バスケットボールの花ともいえるダンクシュート! バスケットボール選手ではなくても、体育の授業などでバスケットを経験した人にとって一度はやってみたいプレーだと思います。 なぜ、その花形プレーをNBAの選手はいとも簡単できるのでしょうか!?やはり身長の問題なのでしょうか?
今回はダンクシュートを成功させるためのジャンプ力との関係について調べてみたいと思います。

168cmでもダンクシュートができる!?
NBAなど海外の試合を見ていると次々にダンクシュートを決めるシーンを目にしますよね。これだけを見ると「ダンクシュートは身長が高くないと出来ない」と思っている人も多いのではないでしょか!? でも、それだけではないのです。
1986年、NBAオールスターで行われたダンクコンテストでスパッド・ウェッブという、なんと身長168cmの選手が優勝しているのです。168cmといえば、日本の16歳男子の平均身長(170cm※1)より低いということになります。単純に人並みはずれたジャンプ力とはイメージできますが、実際はどのくらいの高さなのでしょうか?

五輪代表選手より凄い!
身長170cmの選手が片腕を伸ばした時の指先の到達位置は身長と腕の長さの関係から2m30cm程度と考えられます。地上から3m05cmの位置に設置されている、直径45cmのバスケットボールリングにダンクシュートを決めるためには手首ぐらいまでリングの上に出さなくてはいけません。ですから、2m30cmから手の平分の長さ約20cmを引くと、2m10cmになります。
床から2m10cmの位置にある手首を3m05cmの高さまで持ち上げダンクシュートを決めるためには、垂直跳で単純に計算すると95cmの跳躍力が必要です。これは日本の五輪選手の垂直跳平均72.7cm(※2)よりも20cm以上も高い数値になります。

身長が何センチあればダンクシュートが決められる!?
実際にシュートのときは垂直跳ではなくランニングジャンプ(助走をつけて跳びあがること)ですが、人間が跳躍出来る高さの限界はランニングジャンプで120cm程度と言われています。と言うことは、逆算するとダンクシュートができる床から手首までの最小の高さは「305cm(リングの高さ)+20cm(手の平)−120cm(跳躍最高値)=205cm」と求められ、身長にすると1m60cm前後の選手までが極限に近いほどジャンプ力に秀でていればダンクシュートの可能性はあると言うことになるのです。

現在NBAでは、160cm台とはいきませんが、175cmでダンクシュートを決める選手がいます。その名はネイト・ロビンソン(ボストン・セルティクス)。何を隠そうこのネイト・ロビンソンは、今年行われた大会を含め、3度オールスターのスラムダンクコンテストで優勝しており、2009年には211cmのドワイト・ハワードを飛び越えてダンクシュートを決めたというまさに鳥人。2月にはプレイオフ出場を決めたボストン・セルティックスへ移籍したので、プレイオフの中継で見る機会があるかもしれません。その際は、その目で極限に近いジャンプを確認してみてはいかがですか!?

※1:平成20年度学校保健統計調査より
※2:日本体育協会HPより
1996年アトランタオリンピックおよび2000年シドニーオリンピック代表選手についての体力測定値の種目ごとの平均

photo

櫻井 智野風
1966年生。神奈川県出身。博士(運動生理学)。現在は桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部教授として指導と研究に取り組んでいる。スポーツ科学、スポーツ生理学を専門分野とし、主な著書に「不調の原因を解消する本」(2014/判佝如法◆屮薀鵐縫鵐阿里がく」(2011/秀和システム)などがある。その他に日本陸上競技連盟の普及育成委員を務め、東京オリンピックに向けたジュニア世代の育成強化に力を注いでいる。自らも選手として活躍していた十種競技を中心に世界選手権や五輪などに出場する日本代表選手などを強化に関わっている。

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ