葛西紀明

シーズン後半に好調のまま葛西紀明はきたるシーズンに想いを馳せている

以前どこかに書いた記憶があるが、いま確実にこれだろう。

ノルウェーのトロンハイムW杯に取材で入り、駅前からタクシーに乗った時のことだった。その運転手さんが言う。
『ノリアキ カサイは僕と同じ年なんだ。ほんとうに頑張って飛んでいるからね。いつもは車の中でラジオ中継しか聞けないけど、仕事中、どんなに疲れていても、物凄く励みになる。彼が懸命にジャンプしていると思うとね。カサイは、ほんとうに僕らを元気づけてくれる』
と、嬉しそうに語っていた。それが心にじんわりと響いて、ほかに言葉はいらなかった。

改修前のオールドスタイルなトロンハイムのLHシャンツェで、葛西紀明(土屋ホーム)が歯を食いしばって飛んでいた。それをしっかりと見つめていた伊東大貴(雪印メグミルク)が表彰台に昇り、そんな誇らしい大会だった。

クラフト

W杯個人総合優勝を遂げてついに勢いの波に乗ったクラフト(オ―ストリア)

2月のラハティ世界選手権では、極度の追い風に見舞われた日本チーム。
そこで秘策を講じて一気に攻勢に出ることもできたが、それを良しとはしなかった。
であれば耐える、ひたすらに我慢して。
現場の空気に流されはしなかったが、もしかしたら本当に不調に陥ったのか? いや、そんなはずはないと。雨中のフィニッシュエリアの隅っこで、じっくりと待ち、飛び終えた葛西選手の表情をうかがうと『あっ』と一言、ぱあっとにこやかな笑顔になり。それで、もう確信した。
これで終わるような葛西選手ではないと!

フライングゲームでの、あの会心の飛びを見たかい。
空中では左右のスキーの間から顔が出て、それでにこやかに微笑みを浮かべながら、一瞬ではあるが。

思うに、かつての葛西と一緒だった。
日本選手たたきの第一号と言われた80%ルール変更前のことだ。
それはもう、空中で健やかな微笑みに白い歯をみせて伸びやかにジャンプしていた。 『カミカゼ カサイ』の全盛期だった。

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