コラム

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12月14日

【天皇杯】今季4度目の「黄金世代対決」はG大阪に軍配

天皇杯・鹿島対G大阪戦

鹿島アントラーズ対ガンバ大阪戦というのはJ1、天皇杯という大会に関係なく、私の中では非常に楽しみなカードである。鹿島には小笠原満男、本山雅志、中田浩二、曽ヶ端準、新井場徹、G大阪には遠藤保仁、加地亮、橋本英郎、播戸竜二と79年生まれの黄金世代が揃う。10年以上、見続けてきた選手たちの意地と意地とのぶつかり合いは見ごたえ十分だ。

加地亮は「黄金世代対決」について、こんな話をしていた。

「10代の頃から知り尽くしている仲間との対戦はやりやすさ、やりづらさの両方がありますね。消して消されてという繰り返しの中、どこかでミスも出てくる。いかにミスを突くかというのが1つのポイントになりますね。結局のところ、自分のスタイルを90分間やり通した方が勝つ。気持ちで負けたら、その時点でやられる」と。

G大阪は今季、鹿島に3度戦って3度負けていた。最初がFUJI XEROX SUPER CUP 2009。鹿島が老獪な試合運びで序盤から電光石火の2ゴールを奪い、さらに野沢拓也がゴール。前半から3−0とし、試合を決めてしまった。この時は小笠原が左ひざじん帯断裂から復帰しておらず、中田浩二もリハビリ中。加地も負傷欠場していた。

2度目は5月24日のJ1第13節。万博でのゲームだ。長期離脱から復帰した小笠原が出場停止で、代役として中田浩二が今季初先発でピッチに立ち、いきなり決勝ゴールを挙げるという衝撃的な一戦だった。この試合も加地は欠場。新井場もパク・チュホにポジションを奪われてベンチに座るなど、両軍ともに黄金世代の役者は揃わなかった。

3度目となった11月28日の第33節、鹿島での一戦は、出るべき選手が揃ったが、G大阪にとっては屈辱的なゲームになった。前半途中、後半立ち上がりはペドロ・ジュニオールを起点にリズムを作っていたのだが、小笠原の老獪な守備でボールを奪われて興梠慎三に一発を浴びたところで、全ての流れが変わってしまった。終わってみれば5−1の大敗。ゼロックスと同じように守備が崩壊した。守備陣の一翼を担う加地にしてみれば不甲斐なさばかりが残る結果だっただろう。しかもG大阪はこの試合でJ1優勝の道が閉ざされた。その悔しさはチーム全体に色濃く残っていたはずだ。

そんな中、迎えた12日の天皇杯準々決勝。J1第33節は左太もも裏肉離れで欠場した橋本も復帰。黄金世代の面々が全て揃った。この豪華メンバーは滅多に見られないだけに贅沢だった。モチベーション的には当然、G大阪の方が上。このためか、前半からG大阪が小気味いいリズムでゲームを支配した。橋本がリンクマンとして中盤を構成し、遠藤が的確なパスさばきを見せる。彼らは守備の方も抜け目なく行った。鹿島の大きな武器である新井場のオーバーラップを止めるべく、橋本が激しいチェックに行き、加地もカバーに入る。中盤でも遠藤が小笠原、中田浩二と激しくボールを奪いあう場面があった。こういう部分こそ、加地の言う「知り尽くした相手との消すか消されるかの攻防」なのだろう。

G大阪らしいサッカーが随所に見られる中、前半29分に遠藤の電光石火のFKから山崎雅人の先制点が生まれる。「僕はいいボールを蹴るのが仕事。拮抗した展開ではセットプレーがすごく大事になる」と遠藤はいつも通り淡々としたコメントを残したが、彼のキックの精度を象徴する貴重な1点だった。

前半終了間際に田代勇三に1点を返され、後半はやや盛り返されたが、この日はG大阪の勝負強さが光った。後半24分の決勝点がその象徴だ。二川孝広のパスにいい走りを見せた橋本が追いつき、中央に折り返す。これを内田篤人がクリアミスし、山崎が滑り込んでゴール。チョ・ジェジンに代わって先発した彼の2得点でG大阪が勝ち越した。

その後は鹿島の猛攻にさらされたが、今回は守備が乱れなかった。終盤には今季限りで退団が決まっている播戸が橋本に代わって登場。ほんの1〜2分だったが、その雄姿を見せてくれた。「このところ試合に出られへんかったらからモヤモヤしてたけど、今日は少しでもプレーできてよかった」と彼は笑顔を見せた。G大阪は1点のリードを守りきり、今季4回目の対戦をついにモノにした。

試合後のミックスゾーンで新井場と播戸が談笑していた。黄金世代対決の後はいつも選手同士がお互いを称えあう姿が見られる。「ガンバはいいチームだし、いつも紙一重の勝負になる」と中田浩二が強調するのも、ともに戦い続けてきた同世代の実力を肌で実感しているから。こういう勝負は何度見ても興味深い。

来季は播戸が去り、仲間が1人減るものの、鹿島対G大阪という「ナショナルダービー」は続く。知恵と知恵、力と力のぶつかり合いを2010年もまた見せてほしいものだ。

元川 悦子 12月14日19:49


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元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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