アルペンとは(ルール解説)

アルペン

アルペンスキー競技とは、雪山に作られた傾斜のあるコースを滑り降り、タイムを競うもの。
コースには旗門が並べられており、その旗門を正確に通過することが要求される。
基本的な種目は滑降(ダウンヒル、DH)、回転(スラローム、SL)、大回転(ジャイアントスラローム、GS)、スーパーG(スーパー大回転、 SG)の4つ。 滑降とスーパーGは高速系、回転と大回転は技術系と呼ばれる。
上記の2つ以上の種目を組み合わせて、複合(アルパインコンバインド、AC)も争われる。
また並走するコースで2人同時に滑走を行うパラレル・イベント(スラロームPSLやジャイアントスラロームPGS)や、男女混合の各国対抗戦ミックス・チーム・パラレル(TP)も行われる。

ルール

種目別ルール

ダウンヒル(滑降)

  • 旗門数が少なく、平均時速100km以上という高速スピードがでる種目。
<コース>
  • 滑降用コースには6つの要素を試すパートが含まれる;技術、勇気、スピード、危険に立ち向かう態度、身体能力、判断力。コース幅は30m前後であること。
  • ワールドカップと冬季五輪における男子向けコースの標高差は800~1100m(例外750m~)。
  • <2本のポール上部を旗でつないだもの>×2で1旗門とする。旗門の幅は最低8m。
<レース形式>
  • レース前日までにコースインスペクション(下見)と、本番と同条件でのオフィシャルトレーニングを行うことが義務付けられている。
  • 基本的に1回の滑りで勝敗を競う。標高差が少ない土地に限って2本行ってもよい。
  • スタート間隔は基本的に60秒毎。最短でも40秒。ワールドカップの場合、最大2分半まで可能。またTV中継用に最大4分の中断を複数入れることもできる。
<スタート順>
  • ワールドカップの場合、WCSL上位10人が、1~19番までの奇数スタート番号を自ら選択。次のWCSL上位10選手が、抽選にて、2~20までの偶数スタート番号を決定する。
    さらに次のWCSL上位10選手が、抽選にて、21~30までのスタート番号を決定する。
  • 2本目に進出できるのは1本目上位30人。1本目30位の選手が2本目の1番スタート、1位は30番スタートとなる。
※WCSLワールドカップ・スターティング・リストとは
  • ワールドカップ、冬季五輪、さらに世界選手権での成績をポイント化し、順位付けしたもの。
  • 各レース終了後に、新たに計算し直される。
タウンヒル
  • 種目の中でもっともコースが長く、一番速い。
  • 標高差:
    男子800〜1100m(W杯・五輪)
    女子450〜800m(すべて)

スーパー大回転(スーパーG・SG)

  • 滑降同様に高速で斜面を滑り降りながら、大中のカーブを曲がることが要求される種目。
<コース>
  • スーパー大回転用コースは出来る限りうねりや起伏に満ちていること。コース幅は30m前後が好ましい。
  • <2本のポール上部を旗でつないだもの>×2で1旗門とする。旗門の幅はオープン(水平)旗門で6~8m、クローズド(垂直)旗門で8~12m。連続する2旗門のターニングポール(軌道のカーブ内側)の距離は25m以上であること。連続ターンの場合でも15mを下回ってはならない。
  • 方向回転数は最低で標高差の6%。例)標高差が400mの場合は最低24ターン。
<レース形式>
  • 基本的に1回の滑りで勝敗を競う。
  • スタート間隔は基本的に60秒毎。最短でも40秒。ワールドカップの場合、最大2分半まで可能。またTV中継用に最大4分の中断を複数入れることもできる。
<スタート順>
  • ワールドカップの場合、WCSL上位10人が、1~19番までの奇数スタート番号を自ら選択。次のWCSL上位10選手が、抽選にて、2~20までの偶数スタート番号を決定する。 さらに次のWCSL上位10選手が、抽選にて、21~30までのスタート番号を決定する。
スーパー大回転 スーパー大回転
  • DHに次ぐ高速系種目DHよりコースは短い
  • 大中のカーブをまがることが要求される
  • 標高差:
    男子400〜650m(W杯・五輪)
    女子400〜600m(W杯・五輪)

ジャイアントスラローム(大回転・GS)

  • 回転に次いで旗門数が多く、大中小のカーブを規則正しく曲がることが要求される種目。
<コース>
  • 大回転用コースは出来る限りうねりや起伏に満ちていること。コース幅は40m前後が好ましい。
  • ワールドカップと冬季五輪における男子コース標高差は250~450m。
  • <2本のポール上部を旗でつないだもの>×2で1旗門とする。旗門の幅は4~8m。連続する2旗門のターニングポール(軌道のカーブ内側)の距離は10m以上であること。
  • 方向回転数は標高差の11~15%。例)標高差が300mの場合は33ターン。
<レース形式>
  • 基本的に同日に行われる2回のタイム合計で勝敗を競う。1本目と2本目はコース範囲は重なってもよいが、旗門設定は変更すること。
  • スタート間隔は基本的に60秒毎。最短でも30秒。ワールドカップの場合、最大2分半まで可能。またTV中継用に最大3分半の中断を複数入れることもできる。
<スタート順>
  • ワールドカップの場合、1本目はWCSL上位7人が抽選で1~7番スタートを決定、続いてWCSLの8位~15位が抽選で8~15番スタートを決定。それ以降はポイント順のスタートとなる。
    2本目に進出できるのは1本目上位30人。1本目30位の選手が2本目の1番スタート、1位は30番スタートとなる。
ジャイアントスラローム
  • 旗門は2番目に多く、標高はSLの次に低い
  • 地形を利用したコース作りをするための技術系の種目
  • 標高差:
    男子250〜450m(W杯・五輪)
    女子250〜400m(W杯・五輪)

回転(スラローム・SL)

  • 急勾配で、細かいカーブを素早く完璧に曲がる、スピードと技術の両面が要求される種目。
<コース>
  • 回転用コースはスピードを殺さずに、あらゆる種類のターンをテクニカルにスムースにこなせるものであること。
  • ワールドカップと冬季五輪における男子コースの標高差は180~220m。斜面の勾配は平均33~45%。
  • 旗門の幅は4~6m。連続する2旗門のターニングポールの距離は6~13m。コンビネーションパート(シケインもしくはクローズド)での2旗門の配置は0.75~1m。ディレーゲート(減速)の役目を果たす2旗門の距離は12~18m。
  • 旗門はオープン(水平)、クローズド(垂直)の他に、ダブルクローズが最低3回、3~4旗門が細かく連なるシケイン(ヘアピンコンビネーション)が1~3回、ディレーゲートが1~3回登場すること。
  • 旗門数は標高差の30~35%±3。例)標高差が180mの場合は54~63旗門。
<レース形式>
  • 基本的に同日に行われる2回のタイム合計で勝敗を競う。1本目と2本目のコース範囲は重ならないこと。
  • スタート間隔は任意。
<スタート順>
  • ワールドカップの場合、1本目はWCSL上位7人が抽選で1~7番スタートを決定、続いてWCSLの8位~15位が抽選で8~15番スタートを決定。それ以降はポイント順のスタートとなる。
  • 2本目に進出できるのは1本目上位30人。1本目30位の選手が2本目の1番スタート、1位は30番スタートとなる。
旗門数が一番多く、細かなカーブが多い技術種目。ゲートもコンビネーションの要素が多い
  • 旗門数が一番多く、細かなカーブが多い技術種目。
    ゲートもコンビネーションの要素が多い
ダブルクローズが最低3回
  • ダブルクローズが最低3回
シケインバード(3〜4旗門が細かく速くなっている)
  • シケインバード
    (3〜4旗門が細かく速くなっている)

コンバインド(複合)

  • 2つ以上の種目のタイムを合計して競う種目。
<レース形式>
  • 現行ワールドカップではアルパインコンバインド(AC)と呼ばれる形式が主流。
  • ACは高速系(滑降もしくはスーパーG)1本+スラローム1本の、2本合計のタイムで競われる。可能な限り1日で開催されるべきである。
<スタート順>
  • 1本目のスタート順は、1本目の種目による。スラロームの場合は本来のスラロームに従った方法で、高速系の場合は高速系に従った方法で、スタート順が決定される。
  • 1本目を完走した全ての選手に、2本目に進出する権利が与えられる。2本目は30位の選手が1番スタート、1位は30番スタート。それ以降は1本目の着順にしたがってスタート。

パラレル

2人の選手が、並列して作られた同じ旗門設定のコースで、同時に滑走する。

<コース>
  • コース標高差は最低でも50m。
  • 方向転換数は最低でも15。
  • コース距離は最低でも160m。
  • 2つの並列コースはそれぞれ赤(選手にとって左)、青(右)の旗門で色分けされる。
<レース形式>
  • 2人の選手が並列コースを同時に滑走する。
  • ワールドカップの場合、予選を勝ち抜いた16選手で本戦を争う。第1回戦・準々決勝・準決勝・決勝と勝ち進む。
  • 予選がパラレル2本制で行われた場合、合計タイムが最も良かった上位16選手が本戦出場。予選タイム順に1〜16までのビブ番号が与えられる。
  • 本戦は1ビブ1vsビブ16、ビブ2vsビブ15……ビブ8vsビブ9という順で争われる。コースを入れ替えて2本走り、2本のタイム合計で勝敗を競う。
  • 両者の2本のタイム合計が同じ場合、1本あたりの最速タイムを出した選手が次ラウンドへ進出する。2本目も同タイムの場合、番号の若い選手が次ラウンドへ進出する。
  • 1本目で未完走・失格となった場合も、2本目に出走できる。その際は最大0.5秒のペナルティタイムを課される。
  • 両選手ともに1本目で失敗した場合、滑走距離の長かった選手が1本目の勝者となる。
  • 2本目を未完走・失格となった選手は、自動的に敗退。ただし両選手ともに2本目で失敗した場合、1本目の結果で勝敗を競う。1本目が引き分けの場合、2本目の滑走距離の長かった選手が次ラウンドへ進出する。
  • 2本終えた時点で引き分けの場合は、ビブ番号の大きい選手が次ラウンドへ進出する。ただし準決勝・決勝で同様の事態が起こった場合は、両者を同順位とする。
  • 準決勝の敗者は3位決定戦を行う。
<ポイント>
  • 出場選手全員にワールドカップポイントが与えられるが、FISポイントやWCSLには反映されない。

ミックス・チーム・パラレル

ワールドカップ国別ランキング上位16か国に出場権が与えられる。
パラレル形式で行われる。

<レース形式>
  • 各国チームの構成人員は最大6名。少なくとも男女各2人ずつ組み込むこと。
  • 第1回戦・準々決勝・準決勝・決勝の4戦で争われる。
  • 1回戦の対戦相手はワールドカップ国別ランキングを基に決定される。ランキング1位vs16位、2位vs15位、3位vs14位……となる。
  • 各ラウンドには各チームより男女2名ずつ計4選手が参戦し、各々が1本ずつ滑走する。
  • 各対決の勝者の所属国には1ポイントが与えられる。両者同時フィニッシュの場合には、両国に1ポイントずつ与えられる。 4人の滑走が終了した時点で、ポイントをより多く獲得した国が勝利国となる。
  • 両国の獲得ポイントが並んだ場合、各国の女子最速タイム+男子最速タイムの合計で勝敗を決する。それでも並んだ場合は、各国の男女4人のタイムから、 最速タイムのみを比較して勝敗を決する。それでも並んだ場合は、ワールドカップ上位の国が勝者となる。
<ポイント>
  • 全ての出場国に、男女それぞれのワールドカップネーションズポイントが与えられる。

共通ルール

  • 配布された背番号(ビブス)をつけること。
  • ストッパー付きスキー板を使用すること。
  • 規定の保護用ヘルメットを着用すること。
  • コース上で完全に停止してしまった場合、即刻コース外に出ること。例外的にスラロームで次走者の邪魔にならない場合は続行可能。
<旗門>
  • コースには通過すべき旗門が設定される。旗門は赤と青が交代で登場する。
  • 滑降スーパーG大回転は<2本のポール上部を旗でつないだもの>×2で1旗門。回転はポール2本で1旗門だが、1本で1旗門のレースも可能。
  • 選手は2本のスキー板と両足とで、全ての旗門を正しく通過しなければならない。
  • 1本のスキー板が外れてしまった場合でも、旗門を正しく通過し、停止せず、次走者の邪魔にならないのであれば、レースを続行しても良い。
  • 旗門を通過せずに脇を通り過ぎてしまった場合、登りなおして通過することができる。
  • 旗門のポールを両足でまたいでしまった場合は即刻失格。旗門不通過のまま滑り降りてしまった場合も失格。
  • 最後の旗門後に転倒やスキー板が外れるなどあった場合は、歩いてフィニッシュラインを越えても良い。
<スタート>
  • 滑降・スーパー大回転・大回転:スタートエリアでは、出走制限時間の10秒前が選手に告げられる。5秒前からはカウントダウンが始まり、 制限時間到来のタイミングで「ゴー」と声がかかる。制限時間の5秒前~5秒後の出走が認められている。
  • 回転:スタートエリアへ選手が入った段階で、審判から「レディー」「アテンション」と選手に告げられる。 その数秒後に「ゴー」と声がかかる。選手は「ゴー」の声から10秒以内にスタートを切らねばならない。
<タイム計測>
  • タイム計測は、選手の膝下がスタートラインを越えた時点で始まる。
  • 選手がフィニッシュラインを通過し、フィニッシュ判定写真用の光線を横切ったタイミングでフィニッシュタイムが計測される。 少なくとも100分の1単位(0.01)で計測公表されねばならない。

競技説明

ワールドカップ大会

FISワールドカップスキー・アルペン大会は、毎年10月末、氷河スキー場として名高いソルデン(オーストリア)にて開幕する。 11月中旬からフィンランド、さらに北米を経由して、12月中旬から欧州での本格転戦に突入。 その後は3月中旬の最終戦まで、毎週のように熱戦が繰り広げられることになる。

ワールドカップ参加条件

出場枠は各国スキー連盟単位に配分される。

<出場資格>
  • 回転・大回転は、5種目(回転・大回転・スーパーG・滑降・複合)のいずれかでFISポイントが140pt以下であること。また男子の場合は当該種目でのFISポイントランキング150位以内、もしくは5種目のいずれかで30位以内であること。
  • 滑降・スーパーGは当該種目のFISポイントが80pt以下であること。また男子の場合は当該種目でのFISポイントランキング150位以内、もしくは5種目のいずれかで30位以内であること。
  • 複合は使用される高速系種目(滑降かスーパーG)の当該種目のFISポイントが80pt以下であること。また男子の場合は当該種目でのFISポイントランキング150位以内、もしくは5種目のいずれかで30位以内であること。
  • パラレルは5種目のいずれかでFISポイントが140pt以下であること。
<国・連盟別の出場人数>
  • 各国基本枠は1。
  • ワールドカップ・スターティング・リスト(WCSL)の上位60人の国籍に従って追加の各国出場枠が決定される。
  • 1国最大で基本枠1+追加枠(男子7・女子8)をエントリーすることができる。
  • 追加枠を含めた出場枠が6人未満の大会開催国は、最大6選手をエントリーすることができる。
※FISポイントとは
  • 過去13ヶ月のベスト2レースの平均値を表す。
  • 各レースの勝者のフィニッシュタイムと本人のフィニッシュタイムと、種目ごとの固定指数を使用して算出される。
  • 前シーズンの最高成績2つの平均により算出されたベースリストに、当該シーズンの最高2成績を随時反映させていく。

ワールドカップ成績

各大会での成績の他に、シーズンを通しての種目別成績・全種目総合成績・チーム総合成績が争われる。

<各大会>
  • 1本の滑りで決する種目は、1本のタイムで競う。2本の滑りで決する種目は、2本のタイム合計で競う。
  • 各大会の上位30人にはワールドカップポイント100p~1pが与えられる。
<種目別順位>
  • 現行シーズンにおいて獲得された種目別ワールドカップポイントで争う。
  • 種目別首位に立っている選手は、赤いゼッケンをつけてレースに挑む。
  • シーズン最終戦後に種目別首位に立っていた選手にはワールドカップトロフィー「クリスタル・グローブ」が、上位3選手にはメダルが贈られる。
<全種目総合>
  • 現行シーズンにおいて獲得された、全種目のワールドカップポイント総計で争う。
  • シーズン最終戦後には、種目別ワールドカップよりも一回り大きい巨大なクリスタル・グローブが贈られる。また上位3選手にはメダルが贈られる。
<チーム総合成績>
  • 同じ国籍を持つ選手のワールドカップ個人ポイント総計で競われる。男子、女子、男女総合でそれぞれ首位を獲得した国代表チームには、優勝杯が贈られる。

ワールドカップ最終戦

  • シーズンを締めくくるエリートの祭典。男女5種目(DH、SG、GS、SL、TP)が同一会場で開催される。
  • 各種目別ワールドカップランキング上位25選手、ワールドカップポイント総計500p以上獲得した選手、 そして同年開催の五輪・世界選手権・世界ジュニア選手権チャンピオンに出場権が与えられる。交代枠や繰り上がり枠はない。
  • 最終戦に限って、ワールドカップポイントを獲得できるのは上位15選手のみ。

冬季五輪と世界選手権

4年に1度開催される冬季五輪の他に、奇数年(2年に1度)には世界選手権が行われる。

ご視聴方法

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