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0610kurume3.JPG共に初めての全国を明確に目指す強豪同士の激突。大成と東京朝鮮の一戦は、引き続き東久留米総合高校グラウンドです。
4月の関東大会予選では多摩大目黒を1-0で退けると、優勝候補の一角と目されていた國學院久我山にも2-0で勝利を収めて一気に注目を集めたものの、準々決勝で都立狛江にPK戦で競り負け、悔しい敗退を突き付けられた大成。迎えた今大会の一次トーナメントは、毎年好チームを創り上げている私立武蔵を1-0で下して、"ベスト14"まで。同校初の準々決勝進出まではあと1勝です。
近年は各コンペティションで確実に上位進出こそ果たすものの、帝京同様に大事な代表決定戦で敗れることも少なくなく、悲願の全国には一歩及ばない状況が続いている東京朝鮮。今シーズンの関東大会予選は、初戦で都立松が谷を1-0で下すも、2回戦で駒澤大学高に0-1と惜敗。さらなる飛躍を誓い、臨んだ今大会は一次トーナメントで駒場東邦を4-0、日大三を4-1でそれぞれ倒して2回戦進出。「関東大会で負けた後に3年みんなでミーティングして、『絶対全国に行こう』という意思統一ができた」と明かすのはユン・チス(3年・東京朝鮮中)。その目標のためにも負けられない80分間に向かいます。清瀬はこの日の3試合で一番の本降りに。注目の好カードは大成のキックオフでスタートしました。


いきなりの先制パンチは3分の東京朝鮮。ホン・リジン(3年・東京朝鮮第一中)のパスを受けたリ・チャンギ(3年・東京朝鮮中)は、「前を見たら相手が誰も近くにいなくて、ゴールも空いていたので」思い切って30mミドルにトライすると、ボールはそのままゴールネットへ突き刺さります。「『おお、メッチャ良いコース行ったな』みたいな(笑) 喜びと驚きが半分半分でした」というリ・チャンギのゴラッソに、「ラッキーゴールというか予想外のゴールでしたね」と姜宗鎭監督が笑えば、センターバックのチョン・ユギョン(3年・東京朝鮮第一中)も「『ああ、スゲー。入った」みたいな感じでした」とこれまた笑顔。9番の一振りで、東京朝鮮が開始早々にスコアを動かしました。
以降もゲームリズムは東京朝鮮。7分にホン・リジンが蹴った左CKから、リ・チャンギが打ったシュートは大成の右サイドハーフを務める阪口駿(2年・あきる野東中)にクリアされたものの、8分にもホン・リジンの右CKはこぼれ、再びホン・リジンが上げたクロスに、リ・チャンギが合わせたボレーはゴール右へ。11分にも左サイドでパク・チュンボム(3年・東京朝鮮中)のパスから、エリア内へ潜ったキム・スソン(2年・東京朝鮮中)のシュートは、DFのクリアがわずかに枠の右へ逸れ、あわやオウンゴールというシーンに。「点数を決めた後も良い形ができていた」とはホン・リジン。続くレッドタイガーの攻勢。
15分には大成もようやくファーストシュート。ボランチの内田康平(2年・FC多摩)を起点に、左サイドを単騎で運んだ大石勇冴(2年・FC多摩)が枠内シュートを放つも、東京朝鮮のGKカン・ブラマ(3年・東京朝鮮第一中)がしっかりキャッチ。22分は東京朝鮮にFKのチャンス。中央左寄り、ゴールまで約25mの位置からユン・チスが直接狙ったキックは、カベに入っていた味方にヒット。23分にも東京朝鮮は1トップに入ったキム・チャンミョン(3年・埼玉朝鮮中)が足裏で巧みに残し、パク・チュンボムのシュートは大成のGK柴田憲伸(3年・府ロクJY)にキャッチされたものの、追加点への意欲を隠しません。
26分は大成。服部寛太(2年・FC府中)のドリブルで得た左FKを、今西奏真(2年・府ロクJY)が蹴り込むも、キム・チャンミョンが高い打点でクリア。31分は東京朝鮮。キム・チャンミョンのポストから、右に張り出したハ・ジュノン(3年・東京朝鮮第一中)が中央へ折り返すと、キム・スソンのシュートは柴田がセーブ。こぼれをキム・チャンミョンが落とし、再び打ったキム・スソンのシュートは枠の右へ。37分は大成。ここも左サイドをドリブルで持ち上がった大石は、ミドルレンジから枠へ飛ばすも、カン・ブラマが丁寧にキャッチ。「点を取れたことで勢いに乗れた所もあるんですけど、前半に2点目が欲しかったですね」とは姜監督ですが、最初の40分間は東京朝鮮が1点のリードを手にして、ハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから大成に2枚替え。服部と風岡信哉(3年・和光ユナイテッド川崎FC)の2トップに替えて、児島進之介(3年・府ロクJY)とルーキーの山田陸駆(1年・Forza'02)をそのまま最前線に投入し、アタッカーの顔触れに大きな変化を加えましたが、後半のファーストシュートも東京朝鮮。41分に右サイドでチェ・テソン(3年・埼玉朝鮮中)を起点に、縦に仕掛けたユン・チスのシュートは枠の左へ逸れたものの好トライ。大成も49分には右から今西がCKを蹴り込むも、キム・スソンが確実にクリア。スコアは変わりません。
53分は東京朝鮮。ホン・リジンがショートで始めた左CKをキム・スソンが戻し、ホン・リジンが放ったシュートはクロスバーの上へ。直後の53分も東京朝鮮。キム・スソンが左サイドを切り裂き、そのまま中央へ折り返すと、ワントラップからユン・チスが素早くゴール左スミへ打ち込んだシュートは、柴田が横っ飛びでキャッチ。55分も東京朝鮮。ホン・リジンの左CKをキャプテンのムン・ヒョンジュン(3年・埼玉朝鮮中)が残し、チョン・ユギョンが枠へ飛ばしたシュートは柴田がファインセーブで回避し、思わず頭を抱える4番のセンターバック。東京朝鮮にしてみれば「2点目を取れるかどうかが勝負の分かれ目」(姜監督)ではあるもの、大成も佐藤イライジャ(3年・FC.GRORIA)と金井渉(2年・FC多摩)の両センターバックを中心に守備の集中力は途切れず、なかなか届かない2つ目のゴール。
ここから15分近くは膠着した展開が続き、お互いにチャンスらしいチャンスを創り切れずにいる流れの中で、69分に大成ベンチはこの日2度目のダブルチェンジ。ボランチの宮田龍弥(3年・東久留米下里中)と大石を下げて、原統哉(3年・FC府中)と平川優大(2年・調布第八中)をピッチに解き放ち、最後の勝負へ打って出ると、70分には相手のクリアを拾った阪口がミドルを放つも、カン・ブラマががっちりキャッチ。いよいよ試合は残り10分とアディショナルタイムのみ。
78分は大成。右サイドバックの山梨雄也(3年・Forza'02)が果敢に縦へ仕掛け、原が放ったシュートは「口だけだったら周りが付いてこないのは当たり前なので、先頭に立ってみんなを姿勢で連れていくような、そういうキャプテンを目指しています」と語るムン・ヒョンジュンが体でブロック。80+3分も大成。右サイドから山田がクロスを上げるも、チョン・ユギョンが大きくクリア。「対人と空中戦は絶対に負けないことを練習中から求め合っています」(チョン・ユギョン)というセンターバックコンビが築く強固な堅牢。
姜監督も80+3分に1人目の交替を決断。キム・スソンとパク・スンテ(3年・東京朝鮮中)をスイッチして、着手するゲームクローズ。80+4分は大成のラストチャンス。右サイドのスローインを阪口が投げ入れるも、シュートには持ち込めず、東京朝鮮が凌ぐと、しばらくして聞こえたのは試合終了を告げるホイッスル。「自分たちの甘さにも気付かされましたけど、勝てたのが一番良かったですね」とホン・リジンも口にした東京朝鮮が、初の全国まであと2勝に迫る結果となりました。


昨年の選手権予選。関東第一に延長戦の末、3-4で敗れた準決勝はとにかく素晴らしいゲームでしたが、その一戦にスタメン出場していたのが、当時2年生だったホン・リジンとチョン・ユギョン。「ぶっちゃけまだ新チームになって、『あの時の試合は吹っ切れたよ』というような試合やプレーは全然なくて。あの時は途中交替だったんですけど、ベンチから水を渡す時も『頼むよ』とか、そういう声しか掛けられなくて、試合が終わった後もずっと泣いてたんです。あの時の悔しさはあの場じゃないと取り返せないと思いますし、それこそインターハイで全国に出ないと『俺はあの時から強くなったんだ』って思えないので、あの試合がモチベーションになっている部分もあるのは大きかったですね」(ホン・リジン)「あそこで勝っていればもっと違ったと思いますし、やっぱり全国を目指している上で、あそこを勝ち切らないとダメなので、日々の練習で培ったものを100パーセント出せるように、試合前の準備やメンタルの持ち方はだいぶ工夫して入るようになりました。アップの前に自分の体をちゃんとチェックして、30分は自分と向き合って、ゲームに入れるようにしているんです」(チョン・ユギョン)。"惜しい"で終わらない結果を手繰り寄せるため、あのゲームの経験を生かすべく、日々奮闘している様子が2人の言葉から窺えました。次は帝京との『十条ダービー』。「名門のチームとやれるということで、彼らが頑張ると思いますので、僕もしっかり手助けをして勝ちに行きたいと思いますね」と言い切ったのは姜監督。全国まではあと2勝。東京朝鮮の歴史を変え得る彼らの、行く先に待っているものは果たして。      土屋


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0610kurume2.JPG4月の関東大会予選でも対峙した両雄のリターンマッチ。早稲田実業と帝京のベスト8を巡る一戦は、引き続き東久留米総合高校グラウンドです。
昨シーズンは関東大会予選、インターハイ予選と共に東京8強まで勝ち上がり、選手権予選こそ都大会初戦で東京朝鮮にPK戦で敗れたものの、近年はコンスタントに都でも上位進出を果たしている早稲田実業。迎えた今シーズンの関東大会予選は、初戦で帝京に0-1で惜敗を喫しており、今大会の一次トーナメントで暁星と日大豊山を倒し、辿り着いたこのゲームは何が何でもリベンジを果たしたい所。気合十分で目の前の80分間へ向かいます。
ここ最近のトーナメントコンペティションでは、常にファイナルやセミファイナル近くまで勝ち上がってくるものの、代表決定戦での敗退が続いている帝京。新チーム初の公式戦となった関東大会予選も、早稲田実業、都立東久留米総合、成立学園と難敵を相次いで退け、関東大会出場に王手を懸けながら、準決勝で駿台学園に屈して、またも代表権は幻に。今大会は一次トーナメントの明大明治戦でも開始早々に先制を許しながら、終わってみれば6ゴールを奪ってこのステージへ。久々に夏の全国を手繰り寄せるためにも、このクォーターファイナルは落とせません。清瀬の上空からは1試合目以上にはっきりとした雨粒が。意地と意地のぶつかり合いは、12時ジャストにキックオフされました。


均衡が破れたのは開始早々の8分。立ち上がりから左サイドのアタックで優勢を取りつつあった早実は、ここも左サイドで10番の橋山航輔(3年・横浜F・マリノスJY)が、センターバックの鈴木俊也(3年・FC東京U-15深川)が通したスルーパスに抜け出すと、切り返してから中央へラストパス。ここに走り込んだ木下悠人(3年・FC.GIUSTI世田谷)のシュートは鮮やかにゴールネットを揺らしてみせます。勢いそのままに3年生コンビで先制弾を。早実が1点のリードを手にしました。
「前回の試合も立ち上がりに失点していて、『締めよう』という話だったんですけど、今回もまた立ち上がりにやられてしまった」と入澤大(3年・FC東京U-15深川)も話した帝京は、またも1点を追い掛ける展開に。12分には三浦颯太(3年・FC東京U-15むさし)の左クロスがこぼれると、佐々木大貴(3年・FC東京U-15むさし)のシュートは早実の左サイドバック新井田裕介(2年・東急SレイエスFC)が体でブロックし、その流れから塩入颯斗(3年・横河武蔵野FC JY)が上げた右クロスに、195センチの赤井裕貴(3年・FC東京U-15むさし)がヘディングで合わせるも、ボールはクロスバーの上へ。同点とは行きません。
逆に17分は早実に決定機。左サイドを単騎で抜け出した橋山は、そのままシュートまで持ち込むも、ここは帝京のGK白鳥俊介(3年・板橋高島第二中)が果敢に飛び出してファインセーブ。18分は帝京。右サイドを中島涼太(3年・練馬石神井中)がえぐり切り、折り返しを赤井がシュートまで持ち込むもヒットせず。21分も帝京。中盤で前を向いた入澤がスルーパスを送り、3列目から中村伶央(3年・FC東京U-15深川)が抜け出すも、早実のGK山崎泰斗(2年・浦和レッズJY)は果敢に飛び出し、オフェンスファウルになりましたが、「みんなで慌てないでできたかなという感じです」とは三浦。少しずつ帝京が押し戻します。
30分は早実。オーバーラップした鈴木が左アーリーを放り込み、収めた橋山が右へ流れながら打ったシュートは白鳥がファインセーブで掻き出し、こぼれを橋山が中へ送るも、植村竜也(2年・東京SAISON)とはわずかに合わず。31分は帝京。佐々木を起点に、三浦がダイレクトでスルーパスを通し、入澤が右足アウトで狙ったシュートは山崎がキャッチ。32分も帝京。左サイドバックの鷲田優斗(3年・FC町田ゼルビアJY)がクロスを送り、赤井が競り勝った所に突っ込んだ入澤はシュートまで至らなかったものの、漂うゴールの香り。
輝いたのはカナリア軍団の長身ストライカー。33分に「1年生から出させてもらっているので、自分が引っ張っていかなくてはいけない」と意識する三浦が右へ振り分け、中島はダイレクトでクロスをファーへ。走り込んだ赤井のヘディングは、右スミのゴールネットへ収まります。「気持ち的にも彼自身は結構良いコンディションでやっているんでしょうね」と日比監督も認めた赤井の一撃。スコアは振り出しに引き戻されました。
以降は帝京がセットプレーで狙う次のゴール。35分に三浦が蹴った左FKを、ファーで赤井が戻すと、深田憧(3年・横河武蔵野FC JY)が放ったシュートは鈴木がブロック。37分にも三浦が右からCKを蹴り込むも、ファーに飛び込んだ赤井はシュートを繰り出せず。40+1分にも三浦が蹴り込んだ右CKは、早実の高橋一真(3年・Forza'02)が大きくクリア。やや帝京が押し戻し、フィフティに近い展開となった前半は、タイスコアで40分間が終了しました。


後半はスタートから早実に交替が。植村に替えて、永瀬祐(2年・エスペランサSC)を1枚目のカードとして送り込むと、次のゴールが記録されたのは直後の41分。左サイドでのルーズボールを諦めずに追った新井田が、DFともつれながら収めたボールを中へ。ニアに飛び込んだ橋山のシュートは、ゴール左スミギリギリに飛び込みます。「普通にやっておけば何も問題なかったシーン」とは帝京の日比威監督ですが、一瞬のスキを突いた早実が再びリードします。
51分は早実のチャンス。右サイドバックの佐井康人(1年・Forza'02)を起点に、木下が鋭いスルーパスを繰り出し、小松寛太(2年・三菱養和巣鴨JY)が走るも飛び出した白鳥がきっちりクリア。53分は帝京のセットプレー。右CKを三浦が蹴り込み、ニアで早実のセンターバック吉岡直輝(3年・浦和レッズJY)が弾くと、塩入が残したボールを中村が叩いたミドルは枠の上へ。お互いに手数を出し合う中で、生まれたのはカナリア軍団が誇るレフティのゴラッソ。
55分に帝京はスローインの流れから、塩入が左足でグラウンダーの右クロスを放り込むと、収めた三浦は「相手をブロックしながら左足が伸びて、うまく触れたかなと思います」と振り返ったように、マーカーを背負いながらGKを浮き球でかわしてループ。ボールはゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。「たぶんキーパーが前に出ていたので、頭の横ぐらいを狙ったら入りました。あまり覚えていないですけど感覚です」と笑った8番の一撃に、日比監督も「キーパーかわしてループまでやって、スーパーでしたね」と称賛を口に。またも帝京が追い付いてみせました。
66分の主役はナンバーセブン。中央で前を向いた佐々木が少し運んで右へ送り、中島が打ち切ったシュートは左ポストに当たって跳ね返るも、こぼれに反応した赤井はすかさず後方へ。「このスリッピーなグラウンドだったので、『ボールが来たら、まずはシュート』という意識で思い切って」狙った入澤のシュートは右スミギリギリを捉え、ゴールネットへ滑り込みます。「良い感じで入ってくれたので良かったです」という入澤は、渾身のガッツポーズを問われ、「素が出ちゃいました(笑)」を満面の笑み。とうとうこのゲームで初めて、帝京が一歩前に踏み出します。
2度のリードを引っ繰り返された早実は、71分に2人目の交替。小松を下げて、佐久間大地(2年・ラッセル郡山)を送り込み、右から亀井英志(3年・早稲田実業中)、鈴木、橋山が並ぶ3トップ気味の布陣で最後の勝負へ出たものの、75分は帝京にチャンス。入澤が右へ展開し、中島のクロスから左足で放った佐々木のシュートはゴール右へ外れるも、あわや4点目というシーンを。加えて終盤に差し掛かり、萩原颯都(3年・FC東京U-15むさし)と深田のセンターバックコンビを中心に、安定感を取り戻した帝京ディフェンス。
早実も76分に植村と大橋優貴(2年・VITESSE福岡FC)をスイッチする3人目の交替を敢行しましたが、アディショナルタイムの2分間でもゴールは生まれず、清瀬の空に鳴り響いたファイナルホイッスル。「良い内容ではないですけど、80分を通してみんなでブレないでできたかなと思います」と入澤も話した帝京が、準々決勝へと駒を進める結果となりました。


「彼は良い選手ですね。クレバーな選手で、帝京にはない部分を持っているので凄く勉強になりますね」と日比監督が名指しで称えた早実の鈴木は、前述したようにFC東京U-15深川出身。この日の決勝ゴールを挙げた入澤とは、中学時代のチームメイトでした。「相手の4番が深川のチームメイトで、そういう所で想いがあるというか、負けられないなという気がしていました」と明かした入澤に、「試合前に連絡は取ったの?」と尋ねると、「LINEはしました。『久留総のどしゃぶりは強いぞ』みたいなことを送ってきたので、無視しました(笑)」とのこと。「やっぱり卒団してから時間が経って、『あっちも頑張っているから、こっちも頑張らないといけない』という気持ちはありますね」と続けた言葉に、鈴木への気遣いも感じられました。帝京のスタメンには実に7人のJ下部出身者が名を連ねる中で、入澤も「自分たちの代はユースに上がれなかった人たちが多い代なので、『なにくそ』という想いを持っている選手が多いと思いますし、まとまった時は強いと思います」ときっぱり。自らの進んだ道の正しさを証明する意味でも、彼らの戦いはまだまだ続きます。       土屋


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10610kurume.JPG新鋭のサザンクロスと強豪のゼブラ軍団が激突する、東京8強を懸けた好カード。都立東大和南と成立学園の2回戦は東久留米総合高校グラウンドです。
選手権予選は一昨シーズンがベスト4で、昨シーズンがベスト8。もはや都大会常連として、東京でも存在感を高めつつある都立東大和南。迎えた今シーズンの関東大会予選は、いきなり初戦でぶつかった東海大高輪台との一戦を1-0で制すると、結果的にチャンピオンになる関東第一にも、敗れたものの0-1と善戦。今大会も一次トーナメントで中大附属を1-0で下し、二次トーナメント初戦でも難敵の都立東久留米総合相手を、4-1という衝撃のスコアで倒してこのステージまで。絶対的なエースの世継昭斗(3年・横河武蔵野FC JY)を負傷で欠くのは懸念材料ですが、2年ぶりの準々決勝進出まではあと1勝です。
インターハイは3年、選手権は12年に渡って全国出場から遠ざかっている成立学園。今シーズンは五十嵐和也監督が新指揮官に就任し、センターバックの照山颯人(3年・柏レイソルU-15)、フォワードの窪田稜(3年・S-P FUTE U-15)と攻守の要を筆頭に、昨年からの主力も複数残っている勝負の年。関東大会予選では準々決勝で帝京に0-1で屈しましたが、今大会は一次トーナメントで都立葛飾野を5-0、二次トーナメント初戦で都立立川を7-0と大差で退けて2回戦へ。「去年以上に点を取って、インハイでも全国に自分が導けたらと思います」と意気込むのは窪田。さらに先へと繋げるための大事な80分間に挑みます。清瀬の上空からはポツポツと雨粒も。楽しみな一戦は10時ジャストにキックオフを迎えました。


双方がやや慎重に立ち上がる展開の中、先に決定的なシーンを創ったのは成立。12分に左サイドで大野秀和(3年・FCゼブラ)が粘って残し、吉長真優(2年・FC府中)がエリア内から放ったシュートはGKを破るも、東大和南のセンターバックを任された八谷優太(3年・FC.GONA)がヘディングでスーパークリア。13分にも八木橋俊介(3年・青森山田中)の縦パスを窪田が落とすと、高木健匠(3年・横浜F・マリノスJY)のシュートは枠を越えましたが、照山も「入りは結構自分たちのペースだった」と話したように、まずは成立が手数を繰り出します。
16分は東大和南にファーストシュート。左サイドでボールを受けた岩瀬優太(2年・AZ'86東京青梅)が、カットインしながら枠へ収めたシュートは、成立のGK大野来生(2年・伊勢ソシエタ)がきっちりセーブ。直後の左CKを岩瀬が蹴り込み、木瀬瑛(2年・八王子椚田中)が競り勝って生まれた混戦も、シュートには至らなかったものの、中盤の宮崎亘弥(3年・町田JFC)、岩瀬、渡辺幹太(3年・POMBA立川FC)のトライアングルを中心に、少しずつ東大和南にも攻撃のリズムが。
ところが、18分は成立の決定機。吉長のスルーパスに、スピードスターの窪田が完全に抜け出すも、ここは果敢に飛び出した東大和南のGK磐井雄真(3年・FC.GONA)が窪田のシュートをビッグセーブでストップ。19分にも素晴らしいパスワークから、高木のラストパスに窪田が飛び出し、GKをかわしに行ったものの、素早く安達智哉(3年・西東京田無第四中)、井出弦洋(2年・FC.VIDA)、八谷、濱海人(3年・昭島清泉中)と4バック全員がエリア内まで帰り、窪田もシュートを打ち切れず。先制とは行きません。
21分も成立。左から窪田が右足で上げたクロスを、トラップで止めた吉長のシュートはヒットせず。30分も成立。左サイドバックを務める原豪汰(3年・三菱養和調布JY)のスローインから、高木のカットインシュートは枠の左へ。32分は東大和南。GKの位置を見ながら、高橋直哉(2年・POMBA立川FC)がトライした40mミドルは枠の左へ。33分は再び成立。左サイドを運んだ窪田がGKを外して中へ送るも、八木橋のシュートは無人のゴールの右外へ逸れ、37分に原が打ったミドルもゴール左へ。「決め切る所で決め切れなかったですね」とは照山。前半の40分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。


後半のファーストチャンスはいきなりの決定機。成立が42分に獲得した左CK。レフティの原がストレートボールを蹴り込むと、高い打点で頭に当てた西尾将吾(3年・グラマードNFC)のシュートはゴールに向かうも、カバーに入ったDFがライン上で必死に掻き出します。この日2度目のスーパークリアには、場内からもどよめきが。東大和南の続く高い集中力。
47分の主役は「去年は点を決めればいいだけだったんですけど、今年はチームを引っ張りながらちゃんと点を取りたい」と言い切るナンバー10。右サイドに開いた大野秀和が中へ戻すと、ハーフスペースに潜った窪田は「キーパーが結構前に出てきていたので、思い切り振り抜きました」と右足一閃。地を這うボールはゴールネットへ豪快に突き刺さります。まさに"3度目の正直"で結果を出した窪田のゴラッソ。成立が先にスコアを動かしました。
追い掛ける展開となった東大和南は、48分に1人目の交替。井出に替えて、岡本健吾(3年・青梅第二中)をボランチへ送り込み、宮崎は1列下がってセンターバックへ。52分は成立。吉長の左クロスを八木橋が落とし、大野秀和が打ったシュートはゴール右へ。55分も成立。左CKのこぼれをキッカーだった原は再びクロスに変え、ニアに入った八木橋のシュートは枠の上へ。56分も成立。豊田優磨(2年・成立ゼブラFC)のオーバーラップから得た右CKを原がファーまで届け、吉長のボレーは左サイドネットの外側に。60分も成立の得点機。エリア内で粘り強くキープした窪田の枠内シュートは、磐井がファインセーブで応酬。1点差のまま、後半も半分の時間が過ぎ去ります。
62分に東大和南は2人目の交替を決断。渡辺を下げて、横川巽(2年・AZ'86東京青梅)をピッチへ解き放ち、打ち出したいアタックへの意欲。直後の62分には岩瀬のFKに木瀬が頭で競り勝つも、走った山口陽大(3年・FC府中)はわずかに届かず、大野来生にキャッチされましたが、後半のファーストチャンスに滲ませる同点への強い想い。
それでも次に歓喜の瞬間を迎えたのはゼブラ軍団。64分に「足元にも結構自信があります」という照山が好フィードを右のハイサイドに送り込むと、走った高木はそのまま加速しながら中央へラストパス。突っ込んだ吉長のシュートは確実にゴールネットを揺らします。「後半は前から行けて、自分たちのゲームができたんじゃないかなと思います」と話した照山を起点に、2年生アタッカーが見事に結果を。成立のリードは2点に変わりました。
一気に動き出したゲーム。65分は東大和南。横川の仕掛けで得た左CKを岩瀬が入れるも、照山がきっちりクリア。66分は成立。右サイドを切り裂いた高木のシュートは、右のポストにハードヒット。直後の66分も成立。原の左CKはファーに流れ、西尾の右クロスに合わせた吉長のバイシクルは枠の右へ逸れるも、ダイナミックな好トライ。67分は東大和南。左サイドバックの濱が懸命に運び、折り返したボールを高橋はダイレクトで枠へ収めるも、大野来生が丁寧にキャッチ。69分は成立に追加点のチャンス。原の右CKが中央にこぼれると、照山は自ら「アイデアは良かったと思います」というGKを外したループを選択しましたが、カバーに入ったDFはここもライン上でスーパークリア。点差を広げさせません。
残された時間は10分間。差し掛かった最終盤も攻勢は成立。70分に八木橋とのワンツーで抜け出した吉長のシュートは、わずかに枠の右へ外れてドッピエッタならず。74分は東大和南に3人目の交替。山口と四条雄介(2年・AZ'86東京青梅)を入れ替え、前線には安達も上げて4トップ気味で最後の勝負へ。75分は成立。大野秀和が右へ流し、八木橋のループはわずかに枠の左へ外れると、直後に高木と三上昂佑(3年・成立ゼブラFC)を、76分に吉長と工藤星輝(2年・成立ゼブラFC)を相次いでスイッチ。バランスを整え続ける原田歩夢(3年・成立ゼブラFC)を軸に、中盤の強度をアップさせつつ、取り掛かるゲームクローズ。
10番が見せた"2点目"への執念。79分に左サイドを突破した窪田は、そのままシュートまで持ち込むも、八谷が体でブロック。その左CKを原が蹴り入れると、窪田のヘディングはクロスバーの上へ。80+1分は東大和南にCKのチャンス。184センチの磐井もエリア内まで上がったものの、岩瀬が右から蹴ったボールはクリアされ、一転して成立のカウンターに。少し持ち出して遠めから狙った窪田のシュートは、全力で戻った磐井がヘディングで掻き出し、さらなるゴールは生まれませんでしたが、ファイナルスコアは0-2。「今日も勝ち切れたので、関東大会の頃よりはチーム状況も良くなっていると思います」と窪田も口にした成立が、関東第一の待つ準々決勝へと勝ち上がる結果となりました。


成立は関東大会予選も含め、今シーズンのトーナメントコンペティションでは、6試合を戦ってわずか1失点という抜群の堅守を誇っており、キャプテンの照山も「いつも自分たちのやっていることができたので、今日は問題なかったんじゃないかなと思います。前からも行けていたし、空中戦も勝っていたので、結構手応えはあります」と守備面の自信を口に。そこが計算できるだけに、あとはエースの窪田が爆発するタイミングを待っている所でしょうか。次に対峙する関東第一は、4月末のT1リーグで勝利を収めたものの、昨年度の選手権予選ファイナルで敗れた相手でもあり、「去年の選手権は悔しい想いをしたので、来週はちゃんと勝ちたいなと思います」と窪田が話せば、照山も「もう自分たちのサッカーを突き通して絶対勝ちます」ときっぱり。注目のクォーターファイナルは17日。今日と同じ東久留米総合高校グラウンドがその舞台です。    土屋

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0609ajista.JPG10位の東京国際大と11位の東洋大が激突する「本当の大一番」(東洋大・古川毅監督)。浮上の足掛かりを掴みたい両チームの対戦は味の素スタジアム西競技場です。
昨シーズンはリーグ戦で6位に入り、インカレでもベスト4まで進出するなど、躍進の1年となった東京国際大。ただ、キャプテンの楠本卓海を筆頭に、5人のJリーガーを含む主力の大半が卒業した今シーズンのリーグ戦は、4節でようやく初勝利を挙げたものの、ここまでは2勝3分け3敗の10位。勝ち点3差ですぐ後ろに付けている今日の相手には、絶対に負けられない所です。
4年ぶりの1部復帰となった昨シーズンのリーグ戦では8位に食い込み、史上初の1部残留を成し遂げた東洋大。その中で後期の失速を教訓に、インカレ出場を1つの目標に置きながら臨んだ今シーズンは、リーグ開幕から6戦未勝利と苦しいスタート。とはいえ、混戦模様を呈しているリーグの中で、まだ巻き返しは十分可能。「自分たちはもう引き分けも負けもいらないので、勝ってもっと上位に食い込んでいく必要がある」と高橋宏季(4年・FC東京U-18)も言い切るように、勝ち点3だけを目指してこの90分間に向かいます。灼熱の調布は午前中にもかかわらず、既に気温は30度オーバー。厳しいコンディションの中、東国のキックオフでゲームはスタートしました。


ファーストシュートは東国。8分に右サイドから音泉翔眞(4年・関東第一)がクロスを上げ切り、こぼれに反応したボランチの荒木秀太(1年・セレッソ大阪U-18)が思い切って狙ったミドルは枠の右へ外れたものの、ルーキーが早くもアグレッシブな姿勢を。16分にも10番を背負う浅利航大(4年・水戸ホーリーホックユース)が左FKを蹴り込むと、飛び込んだ中村彰吾(4年・鹿島学園)はわずかに届きませんでしたが、まずは東国が前への圧力で上回ります。
ただ、東洋も「今年は10番として責任を持って、自分からどんどんチャンスを創っていかないといけないと思います」と話す坂元達裕(4年・前橋育英)にボールが収まり出すと、少しずつ攻撃にリズムが。19分には高橋の縦パスに坂元がワンツーで呼応し、高橋のミドルは枠を越えましたが、"むさしコンビ"でファーストチャンスを。東国も21分には高橋和洋(4年・創価)の右ロングスローから、こぼれを叩いた浅利のミドルはDFに当たって枠を越え、その右CKを浅利が蹴り込むも、小木曽佑太(3年・浦和レッズユース)のヘディングはヒットせず。先制とは行きません。
すると、スコアを動かしたのは「得点やアシストというのはずっと自分の課題でもあったので、そういう数を増やしていけばチームの勝利に貢献できるというのは自分でもわかっていた」と語る東洋の司令塔。32分に「キックフェイントが前から得意な形」という坂元が、そのキックフェイントで時間を創ると、松崎快(3年・大宮アルディージャユース)は丁寧なスルーパス。「チャンスだと思ったら出て行くというのは、自分の中でもあった」という高橋はGKとの1対1も冷静に制し、ゴールネットへボールを送り届けます。「あまり決めたことがなくて、喜び方がわからなかった」と笑った高橋の先制弾に、古川監督も「今では本当に替えの利かない選手になっていると思います」と高評価を。東洋が1点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。


後半のファーストシュートも東国。49分にキャプテンマークを巻く石田勇大(4年・水戸啓明)が、ミドルレンジから枠の右へ外れるシュートを放つと、次に生まれた得点は"追加点"。53分に東洋が左サイドで獲得したFK。スポットに立った高橋が球足の長いボールを放り込み、ファーに入った浦上仁騎(4年・大宮アルディージャユース)が高い打点で打ち下ろしたヘディングは、左スミのゴールネットへ飛び込みます。「仁騎からファーにボールをくれと言われていたので、自分の思い通りのボールが蹴れました」と笑った高橋はこれで1ゴール1アシスト。点差は2点に広がりました。
小さくないビハインドを背負った東国の反撃はすぐさま。55分に得たFKはやや左寄り、ゴールまで約25m強の悪くない位置。10番の浅利が短い助走から蹴り込んだキックは、左スミギリギリを捉え、東洋のGK松本健太(3年・柏レイソルU-18)も触ってはいたものの、ゴールネットへ到達。「せっかく2点目をセットプレーで取れたのに、ものの1分2分でやられてしまうと、怪しい雰囲気になるような感じですよね」とは古川監督。スコアは再び1点差に縮まります。
先にベンチが動いたのは東国。得点直前のタイミングで左サイドハーフの池添勘太郎(4年・山梨学院大学附属)に替えて、宇高魁人(2年・長崎総科大学附属)をピッチへ送り込み、着手する縦への推進力アップ。56分は東洋に決定機。ディフェンスラインの裏へ巧みに抜け出した坂元は1対1からシュートまで持ち込むも、ここは東国のGK神林健太(4年・アルビレックス新潟U-18)がファインセーブで回避。62分は東国にチャンス。左サイドでルーズボールを収めた浅利がミドルを枠へ飛ばすも、松本もファインセーブで応酬。やり合う両者。ヒートアップは両応援団。
古川監督も62分に1人目の交替を。レフティのボランチ坪川潤之(3年・矢板中央)を下げて、ルーキーの桝谷岳良(1年・川崎フロンターレU-18)を投入し、中盤の強度向上を。65分は東国。菅野佑哉(3年・明秀日立)が蹴り込んだ右FKに、エースの町田ブライト(4年・成立学園)がドンピシャヘッドで合わせるも、副審のフラッグが上がり、オフサイドの判定。69分も東国。左サイドに開いた浅利がハーフボレーで打ち切ったシュートは、再び松本がファインセーブで仁王立ちも、「押し込まれる展開と苦しい時間が続きましたね」と口にしたのは坂元。72分には東国も2枚目の交替として、音泉と室井佑斗(4年・鹿島学園)をスイッチ。耐える東洋。押し切りたい東国。
75分は東国。浅利の左FKは、松本が大きくパンチング。その左CKを菅野が入れるも、松崎が懸命にクリア。77分も東国。浅利の左FKから、こぼれを宇高が狙うも、飯澤良介(1年・横浜FCユース)が体を投げ出す決死のブロック。79分も東国。高橋和洋の右ロングスローは、土田直輝(2年・大宮アルディージャユース)が大きくクリア。直後も東国。ここも高橋和洋の右ロングスローから、荒木が放ったボレーはゴール右へ。右から坂本涼斗(2年・柏レイソルU-18)、浦上、土田、渡辺星夢(4年・前橋育英)で組む東洋4バックの途切れない集中力。
東洋は81分に2人目の交替。ここもルーキーの神山京右(1年・横浜FCユース)を投入し、取り掛かる攻守のオーガナイズの再構築。東国も83分に3人目の交替。奮闘した浅利に替えて、柳園良太(4年・西武台)をピッチへ解き放ち、最後の勝負へ。84分は東国。宇高が左へ振り分け、町田の折り返しから荒木が狙ったミドルは枠の右へ。いよいよゲームは残り5分とアディショナルタイムのみ。
輝きを放ったのは「自分は今までずっと出ていたのに1点しか取っていなくて、全く何もやっていなかったので、何としてでも自分が得点に絡んで仕事したい、という想いがずっとあった」ナンバー10。87分に浦上のFKで右サイドへ飛び出した坂元は、「結構コースもなくて、自分も正直『入らないかな』ぐらいの感じだったんですけど、その前の1対1を外した場面で、メッチャ狙って豪快に外しちゃったので、『今度は外しても良いから思い切り蹴ろう』という想いで」、利き足とは逆の右足を振り切ると、ボールはニアサイドを抜けてゴールネットへ突き刺さります。古川監督も「あそこで生き返ったような感じはありました」と認めたエースの追加点。試合の大勢は決します。
貪欲なストライカーの再アピールは90+2分。替わったばかりの丹代藍人(4年・青森山田)が浮かせたパスを出し、収めた坂元はここも躊躇なく右足一閃。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「意外とああいうのは多くて、去年も右足で半分くらい決めているので、こぼれ球のシュートとかは意外と左より上手いかもしれないです」と笑ったレフティは右足でドッペルパック。ファイナルスコアは1-4。「今日は内容どうこうというよりは、次に繋げないといけないゲームだったので、繋がってくれてとりあえずはホッとしています」と古川監督が安堵の表情を浮かべた東洋が、今シーズンのリーグ戦2勝目を手にする結果となりました。


この日の主役と言っていい活躍を見せた坂元と高橋は、FC東京U-15むさし時代の同級生。高校時代はU-18へ昇格した高橋も、前橋育英へと進学した坂元も、共に東洋での最終学年を迎える訳ですが、お互いに確かな成長の跡が窺えました。例えば坂元は「高校の時は体の強さとか、正直自分には必要ないかなと思っていて、体の使い方や素早さで、相手に当たらなければやっていけるという想いはあったんですけど、大学に入って自分の身軽さだけじゃやっていけないなと早々に気付かされて、そこから筋トレだったり、トレーニングというのをやることになって、背負う場面も自分が務めるようになりました」と。例えば高橋は「中盤は何でもできないといけないと思っていますし、上に行くためにも球際やセカンドは絶対欠かせない所だと思うので、体づくりもそうですけど、予測や頭の中での考えも変わりました。大学はどこのチームも球際や体は凄く強い部分があって、そういう経験をしていく中で、もっと強くならなきゃいけないと思ったので、自分の中でも気付かされることが多かったですね」と。2人が共通して伸ばしてきたのは『力強さ』や『粘り強さ』。もともと技術の高さは十分持ち合わせていただけに、プラスされた部分を見せてくれたこの日の活躍は、両者の今後に大きく期待したくなるようなそれでした。坂元達裕と高橋宏季。この"むさしコンビ"、まだまだこれからもやってくれそうです。        土屋

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0526kodaira.JPG昨年もこのステージで全国を懸けて対峙した両者が、再び相まみえる注目の一戦。浦和レッズユースと東京武蔵野シティFC U-18のクラ選関東予選2回戦は、おなじみ小平グラウンドです。
Jリーグの"アイコン"的な存在として、一躍有名になった大槻毅監督のトップチームへの"異動"を受け、難しい形で2018年度のシーズンを迎えることになった浦和レッズユース。「今は目の前に来るゲームだけを追っている状況」と上野優作新監督も認める中で、それでもチームはプレミアEASTで2勝2分け1敗の5位に付けており、今大会の予選でも初戦でエスペランサを4-0で下して、夏の全国出場へリーチを。「練習からみんな声を掛け合ってできますし、オフの場面でも仲が良いので、団結して戦うというのは今年のチームの良さかなと思います」と話すのは10番を背負う池高暢希(3年・SSS札幌)。ここからのチームビルドを考えても、確実に群馬への切符を獲得しておきたい90分間へ向かいます。
都内では常に小さくない存在感を発揮し、T1リーグでも上位進出の常連として、そのアグレッシブなスタイルで見る者を楽しませてくれている東京武蔵野シティFC U-18。ただ、このクラ選に限って言えば、全国へと駒を進めたのは6年前が今の所は最後。「サンフレッチェの松本大弥からLINEでずっと、アイツもまだ全国を決めていないんですけど、『待ってるからな』ってずっと言われ続けているので、絶対全国に出たいです」と意気込むのは最前線にそびえ立つ高橋理人(3年・横河武蔵野FC JY)。昨年は0-3で敗れた相手にリベンジを果たし、全国出場を手繰り寄せたい所です。会場となった小平のスタンドには少なくない観衆が集結。楽しみなゲームは武蔵野のキックオフでスタートしました。


開始わずか15秒の衝撃。武蔵野はキックオフのボールを小川開世(3年・横河武蔵野FC JY)、寺本剛瑠(3年・横河武蔵野FC JY)と繋ぐと、西川陸斗(3年・Forza'02)は右足一閃。強烈なシュートはクロスバーに当たって跳ね返りますが、「言わずともモチベーションは上がっていたと思うので、入りは『もしかしたらワンチャンスあるかな』と思っていた」とは杉浦史浩監督。いきなり武蔵野が決定的なシーンを創出します。
2分には浦和も池高の右FKから、大城蛍(3年・Wウイング沖縄FC)がヘディングをゴール右へ外しましたが、7分は再び武蔵野。相手のバックパスの乱れから右CKを獲得すると、レフティの藤岡聡志(3年・横河武蔵野FC JY)が蹴ったボールに、飛び込んだ牧野晋作(3年・三鷹F.A.)のヘディングは枠の上へ。11分にここも藤岡が入れた右FKはオフサイドを取られたものの、「去年はリトリートしたんですけど、今年は自分たちで主導権を持ってやるということで、ちょっと驚かせられたかなと思います」と高橋も言及した武蔵野が引き寄せるゲームリズム。
「去年は5-4-1でしっかり守ってきて、『今年はどう出てくるかな』と思って、一応2種類の戦い方を用意していたんですけど、結構相手が来たから「わあ。来た!」って。最初ちょっとバタバタしましたね」と上野監督も認めた浦和は、なかなかペースが掴めない中でも、20分を過ぎると少しずつ落ち着きが。21分に大桃伶音(3年・浦和レッズJY)と林海斗(3年・浦和レッズJY)の連係で得た左CKを池高が蹴り込み、ここは牧野にクリアされるも、26分には右サイドバックの白土大貴(3年・浦和レッズJY)を起点に、清宮昂大(3年・坂戸ディプロマッツ)がクロスまで持ち込み、山中惇希(2年・GRANDE FC)のシュートはヒットせず、武蔵野のGK渥美拓也(3年・横河武蔵野FC JY)にキャッチされるも、出てきた手数。
29分も浦和。フォワードに入った波田祥太(2年・坂戸ディプロマッツ)、池高とボールが回り、山中のミドルは枠を越えたものの、積極的なフィニッシュを。31分にも左サイドバックの林が丁寧なクロスを放り込み、こぼれに反応した清宮のシュートは渥美にフィスティングで回避されますが、盛嘉伊人(1年・浦和レッズJY)と玉城大志(2年・浦和レッズJY)のドイスボランチもボールを引き出す回数が増加し、ようやく浦和が打ち出す攻撃のテンポ。
35分は武蔵野。藤岡が左から上げたアーリークロスを高橋が頭で落とすも、寺本はバイシクルを打ち切れず。38分も武蔵野。ドイスボランチの一角を務める山登一弥(3年・FC東京U-15むさし)が粘って残し、小川の左足ミドルはクロスバーの上へ。39分も武蔵野。右ウイングバックの大場小次郎(3年・横河武蔵野FC JY)を起点に、山登のパスから西川が抜け出すと、切り返しで相手をかわし掛けながら、スリップしてシュートには至らなかったものの、ここに来て武蔵野の圧力が再び高まります。
40分も武蔵野。山登が右へ振り分け、カットインしながら中に潜った寺本の左足シュートは、浦和のGK石井僚(3年・上州FC高崎)が丁寧にキャッチ。42分は浦和にセットプレーから決定機。「大城と大桃と強い選手はいっぱいいて、セットプレーには自信があります」と語る池高の左CKを山中が頭で合わせるも、枠に飛んだボールは左のゴールポストを直撃。「前半はサイドでうまく良い場面を作れなかったし、なかなか自分のボールタッチの回数も増えなくて、チャンスを創れなかった」(池高)「内容的にも五分五分に近くて、ボールを持たせていても自分たちは守備でも主導権を握りながらやれていた」(高橋)。長澤シバタファリ(2年・東京武蔵野シティFC U-15)、牧野、島田陸大(3年・横河武蔵野FC JY)で組んだ3バックも安定感を見せる武蔵野が、攻守にペースを握りつつ推移した前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。


後半最初の決定的なチャンスは武蔵野に。50分。高い位置で相手の連係ミスを突いた高橋は、エリア右から「ダイレクトで打ってほしいというボールを」中央へ。受けた寺本が切り返して放ったシュートは、大桃が体を残してきっちりブロック。「普段なら逆を取れて決められたものが、1個粘られて体に当てられてとか、もしかしたら本当に小さい所ですけど、それがT1とプレミアの差だったりもするかもしれないですね」とは杉浦監督。先制とは行きません。
51分に盛が蹴ったFKが渥美にパンチングで掻き出されると、56分に上野監督は1人目の交替を決断。清宮を下げて、冨田蓮(2年・浦和レッズJY)を右サイドハーフに送り込み、「一番クオリティは高いので、彼を最終的にはあそこに持っていきたいなというのはありました」と池高を中央にスライドさせる勝負の一手を。57分に大城が投げた右ロングスローはDFのクリアに遭い、58分にも玉城が左へ展開したボールを、林がアーリーで流し込み、大城のヘディングは枠の上へ消えるも、「『間で受けろ』という指示は出ていたので、そこでターンできたら自分の良さが出るかなと思っていた」という池高に託すアタックのスイッチ。
63分は武蔵野。小川のパスを受け、西川が狙ったミドルは石井がキャッチ。68分は浦和に2人目の交替。山中と北村龍馬(3年・浦和レッズJY)を入れ替え、北村は左サイドバックに、林は左サイドハーフに1列上がり、着手するサイドの強度向上。72分は浦和。玉城が縦パスを入れ、うまくギャップに潜った池高は前を向いてシュートを放つも、ボールはDFに当たって枠の右へ。その右CKを盛が入れると、大桃のヘディングはクロスバーの上へ。73分も浦和。右サイドで池高が果敢に仕掛け、エリア内から冨田が打ったシュートのこぼれ球は渥美が懸命にキャッチ。「後半は池高を中に入れて、ちょっと動かしながらみたいなプラン」(上野監督)が効き出し、流れは徐々に浦和へ。
武蔵野も78分に1人目の交替。最前線で奮闘した高橋に替えて、花村勇太朗(3年・VERDY S.S.AJUNT)がそのままの位置へ投入されると、直後に藤岡が蹴り込んだ右CKは石井がキャッチ。80分にも寺本が右から中に付け、入ったばかりの花村が積極的に打ち切ったシュートは、DFをかすめてゴール右へ。好勝負に残された時間は10分間とアディショナルタイムのみ。
とうとう動いたスコア。武蔵野のCKから浦和が逆にカウンターを繰り出し、大場が決死のブロックで失点を防いだ直後の81分。左CKのスポットに立った池高は「キックの調子も悪くなかったので、とりあえず真ん中あたりに落とせればいいかなと思って」右足で中央に蹴り込むと、突っ込んだ北村がヘディングで叩いたボールは中央の密集をすり抜け、ゴールネットへ吸い込まれます。「アイツはセットプレーに強いから先発かどうか迷っていたんですけど、後半途中から行くことにしました」という上野監督の采配ズバリ。「キックがどうこうと言うより、ヘディングが上手かったと思います」と池高も笑った北村の先制弾。浦和が1点のリードを手にしました。
終盤で1点を追い掛けることになった武蔵野は、84分に2人目の交替。大場と原川昂大(2年・東京武蔵野シティFC U-15)をスイッチして、ゴールを奪う意識を前面に。それでも、セットプレーからのチャンスは浦和に。86分に池高の右CKを、ニアで合わせた林のヘディングはゴール左へ。87分にも盛の左FKはファーまで届き、北村のヘディングは枠の左へ外れるも、着実に潰す時間とあわよくば狙いたい追加点への意欲が。
90+1分は武蔵野。藤岡の右FKはファーに流れ、拾った山登のクロスはDFが大きくクリア。90+2分も武蔵野。寺本が左から蹴ったCKも、DFが確実にクリア。そして、最終盤の90+3分も武蔵野。右サイドに開いた寺本がクロスを上げ切るも、飛び込んだ牧野は届かず、これがこのゲームのラストチャンス。最後は石橋遼大(2年・浦和レッズJY)と柳田大輝(3年・浦和レッズJY)を相次いで投入し、ゲームクローズにも成功した浦和に軍配。「今までずっと大事な試合ばっかり続いてきたので、本当にホッとしました」と上野監督も安堵の表情を浮かべた"赤き宝石たち"が、全国切符を堂々と勝ち獲る結果となりました。


「今日はサポートに来ているのはみんな3年生なので、高校サッカーだからそういう団結力とかも大事にしています。全国が決まると彼らの進学とかもだいぶ変わってくるので、何とかみんなを良い形で送り出すためには、この出場権が必要だから、そういう意味で偉大な勝利です」と試合後に語った上野監督。池高も「メンバーには入れなかった3年生もいたんですけど、凄くサポートしてくれて、自分も『点が決まったら彼らの所に行こう』と思っていたので、行けて良かったです」と笑顔。決勝ゴールの直後に咲いた歓喜の赤い花は、チームの一体感がよくわかる光景だった気がします。浦和ユース。良いチームですね。
「正々堂々胸を張って90分間やり切ったと選手たちにも伝えましたし、本当に悔しいですけど、しっかり受け身に回ることなく、がっぷり四つでできたかなとは思います」と杉浦監督もゲームを振り返った武蔵野は、好ゲームを演じただけに悔しい結果を突き付けられる格好に。「今日はこの環境で、ホームグラウンドとは違う所でいろいろな人たちが見に来てくれているのも知っていたし、『いろいろな人の想いを乗せて戦おう』と今日試合に臨んだ中で、それに応えられなかった悔しさはありますね。それは選手たちが一番感じていると思います」と、指揮官もその悔しさを隠しませんでした。ただ、「みんなも言っていたんですけど、思った以上に戦えたし、凄い自信になったと思います」という高橋の言葉はおそらくチームの共通認識。次の東京ヴェルディユース戦も激戦必至です。       土屋

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