメートの目に押しつけたことが発覚。2005年7月にチームが泊まっていたバンコクのホテルで、15歳のファンと口論。2006年9月、敵地でのエバートン戦後、試合中に野次を飛ばし続けていたファンに向かって、パンツを下げた。2007年5月にトレーニング場でチームメートと口論…。

ニューカッスルへ移籍したあと、2009年5月、リバプール戦でMFシャビ・アロンソに悪質なファウルをしかけた。バートンはこのシーズンの残り3試合出場停止になり、残留争いをしていたニューカッスルは降格。2010年11月にはブラックバーンのMFペデルセンの胸を殴って3試合停止…。

才能ある選手で、1度だけだが2007年にイングランド代表としてプレーした経験もある。チャリティー活動にも熱心で、メディアに対してもよく話すし、ツイッターでよくつぶやいている。根は悪くないのだろうが、すぐに切れてしまい、見境がつかなくなる。

もし日本でこれほど繰り返し、問題を起こしていたら、サッカー界から追放されているだろうが、イングランドはとてもこうした悪童に対して寛容だ。とはいえ、もう少しセルフコントロールする能力も身につけないと、本当に身を破滅させてしまう。バートンはもっと、自らに才能に与えてくれた神に感謝し、それに報いなければならない。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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