いまイングランドでは派手なカラースパイクが再び論議を呼んでいる。昨季アーセナルのFWニコラス・ベントナーがショッキングピンク色のスパイクを履き、「何事だ、女性の色だ!」「いいじゃないか、男が履いても」と賛否で沸いたのは記憶に新しいところだ。今度はマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督が「黒しか履いてはならぬ」とカラースパイク禁止令を出したのである。

といって、マンUのファーストチームの選手ではなく、ユースの選手に対する話。一度でもリザーブチームや、トップチームに上がった選手は色物を履いてもいいが、“ぺいぺい”は、昔ながらの黒じゃなきゃいかん、というわけだ。

ちなみに英国では、サッカーのスパイクのことは「フットボール・ブーツ」と呼ぶ。「スパイク」といっても通じない。米国では「サッカー・シューズ」だ。なぜ日本ではスパイクと呼ばれるようになったのだろう。野球の「スパイク」からきたのだろうか…。

余談はさておき、かつて90年代初めまでサッカーのスパイクといえば、黒しかなかった。だが90年代中ごろ、白色が出て、その後はカラフルな色が次々と登場。いまや欧州に限らず世界中の各リーグ、カップ戦では、黒一色を履いている選手のほうが少数だ。

マンUで絶好調のルーニーはナイキ・トータル90の赤+黄緑色を履いているし、昨季までマンUで、今季からレアル・マドリード(スペイン)のクリスティアーノ・ロナウドは同じナイキだが、異なるマーキュリアル・ヴェイパーのみかん色を好んで履く。ACミランのベッカムはアディダスのプレデターの赤や白が定番だ。

かくいう私もずっと黒を履いていたが、つい数年前に赤を履き始めて以来、そのあとシルバー、昨年秋にもうひとつ赤を購入した。おっさんだから、派手なスパイクを履くのは抵抗があったが、いざ履いてみると、何だか気分が軽い。いまでは派手な色を履いたほうが、上手くなったような気がするから不思議だ。

プレミアの選手が派手なスパイクを履くのは、実は自分の好みというよりは、コマーシャル活動の一環である。ベントナーがピンクのスパイクを履いたのも、ナイキとの契約があったからだ。いまトップ選手たちが、カラフルなスパイクを履くのは、スポーツメーカーの戦略、ということは重々分かっているつもりだが、次はルーニーか、ロナウドが履いているやつが欲しいと思ってしまう。さすがにベントナーのショッキングピンクには手が出ないが…。

ようやくここまで書いて、ファーギーのお触れの真意は、まだプロ契約もしていないのに、スポーツメーカーの広告塔になるのは早い、という意味があるような気がしてきた。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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