『Foot!』Five Stories〜下田恒幸(後編)〜

1991年9月24日宮城県民会館にて『Mr.BIG』と。

『Foot!』で月曜から金曜までそれぞれMCを担当している5人のアナウンサーに、これまでの半生を振り返ってもらいつつ、どういう想いで今の仕事と向き合っているかを語っていただいています。
五者五様の“オリジナルな生き方”を感じて戴ければ幸いです。


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Q:90年の4月に仙台放送へ入社されていますけど、ブランメル仙台ができたのは94年ですよね。

A:94年の秋です。95年の1月にJFL昇格を懸けて戦った地域決勝は現場取材しました。

Q:その時に対戦したチームがどこでしたっけ?

A:1次リーグがNTT九州、ジャトコ。そのリーグを抜けて、決勝ラウンドが横河電機、福島FC、東亜建設工業かな。決勝ラウンドは初戦で東亜建設工業に勝ち、引きこもった福島FCに1点も取れず、0-0からPK戦で負けたんです。最終戦が最強かもしれないと言われていた横河電機で、「これはヤバいかも…」というそのゲームに5-1で勝って、JFLに昇格したんですよ。どちらのラウンドも現場に行っているので、2週に渡って取材して。当時は現場で全部の試合に自分で実況を吹き込んでいたんです。

Q:トレーニングということですか?

A:それもありますし、放送でも使えるようにです。実況の音を生かしたVTRを作った方が、見ている人間を惹き付けるという考えが自分の中にあって、どんなスポーツの取材でも自分が現場に行く時は先輩のディレクターやデスクに、「自分で実況を録ってきて、使えれば使いたいんですけど」という話をして、ほとんどの取材で実況を録っていたんですよ。だから、地決の取材の時も、ハイライト番組のVTRは「ナレーションと実況の音生かしの組み合わせでやりましょう」と。

Q:そうすると地域決勝の取材が、いわゆる『サッカー取材で熱くなった』原体験みたいな感じですか?

A:そうですね。自分の住んでいる街のチームが、当時のJリーグの2部に当たるJFLに上がれるかどうかという大会ですから。でも、一番最初のサッカー取材は宮城インターハイですよ。土橋正樹選手(元浦和)のいた東北学院が、上野良治選手(元横浜FM)の武南にベスト8で勝ってしまい、「マジか!」となった大会です(笑)。 まさか武南に勝つなんて誰も思っていなかったので、準々決勝は取材カメラしか出ていなかったんですよ。当然、準決勝を急遽取材することになり、僕はその日は別の競技の取材が付いていたんですけど、「お前が行け」と。しかも、「音生かしで使うから実況も録ってこい」と(笑)。そこで実況を付けてみたものの、想像以上にサッカー実況って難しくてね。僕はブラジルであれだけサッカー実況を聞いていたから、「絶対にできる」と思っていたのに、上手く行かずにヘコんで帰って来たんですよ。 それで、「一応録ってきましたけど、多分使えないです…」と正直に告白したんですけど、チーフディレクターの方がゲラゲラ笑いながら「粗いけど喋れてるよ。コレ、面白いから使うな」と。この話には意外な続きがあって。翌日は地元の選手が出る他の競技もあったのに、インターハイの番組を仕切っていたプロデューサーに、「明日は宮城県サッカー場な。サッカーの決勝の取材だ」って言われたんですよ。「宮城県勢と関係ないのにそこですか?何でですか?」と聞いたら、「一番良いモノを見てこい」と。

Q:凄い話!

A:アレは大きかったね。「わからないことがあったら“テレしず(テレビ静岡)”の方が来ているから、その方に全部聞け」と。翌日、その“テレしず”の方に「キヨショウ(清水商業)はどこを見れば良いでしょうか?」とお聞きしたら、「うーん、山田と名波を見ればいいかな。10番と7番ね」と(笑) 山田(隆裕・元横浜FM、仙台ほか)が凄いのは僕が見てもすぐわかったんですけど、「名波はどこが凄いんだろうな…」と全然わからなくて(笑) 名波(浩・磐田監督)くんは足が速い訳ではないですし、ドリブルで抜いたりはしないじゃないですか。今だったら何となく良さがわかる気がしますけど、当時は名波くんの良さが全然わからなくてね(笑) そんな感じでインターハイでは一度サッカーに熱くなりましたけど、そこからサッカーの仕事は全然なくて。Jリーグができても仙台にはチームがなかったですし、「ちょっと残念だな」と。ただ、当時はJリーグブームで多くの地方クラブが「Jリーグに入ろう」と思っていた時代なので、PJMフューチャーズが鳥栖に行き、藤枝ブルックスが福岡に行き、各地域がクラブを地元に誘致して、Jリーグのクラブを持とうとする流れがあって。そこで仙台でも東北電力を母体にブランメルを設立して、Jリーグを目指すことになり、ブランメルがJFLに上がれるかどうかの試合を取材に行ったと。今後の自分の仕事にも関わってくる所だったので、熱くはなりましたよね。

Q:その後のベガルタももちろんそうですけど、やっぱりブランメルを取材し続けたことが、今の下田さんにとってものすごく生きている訳ですよね。

A:「生きている」どころではないです(笑) 血であり、骨であり、もっと言うと『すべて』に近いです。例えばブランメルの取材に行けば、どの取材者もブランメルのことは下調べして取材に行くじゃないですか。でも、当時の僕は中継もないのに、JFLに所属している全チームの出場記録を付けて、その情報を持った上で取材に行っていたんです。

Q:メッチャ共感できる!(笑)

A:当時はEXCELなんてなかったので、A3の方眼紙に手書きで。例えばコスモ石油四日市は、中盤に鳥居塚(伸人)、キム・ビョンス(元韓国代表)、ディフェンダーに若松(大樹)とかがいるなと(笑) 対戦相手の分も出場記録を作って、チームの流れを確認して、カメラマンの人に「このチームはこの選手を中心に撮っていこう」と指示したり。そういう準備をして臨んでいたので、相手のことをしっかり知った上で取材していたんですよ。当然選手名鑑も良く読んでいて「こういうキャリアなんだ」と気付いたりとか、そういう作業を細かくやるようなキッカケにはなっていますよね。そういうのが苦じゃないんです。

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