2016年シーズンも残すところあと一ヶ月足らず。シーズンスタート前から、彼が今年どんなシーズンを送るのか、正直少し心配な思いもありながら注目してきた。


♯56武田健吾選手

福岡・自由ヶ丘高校から入団し、今シーズン4年目を迎える外野手。グラウンドでプレーする姿は、同じ福岡出身の新庄剛志さんの現役時代をも彷彿させる躍動感に、見ているこちらも心が躍る。

『去年の秋に行われた(若手主体となる)一軍キャンプに自分の名前がなくて、今まで必死だったけど、それ以上に言葉では表現できないぐらいの危機感でいっぱいでした。今年の春のキャンプもファームスタートで、シーズン始まる前も、チャンスはもらえるのかなとか、遠征に帯同できるのかとか、不安で仕方なかったです。頑張っても頑張ってもシーズン入るまでは怖くて怖くて。』

無理もない。来季に向けて若手を鍛え上げる意味合いが大きい秋季キャンプメンバーに、自分の名前がなかったことは我々が想像する以上に不安であっただろう。故に私も冒頭で述べた『正直少し心配な思い』という感情が生じたのである。

そんな武田の不安を感じた指揮官は、武田の気持ちを読み取りアドバイスを送った。

『田口さん(田口壮ファーム監督)からもっともっと積極的にいかないとダメだぞと言ってもらって。プレーだけでなく、いっぱい色々とバッティングなども工夫したりするように、積極的に考えるようにしました。』

その成果か、シーズン開幕からファームで好調をキープした武田に、さっそく一軍から声がかかる。しかし....。結果が出ずにファームに逆戻り。

『ファームに戻された時に、田口さんからなぜあのカウントから打ちにいかなかったのかと話してもらったんです。確かにバッター有利のカウントでいけなかったなぁと。まだまだ積極性の意識が足りないなと。』

積極性をさらに意識したプレーを続けた武田に、再度一軍から声がかかる。今度こそ!

『今回は積極性をと意気込んでいったんですが、今度は何にでも手を出し過ぎてしまって、打席でのバランスを見失ってしまいました。』

危機感いっぱいで臨んだシーズン、不安から免れたくて、必死に必死に今まで以上に野球に取り組んだ。そして、掴んだ2度の一軍キップを活かせずに、再びファームに戻ることに。

『2回目のファーム行きの時は、心が折れそうになって涙が止まらなかったです。キャンプの時からの思いがあってだったので、野球をやってきたなかで、一番辛くて苦しかった。』

そんな武田にチームの先輩♯31小谷野栄一が前を向かせる。

『もういいやと言うぐらいバットを振ってみろ。もうこれでもダメかと諦めがつくぐらい振り続けてみろ!』

武田は小谷野のこの言葉を信じて、もう一度自分を信じてやろうと無心でバットを振り続けた。

武田健吾という選手はとにかく純情で真面目な男。さらにリアルに表現にすると、不器用なほどに真面目である。彼は優しいから、誰の言葉も素直に吸収する。そこで重要になるのは、その言葉の正誤性でなく、自分にマッチするのか、ミスマッチであるのか。武田は全てが自分にマッチすると信じ、ガムシャラに吸収することをやめなかった。2度目のファーム降格を告げられた時、武田の心のスポンジはもう何を吸収すればいいのかわからないぐらい、いっぱいいっぱいになってしまった。

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