5月16日でワールドカップ期間、中断前のJ1・12試合が終了した。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)未消化分のある8チームは1試合少ないが、現時点での暫定順位を見ると、清水エスパルスが勝ち点25で首位に立ち、2位が同22の名古屋グランパス、3位が1試合少ないものの同21の鹿島アントラーズとなっている。優勝争いが期待されたガンバ大阪とFC東京は同じ勝ち点14位で11、12位と中位にとどまっている。J1昇格組ではセレッソ大阪が一番上の8位(勝ち点16)で、ベガルタ仙台は同13の14位。湘南ベルマーレは同9で最下位に低迷している。
この順位表を見ると、やはり清水の好調ぶりが目につく。開幕から10試合負けなしで、11節のアルビレックス新潟戦は敗れたものの、前半戦をこの1敗だけで乗り切ったのは大きい。総失点12というのは鹿島、東京に次ぐ少なさだ。今季は昨年日本代表候補に選ばれた岩下敬輔や、2002年日韓ワールドカップ経験者の市川大祐が負傷離脱したが、平岡康裕や辻尾真二らが非常にいいカバーを見せた。センターバックのボスナーも最終ラインに安定感を与えている。そしてGKもベテランの西部洋平が奮闘。失点を減らすのに大いに貢献している。また4-3-3のアンカーという難しい役割をこなす本田拓也の成長も光っている。前線からの連動した守りも見逃せないが、守備陣の進化が序盤戦を支えている。
攻撃の方も小野伸二の加入が非常に大きい。「伸二が入ってチームの核が1つできた。昨年まで兵働(昭弘)が担っていた仕事が分散できた」と長谷川健太監督も前向きに語っており、世界を知るベテランは勝ちきれなかったチームを確実に変えつつある。中断後もこのペースを維持できれば、タイトルも見えてくるかもしれない。そのためにも、終盤に2点を追いつかれた15日のFC東京戦のような詰めの甘さをなくすことだ。
優勝争い参戦を目指しながら、勝ち点を伸ばせなかったFC東京も気になる。今季開幕で横浜F・マリノスを1-0で下して好スタートを切ったかと思いきや、そこから浮き沈みの激しい展開を強いられた。最悪だったのは4月。多摩川クラシコに敗れてからリーグ戦6試合勝ちなしと信じがたい苦戦。結局、前半戦は3勝しかできなかった。
今季の東京に勢いが出てこなかった要因は3つある。1つは梶山陽平、米本拓司の両ボランチの負傷離脱である。攻守の要である2人を欠き、城福浩監督も頭を痛めた。そこで徳永悠平と羽生直剛の2人をボランチに置いたが、ボールが収まらず、攻撃の起点が作れなくなってしまった。徳永はタテにダイナミックに出て行くのが長所なのに、不慣れなポジションを任され、そのよさも失われてしまった。梶山が復帰してからも徳永は本職の右サイドバックとボランチを行ったり来たりしている。城福監督に確固たる狙いがあるのも分かるが、今野泰幸を前に上げるとか、松下年宏や中村北斗をボランチに入れる形にした方が落ち着いたかもしれない。
2つ目が昨季最大の得点源だった石川直宏のブレーキである。昨季の快進撃はナオが15点を挙げたことが大きい。が、昨年終盤の負傷で長期離脱を強いられ、3月の開幕時には本調子に戻っていなかった。本人も「フィニッシュの感覚がちょっと違う」と違和感を口にしていた。今季は12試合終了時点でノーゴールと深刻な状況。中断後には本来の感覚を取り戻してほしい。3つ目が外国人選手の不振である。カボレが昨季途中に中東へ移籍してしまい、今季はリカルジーニョを獲得したが、その助っ人が全く使えなかった。最近になって出場するようになってきたが、得点は依然ゼロ。今季の東京は12試合の総得点12と、大宮アルディージャ、モンテディオ山形に次ぐ少なさ。その問題を解消しなければ、上位浮上はない。
G大阪も予想以上に苦しんだ序盤戦だった。最大の要因はケガ人が続出したこと。山口智、明神智和、橋本英郎、遠藤保仁、ルーカス、チョ・ジェジンとチームの核をなすメンバーが入れ替わるように離脱してしまった。加えて外国人FWのペドロ・ジュニオールが西野朗監督との確執でチームを去り、新助っ人のゼ・カルロスとドドが仕えない。「これではチームが作れない」と指揮官も途方に暮れた時があった。
やはり元日まで天皇杯を全力で戦い、ほとんど調整時間もないまま2月からACLがスタートしたのは大きな負担だった。Jリーグとの過密日程も問題だ。結局、G大阪ら日本勢はACLラウンド16で全チームが敗退してしまった。ゆえに、スケジュールの問題はもっと真剣に考えていくべきだろう。>それでもG大阪はケガの功名もあって、平井将生や宇佐美貴史、大塚翔平ら若手の出番が増え、彼らが大きな自信をつけることができた。平井が7点、宇佐美が2点というのは賞賛に値する。2人とも南アワールドカップ後の日本を担いそうな逸材。この調子で伸びてくれたら面白い。
後半戦の優勝争いは清水、名古屋、鹿島、その下に位置する浦和レッズ、川崎フロンターレらを軸に展開しそうだ。が、頭抜けたチームがないだけに、どこにもまだチャンスはあるだろう。
元川 悦子 05月17日13:56
元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。
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