2017年のツール・ド・フランスの開幕地、ドイツ・デュッセルドルフには、ヨーロッパでも屈指と言われる日本人街がある。ルール工業地帯の交通の要衝であるこの街には、594社(デュッセルドルフ日本商工会議所より)もの日本企業が進出し、6000人近い日本人が居住する。

サインに応じる新城幸也

それもあってか、第2ステージのスタート地点では多くの日本人を目にした。世界各国でレースを取材し、そのたびに応援に熱を込める日本からのファンを見てきたが、デュッセルドルフに関しては格別多い印象だ。

バーレーン・メリダのチームピット前には、選手の登場を今か今かと待ちわびる日本人ファンの姿が。お目当てはもちろん、われらのエース、新城幸也である。

多くの日本人ファンがスタート前の新城幸也を囲んだ

スタート30分前、新城は満面の笑みでチームバスから降りてきた。すぐさま向かったのは、自らを待ち続けたファンの前。記念撮影やサインに応じ、一人ひとりの熱い思いに耳を傾けた。

スタート地点近くに住む前島信好さんは「ツール・ド・フランスは特別。日本人選手も出場する大きなレースを子供にも見せたかった」と父親の顔を見せる。愛息の惟人くんも「応援をがんばる」と力強く答えてくれた。

話を聞いてみると、新城を囲んだファンがみなデュッセルドルフ在住というわけではなかった。ドイツ各地から、さらにはイギリス・ロンドンからも日本人ファンがデュッセルドルフに集まったのである。“日本人”“ツール・ド・フランス”という共通項で生まれた即席のコミュニティは、初めて会う者同士でも気兼ねなく言葉と心を通わせ合える、優しさとレースへの情熱に満たされた空間だった。

筆者にとっても、思いがけず訪れた出会いは美しいものとなった。次、いつ会えるか分からないけれど、ツール・ド・フランスを愛していれば、きっといつかまた会える。だから、別れの挨拶は「さようなら」にはしなかった。

ツール・ド・フランスを通じて生まれた即席の日本人コミュニティ。そこには優しさとレースへの情熱があった

「行ってきます!」。壮大な旅はまだ始まったばかりだから。

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福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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