動かざること山のごとし──。トッテナム・ホットスパーは、移籍市場を静観している。4500万ポンド(約66億円)でカイル・ウォーカーをマンチェスター・シティに放出したものの、この一件を除くと選手の出入りはない。チェルシーのアントニオ・コンテ監督が、「スパーズには野心が感じられない」といぶかるほど、ノーリアクションが続いている。

「カネを使えばいいというわけではない」

スパーズのダニエル・リーヴィー会長が反撃した。

「われわれは綿密なプランを練り、長中期的な展望に基づいて強化を進めている。新スタジアム建設もその一環だ。しかもアカデミーを信じ、若手を抜擢するマウリシオ・ポチェッティーノというすぐれた監督がいるのだから、慌てる必要などどこにもない」

長中期的な展望に基づく強化、あるいはアカデミーの重要性など、チェルシーの痛いところをついた発言だったために、その後コンテ監督は沈黙した。この夏の強化が思うに任せていない腹いせもあったのだろうが、リーヴィー会長が敵にまわすと怖いタイプであることを痛感したに違いない。移籍ビジネスにおける狡猾さ、汚さでは世界一といって差し支えないレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長ですら、「恐るべきタフネゴシエーター」とスパーズのボスを警戒していた。ルカ・モドリッチとガレス・ベイルを獲得した際に数多くの細かい条件を提示され、閉口したという。

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