最近、会う知人、友人から決まってこう聞かれる。「これからシティーは強くなるの?」とか、「アルファヒムって何者?」、はたまた「アブラモビッチよりもお金持ち?」と…。マンチェスター・シティー買収の余波は、当分収まりそうにない。
アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの投資会社、アブダビ・ユナイテッド・グループ(ADUG)による買収額は2億ポンド(約400億円)。しかもこの発表の数時間後、シティーはレアル・マドリード(スペイン)からブラジル代表のFWロビーニョを英国サッカー史上最高額の移籍金、3240万ポンド(約65億円)で獲得した。昨年7月、通信事業で財を成したタイ元首相のタクシン氏がシティーを買収したときも驚いたが、これを凌駕する中東のオイルマネーの大盤振る舞いは、欧州サッカー界に超ド級の衝撃を与えた。
この買収劇で、ADUGの代表者として交渉に深く関わったのが、31歳の青年実業家スライマン・アルファヒム氏だ。この買収劇の翌日から、僕は日本代表のワールドカップ予選取材のため、ドバイ経由でバーレーンへ行ったが、中東の国々でも、いつもこの若き実業家のことが話題にのぼった。だが驚くのは、中東でもアルファヒム氏の存在は、いままでほとんど知られていなかったことだ。
実際、UAEの有力紙「ガルフニュース」などにアルファヒム氏やADUGを紹介する記事が載っていた。これらによると、この31歳の実業家は米国・ワシントンのアメリカン大学で、不動産学で博士号、経営学でMBAを取得。不動産会社の最高責任者で、今年初めにADUGを設立に関わり、同社の役員も兼務しているという。このADUGのオーナーは産油国として知られるアブダビのロイヤルファミリーで、資産額は約100兆円以上だとか。チェルシーのオーナー、アブラモビッチ氏の純資産が2兆円といわれているから、シティーはとてつもない資金力をバックに背負ったことになる。
アルファヒム氏は「来季は欧州チャンピオンズリーグ出場」、「3年以内にシティーをイングランドの4強に入れる」、「さらに最高峰の選手を獲得する」、「目標はシティーをイングランドのみならず世界屈指のクラブにすること」と壮大な計画を掲げる。
昨季、無冠に終わったチェルシーを見れば、採算度外視でお金を湯水のごとく使っても勝てるとは限らない、というのは明々白々なのだが、今回はこれまでの億万長者とは規模が違う。みんな戦々恐々としている、というのが本当のところだ。
原田 公樹 09月15日14:10
原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。blog:http://blog.livedoor.jp/kokiharada/ mail:kokih@btinternet.com
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