前回のサルディニアラリーはフォード勢の健闘はありましたが、結局いつものようにロウブの頭脳的戦略に軍配が上がりました。次のトルコと共にターマックのドイツ、フランス、スペインが始まる前にフォードは勝っておく必要があったのでしょうが。ターマックになればシトロエンの第2ドライバーのダニエル・ソルドがぐっと上がってくるでしょうから、今リードしているメーカーポイントも脅かされてくるでしょう。ソルドは昨年よりもウデをあげています。6月中旬のトルコで前半戦終了し約一ヵ月半の休みに入ります。

アクロポリスラリーはモンテカルロ、スエーデン、フィンランド、英国などと共にWRCシリーズの歴史の中でビッグイベントのひとつです。今年で55回目の開催となります。悪路、高温で知られ、今はシリーズから外れているサファリと共にカーブレークラリーとして知られています。ラリー用車両製作数の制限が無かった時代にはメーカーティームはサファリ用、アクロ用、一般具ラベル用、ターマック用と4種類のスペックを持っていました。今はこんなことが出来ませんから車両の強度確保に頭が痛いところです。
ギリシャの最大の観光資源であるアクロポリスの神殿からスタートすることで知られているラリーですが、この10年間位の間に主戦場が頻繁に変わり、実際にはアテネから数百キロも離れて競技が行なわれてきました。また車両の強度も考慮して最近ではガレキ道にグレーダーをかけてスムーズに走れるよう道を良くして平均速度を上げるような方策を施してきました。
その結果、以前のイメージの荒っぽさが減少しつつあります。私の現役時代に参加した3台の車が全てフレーム亀裂でリタイアした事もあります。一方でサインツがセリカでWRC初優勝したのもここアクロポリスでした。

今年のコースはアクロポリスの丘のセレモニアルスタートはありますが、比較的アテネから近いタトイの軍用飛行場に本部もサービスも移り、よりコンパクトになります。各デイの走行距離は3等分ずつで、ほかのラリーではよく見られるデイ3が極端に短くなっていないので最後まで油断が出来ません。少しは楽になったイベントですがデイ2では昔のように鋭い石が散乱しツイスティな山岳路ですから、今の時期の気温の高さから車にもドライバーにも過酷なラリーです。デイ3には相当な高速コースも用意されていますので本格的なグラベルを楽しむことが出来そうです。
今年からムースタイヤの使用が禁止されています。トップドライバーにとってこれが一番心配な点でしょう。PWRCはそのレギュレーションで車両の大幅補強が出来ませんので車両をいたわりつつ勝負するという頭脳プレーが要求されます。

スバルがアクロポリスで新型の導入を発表しました。このところの低迷を一気に吹き飛ばすか注目です。事前テストで熟成が出来ているのか、まだ不十分なのか期待半分、心配半分ですが、3強復活に大いに期待しましょう。

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福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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