最終局面に突入している2009年J1。残り4試合というところで、今季頭から低迷が続いていた大分トリニータのJ2降格がついに決まった。そして大宮アルディージャが浦和レッズに快勝したことで勝ち点12差をつけられたジェフ千葉も、事実上の降格が決定。大宮と勝ち点9差の柏レイソルも、11月8日の第31節に3シーズンぶりの2部落ちが決まる可能性が一気に高まった。

大分は24日の京都サンガ戦を1−1で引き分け、悪夢が現実になった。今季前半の14連敗があまりに痛かった。今季の大分は全てが後手後手に回った。昨季のナビスコカップ優勝の影響で全選手に年俸アップをしなければならず十分な補強ができなかったこと、シーズンスタートが遅れたうえにパンパシフィック選手権出場でフィジカル強化ができなかったこと、チーム躍進の功労者だったシャムスカ前監督の更迭が遅れたこと、そしてポポヴィッチ監督の戦術浸透に予想以上の時間がかかったこと…。こうした要素が絡み合って、7年間守り続けてきたJ1の地位を失う結果になった。

今後もさらなる苦境が予想される。西川周作、金崎夢生、森重真人…。大分には日本サッカーの近未来を担うと評される若手タレントが揃う。彼らをJ1クラブが獲得しようとすでに食指を伸ばしているのだ。柏が2005年にJ2に降格した際、明神智和(G大阪)や玉田圭司(名古屋)、矢野貴章、永田充(ともに新潟)らがJ1でのプレーを求めてチームを去ったように、大分も同じことにならないとも限らない。ただ、香川真司(C大阪)のようにJ2にいてもグングン成長し、日本代表入りする選手も実際にはいる。金崎らがどんな道を選ぶのか気になる。

万が一、若手が抜けてしまったら、それに代わる戦力を補強する資金が今の大分にはない。それも非常に頭の痛いところだ。すでにメインスポンサーだったマルハンが撤退。新たにユニフォームスポンサーとなったフォーリーフジャパンに対して一部サポーターが批判的な姿勢を示すなど、この会社との関係も微妙だ。これまでは「九州唯一のJ1クラブ」として営業に回っていた溝畑宏社長以下クラブ首脳陣も、方向性を修正せざるを得ないだろう。最悪の場合は資金難から10年間、J2での戦いを強いられた湘南ベルマーレのような道をたどる恐れもある。

昨年のナビスコカップ優勝で「地方の小クラブでもタイトルが取れる」という大きな夢を与えてくれたクラブがこのまま頭打ちになってしまうのだけは残念である。何とか打開策を見出してほしいものだ。

そして千葉2チームがJ1から消えることが現実味を帯びてきたことも注目に値する。柏がJに上がった95年から現在に至るまで、千葉勢はJリーグで重要な地位を占めていた。柏は99年ナビスコカップで初優勝。西野朗監督が率いていた頃は毎年上位をキープする魅力的なチームだった。千葉もJ2部制がスタートした当初は降格争い常連だったが、2003年のイビチャ・オシム前日本代表監督就任で大きく流れが変わり、2005・2006年のナビスコカップで連覇を成し遂げるほどの飛躍を遂げた。が、柏は2006年のJ2経験を十分に生かしきれずに同じ道を辿りつつある。千葉にしても昨季の奇跡の残留をもっと真剣に受け止めていたら、こんな事態にはならなかっただろう。単に現場のみならず、フロントの責任は非常に重いといえる。

95年からの10年あまりを振り返ってみると、千葉県のサッカーが急成長した時期にちょうど重なる。95年度は柏レイソルジュニア、千葉市高洲第一中、習志野高と千葉県内の2〜4種のチームが全て全国制覇を果たした。95年正月の高校選手権でも市立船橋が選手権初優勝を成し遂げており、「新サッカー王国」の名をほしいままにした。ユース以下の年代が強くなれば、当然地元にあるJクラブのレベルも上がる。柏や千葉が徐々に力をつけていったのも、こうした育成年代のレベルアップと無関係ではない。

だが最近は、千葉県から優れた選手が思うように出てこなくなった。千葉県サッカー協会関係者によると「際立った子供はFC東京や鹿島アントラーズら他のクラブの下部組織に入ることが多くなり、市船や習志野、流通経済といった高校にも非凡な選手があまりいなくなってしまった」という。以前はJクラブの中で最も先進的な育成をしているといわれた千葉の下部組織からも選手が育たなくなり、柏の下部組織出身者も大きくブレイクする存在が見当たらない。そんな現状も千葉と柏の苦境に影響しているようだ。

柏に関しては、残りの4試合で全勝すれば、まだ奇跡が起きるかもしれない。千葉のサッカーの火を消さないためにも、最後の粘りを見せてほしいものだ。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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