コラム

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06月18日

【日本代表】豪州相手に悪夢を繰り返した日本

FW陣の構成を再検討すべき!

気温10度という冬真っ盛りのメルボルンで17日夜に行われた2010年南アフリカワールドカップアジア最終予選のラスト・オーストラリア戦。2006年ドイツ大会で屈辱的な逆転負けを喫している相手だけに、確実に勝って1位通過を決めたいところだった。だがフタを開けてみると、3年前の悪夢の再現を見せつけられる形になった。

前半39分に中村憲剛(川崎)の左CKから、田中マルクス闘莉王(浦和)が絶妙なポジション取りでマークを引き離してヘッドで先制したところまではよかった。最終予選7試合連続無失点の相手の堅守をこじ開けたことで日本のムードは大いに盛り上がった。後半も積極的な姿勢を示そうとしたが、逆に攻めに出たオーストラリアに翻弄される。日本は中盤でタメが作れず、タテへタテへと蹴り出す展開を強いられ、本来の自分たちのスタイルが出せない。そこで主導権を握ったオーストラリアが2度のセットプレーから2得点。それを決めたのも、3年前のカイザースラウテルンで日本を奈落の底に突き落とした日本キラーのケイヒル(エバートン)だった。後半32分、カールの右CKに彼が飛び込んだ時、マークについていた阿部勇樹(浦和)の出足が一歩遅れ、ボールに触ることができなかった。「一番大事な場面で足が一歩出なかった。あそこで触っていたら、入らなかったかもしれないし、当たって入っていたかもしれないけど、とにかく触らなきゃいけなかった」と阿部も悔やむばかり。日本は結局、追いつけないまま、またも苦い逆転負けを喫したのだ。

組織力や連動性はさほどないにしても、オーストラリアは強い当たりと激しさを前面に押し出すチーム。日本は彼らと対戦するといつも肉弾戦を強いられる形になる。最終ラインと中盤が強固な守備ブロックを作ってくるため、日本の玉田圭司(名古屋)や岡崎慎司(清水)ら小兵FWたちはスペースがなく、持ち前のスピードを生かせない。今回は中村俊輔(セルティック)の右FWの位置に入った松井大輔(サンテティエンヌ)も、果敢に1対1の勝負を仕掛けたが、やはり重戦車のような相手につぶされた。さらに、橋本英郎(G大阪)と今野泰幸(FC東京)の両ボランチのところでタメを作れないので、中盤でのパス回しもほとんどない。これでは流れの中からのチャンスを作れるはずがない。正直、今回のメンバーで相手と互角に戦えていたのは闘莉王と中村憲剛だけ。日本の攻撃がオーストラリアのようなフィジカルに優れた相手に脅威を与えないことが、改めて浮き彫りにされてしまったのだ。

オシム監督時代の日本代表には巻誠一郎(千葉)のようなつぶれ役専門のFWがいた。2007年アジアカップ(東南アジア4カ国共催)の準々決勝・オーストラリア戦(ハノイ)の時も、彼が必死にボールを競り合って、そのこぼれ球を高原直泰(浦和)が決めている。その後、岡田ジャパンになってからは、巻のようなタイプは不要と判断され、毎回名を連ねるFWは岡崎や玉田、大久保嘉人(神戸)、田中達也(浦和)といった小柄で俊敏なタイプばかり。それだけではオーストラリアのような強豪には通じないのではないだろうか。

17日の試合の終盤も、岡田監督は矢野貴章(新潟)と興梠慎三(鹿島)を投入して点を取りに行ったが、矢野のポジションは真ん中ではなく右FW。興梠は岡崎と2トップのような状態になっていた。矢野が前線で頑張ってケネディ(カールスルーエ)のようにターゲットマンになれば、まだ興梠や岡崎がフリーになる機会もあっただろうが、矢野を右で使っていたのではそれまでと何も変わらない。相手守備陣もラクに守れたはずだ。

かつて大宮、京都で指揮を執り、日本サッカーのこの10年間を熟知しているオーストラリア代表のピム・ファーベク監督も「ベンチで見ていて、怖いのは闘莉王だけだった。彼はFWのような動きを何度もしていたからだ。だから私は2点目が入った後、カールとマクドナルド(セルティック)を変えて2トップにした。これで闘莉王は最後まで攻撃参加できなくなった。私の戦略は完璧だったと思う」と胸を張った。闘莉王クラスの高さと強さ、ヘディング力を持つ選手はどうしてもFW陣に必要なのだ。

岡田監督は一度、外した選手を呼び戻すのを極端に嫌う。例えば巻なら、今年2月のオーストラリア戦以来、チームに召集されていない。だが、そういう頑なすぎる選手選考は決してチームのためにならない。固定観念を持ちすぎず、使えると思った選手は思い切って呼ぶくらいのリスクを冒さない限り、ワールドカップベスト4どころか、1勝さえ難しいだろう。

いずれにせよ、FW陣の構成見直し、ボランチとセンターバックのバックアップ発掘、攻撃の精度向上など、1年後の南ア本大会までやるべきことは山積みだ。最終予選終盤の3連戦の内容が悪かったことをしっかり認識したうえで、指揮官には勝てるチームがどんなものかを再検討してほしい。

元川 悦子 06月18日18:22


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元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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