(c)Yuzuru SUNADA
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2008年最後のグランツール、第63回ブエルタ・ア・エスパーニャが7.7kmのチームタイムトライアルで開幕した。2005年にも大会スタート会場となったスペイン南端アンダルシア地方のグラナダは、日中の気温は30度を超える。そのためか太陽の照りつける昼間を避けて、夕刻18時45分からレースは始まった。

タイムトライアルの舞台となったグラナダ市街地は道幅が狭く、カーブやロータリーも多かった。しかも、この日最初にスタートを切ったアンダルシア・カハスールでこの日最初の――記念すべき大会最初の――落車の犠牲者となったホセアントニオ・カラスコによると、アスファルトは「つるつると滑りやすかった」そうだ。ツール・ド・フランスを制し、優勝候補として乗り込んできたカルロス・サストレ(チームCSC サクソバンク)も「テクニックを要する、思った以上に難しいコースだった」と告白している。

こんな難しいコンディションの中で、8分21秒でゴールラインに飛び込んだリクイガスが、2位以下に8秒差をつけて優勝を決めた。7月のフランスでは第一目標であった区間勝利を上げられなかったが、8月末のスペインでは初日で早くも目標達成。そして同時にゴールに飛び込んだチーム7選手のうち、先頭でゴールラインを通過したフィリッポ・ポッツァートが今大会最初のリーダージャージ“マイヨ・オロ”=ゴールデンジャージを着用した。ツール・ド・フランスではすでに2回の区間優勝経験のあるポッツァートだが、3大ツールでのリーダージャージ獲得は初めての体験だ。

中間計測地点で1位のタイムを叩き出し、自転車ファンにちょっとした衝撃を与えたのがエウスカルテル・エウスカディ。なにしろバスクチームはピュアクライマー揃いだけに、これほどの快走は誰も予想さえしていなかったのだ。残念ながら後半少しタイムを落としたが、エウスカルテルは堂々の2位ゴールを果たした。チーム内で先頭通過のイゴール・アントンが総合8位につけ、地元スペイン選手としてはトップの座に立った。また首位とは9秒差3位のケースデパーニュではアレハンドロ・バルベルデがトップゴール。両者ともマドリードの表彰台争いに絡むと予想される選手であり、ライバルたちからほんのわずかながらリードを奪ったことになる。

リードを奪われた・・・と言っても、チームと共に5位ゴールのサストレはバルベルデから失ったのはわずかに2秒。またTT巧者を揃え、前評判では今ステージ優勝候補ナンバーワンに挙げられていたアスタナだが、アルベルト・コンタドールが語るように「カーブでは極めて慎重に走った」せいかバルベルデから5秒遅れの9位に終わっている。ただし今季2つ目のグランツールタイトルを狙う両者自身は「数秒上回っているとか下回っているとか、そんなことは重要ではない」(サストレ)、「タイム差はあまりにもわずかだから、大して気にしていないよ」(コンタドール)と語っている。


●フィリッポ・ポッツァート(リクイガス)
マイヨ・オロ

チーム全体にとって素晴らしい勝利だ。ボクを先頭通過させてくれたチームに感謝している。だってボクはシーズン終了後にチームを立ち去るんだから。最高のやり方でチームを離れることができるね。この勝利はボクだけのものではなく、チーム全体のものだ。でもボクにとっては初めてのリーダージャージだから、すごくいい気分だよ。

チームの勝利には驚いていない。今日のように短くて爆発力が必要なステージは、ボクらチームにぴったりだった。今朝、ルートを下見した時にボクら向きのステージだと理解したから、チームは全力を尽くすことに決めたんだ。


●イゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ)
総合8位

チームは非常にいい走りを見せられた。今日のステージは大いなる戦いにおける、小さな一バトル。ボクの得意分野は山岳だから、今後は山で全力を発揮したいと願っている。幸運にもチームリーダーに選ばれたから、将来のための経験を積みたいと思っている。目標はステージ優勝を挙げること。表彰台はまだ先の話だよ。とにかく一日一日戦っていきたい。

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宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

お知らせ

J SPORTSではブエルタ・ア・エスパーニャ2008全21ステージを生放送!
大会期間中はレースフォト&レポート、イラストレポート、各ステージの見所などを掲載!
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