2試合ともに、ラグビー史に残る熱戦となった2008-9ハイネケンカップ(Heineken Cup)の準決勝。
1日早く行われたマンスターvs.レンスターのアイルランド勢対決は、下馬評を覆しレンスターが25-6でマンスターの2連覇の夢を砕き、同クラブの最高戦績である決勝進出を果たした。とどめのインターセプトからの独走トライを決めたCTBオドリスコル主将をはじめ、プレーヤーたちの喜びぶりと、会場となったクロークパークスタジアムの素晴らしい雰囲気は忘れることができないだろう。
そしてここまで負けなしの快進撃を続けてきたカーディフ・ブルーズと、ラグビーの母国イングランドの意地を見せたいレスター・タイガースの一戦は、ラグビーという競技のおもしろさのすべてがギュッと詰まった最高のゲームであった。
レスターが26-12とほぼ勝負を決めたかと思われた後半残り20分を切ってから、ブルーズが攻めまくる。たまらずペナルティを繰り返すレスターは、ラストの10分間でふたりのシンビンを出してしまう。それでもしぶとく守るレスターだったが、最後は力尽き、あっという間に2トライを献上。ブルーズのFBブレアが難しい角度からのコンバージョンを決め、延長戦に突入する。
しかし10分ハーフの延長戦でも勝負は決まらず、ハイネケンカップ初の“Shoot Out”によって勝敗を決することとなった。この“Shoot Out”はサッカーのPK合戦とほぼ同じものだが、サッカーと異なり引き分けの少ないラグビーでは滅多に見ることできない。両チーム5人ずつが22メートルライン上からゴールを狙い、5人が蹴り終わった時点で同点の場合はサドンデスで決着をつける、というところもPK合戦と同じだ。
ともに3人が決めた後、レスター4人目のジョン・マーフィーがまず失敗。ところが、決めれば勝利のブルーズ5人目のトム・ジェームスがなんと外してサドンデスへ。
スタンド中のファンが手に汗を握って見守るなか、サドンデス7人目に登場したブルーズFLマーティン・ウィリアムズが引っかけて失敗。これに対しレスター7人目のNo.8ジョルダン・クレインが見事に決めてレスターが辛くも勝利をおさめたのだった。
最後に決めたNo.9クレインのキックは、BKプレーヤー顔負けの美しいキックであったが、最大のヒーローは外せば負け、という土壇場で見事プレッシャーに負けずに決めて、プレーオフに持ち込んだWTBスコット・ハミルトンを推したい。名門クライストチャーチ・ボーイズ高出身、クルセイダーズで活躍した元オールブラックスの肩書は伊達ではない。
さて決勝は5月23日にスコットランドのエディンバラで行われる。
菊地 紀満 05月11日10:20
菊地 紀満
65年東京出身。子供のころからサッカーに勤しむ。都立小石川高時代、隣でがんばっていたラグビー部(元日本代表・慶大主将の若林氏と同級生)に触発されラグビーの虜に。早大4年時に永田組の日本一を目の当たりにし、さらにのめり込む。香港に移った後、中国を中心としたアジアのサッカー事情や香港セブンス、主要スポーツゲームを毎日新聞等にレポート。帰国後も自ら草ラガー(フランカー)としてプレーする毎週末。ブランビーズの大ファン。
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