今年も6月17〜18日に決勝レースが行われるル・マン24時間耐久レース。今大会で85回を重ねる長い歴史の中で繰り返されたテクノロジーの進化と挑戦の日々が再び激突する。栄冠を手にするのは果たしてどのチームか。ル・マンを知る12人の男達がその深淵な戦いの歴史と魅力を紡ぐ。#07は「ドリフトキング」の愛称でファンに親しまれる土屋圭市が語る(後編)。

ARCHIVE
きっかけは「スティーヴ・マックィーン」/関谷正徳(前編)
マクラーレンで走ったワケ/関谷正徳(後編)
初参戦のオーディション/荒聖治(前編)
総合優勝のポイントとは/荒聖治(後編)
「朝日に相当感動して、涙が出そうなくらいだった」/近藤真彦(前編)
「戦いに行く、それが僕にとってのル・マン」/近藤真彦(後編)
「行った人しかわからない特殊な空気がある」/片山右京(前編)
「ル・マンの魅力は、老後になってからわかる」/片山右京(後編)
「僕はモータースポーツは世の中でいちばん素晴らしいスポーツだと思っている」/高橋国光(前編)
「その『一瞬』の積み重ねが『人生』なんですよ」/高橋国光(後編)
「スティーブ・マックイーンになりきってた」/鈴木亜久里(前編)
「ル・マンでのことは、今だからおもしろいって言える」/鈴木亜久里(後編)
「国さんがいなければ、ル・マンに行けなかった」/土屋圭市(前編)
「ル・マンは、行けるだけで幸せ」/土屋圭市(後編)

「お前、なんともないか? クルマは大丈夫か? タバコ吸うか」

——トヨタTS020では、走行中に突然電気が落ちる経験をしました。
土屋:初年度の1998年のこと。めちゃヤバかったんだよ。だって300km/h超も出てるんだから。あのときはね、夜走っていてストレートで今何キロ出てるんだろってメーターを見たらさ、324km/h出てるんだ。おぉ!速ぇーなぁって思ったら、突然電源が落ちたの。ブレーキをドンって踏んだ瞬間にバッテリーの端子が折れたんだよ(笑)。一瞬にして真っ暗になっちゃった。真っ暗でブレーキングしてシケインに入って行かなきゃいけない。こうなると、もう勘で運転するしかないわけ。「1、2、3…、はいココ!」ってハンドル切ったんだ。そしたらタイヤバリアに斜めの角度でぶつかって止まった。でもこれで良かった。それだけで済んだんだから。とはいえ、怖かったなぁ。クルマのカウルは飛んでしまったしね。でもその時点では、何が起こったかわからない。そこで工具箱と懐中電灯を出して、まずクルマから降りたの。そしたらそこにいたポスト員(マーシャル)のおじいちゃんがやって来て、「お前、なんともないか? クルマは大丈夫か? タバコ吸うか」って聞いてくれたんだ。で、タバコをもらって一服して考えたの。「なんでこうなったのかなぁ」ってね(笑)。

——どうやって修復してピットに帰還したのですか?
土屋:あれこれ考えたんだけど、走行中、突然真っ暗になったんだから、(原因は)電源だと思ったんだ。あちこちみたら、走行中の振動で、助手席のバッテリーの端子が折れてたのがわかった。これで原因がはっきりしたから、直してピットに戻ろうと思ったの。まず、ギアを1速に入れる。それから端子を足で押さえる。でも漏電でビリビリするのを避けるために、グローブを外してぐるぐると端子に巻いて足で押さえる。足の指をぎゅーっと広げてね(笑)。

で、スターターを回したら動き出したんだよ。だからそのまま走ってピットに戻ることができた。だって、あんな真っ暗のところにひとりでいたくないからね!

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