「クラシック」と呼ばれるレースの中では最も距離が短く(196km)、週末の開催でもない(水曜日)。しかし、自転車界でも指折りの難関フィニッシュが、このレースを特別なものにしている。ミュール・ド・ユイ、つまりユイの壁。HUY、HUY、HUYと無限にペイントが施された、全長1.3km、平均勾配9.6%、最大26%のとてつもない激坂。今年もまた、見る側さえ思わず歯を食いしばってしまうような、熾烈なバトルの戦場となる。

そうは言っても、大昔はリエージュ〜バストーニュ〜リエージュとセットで「アルデンヌの週末」と呼ばれ、すなわちフレッシュは週末に行われていた。しかし1965年に「最古参」リエージュからの独立を決意。代わりにベルギーのワロニー地方で伝統的に「半ドンの日」である水曜日に、レース日程は移行された。さらに1983年にユイがフィニッシュ地に選ばれ、あのベルナール・イノーが真っ先に駆け上がると……、一気にクラシック屈指の名物となった!

ミュール・ド・ユイが毎年、とてつもなく面白い勝負を演出してくれるのは間違いない。その一方で、勝負地がぶれることも絶対にない。なにがあろうとも、フレッシュ・ワロンヌとは、全部で3度通過するユイの壁の、3度目で全てが決まるのだ。大逃げ勝利という「事故」が最後に起きたのは2003年。その後の12年間は、いわゆる偉大なるマンネリ状態が続いている。しかも昨大会などは、ゴール前ギリギリ150mまで横一線……というまさかの超激坂スプリントフィニッシュで幕を閉じた。

レースにもっと動きを出そうと、開催委員会だってコース作りに工夫をこらしている。2013年はレース前半にも起伏を組み込んだし、2014年には全部で3回通るユイの通過距離に少し手を入れてみた。昨大会は最終ユイの手前5.5kmに、新たな死客コート・ド・シュラヴを送り込んだ。登坂距離1.3km、平均勾配8.6%、最大勾配15%の激坂では、たしかにティム・ウェレンスが――今年のアムステル・ゴールドレースと同じように――思い切って飛び出した。しかし有力選手達はまるで動かず、様子見に終始するだけ。勝者アレハンドロ・バルベルデに言わせると、「あの坂が集団を小さく絞り込んでくれたおかげで、ユイ突入時の場所取りが楽になった」そうだけれど。

2016年大会に関しては、コースの後半3分の2に、全部で12の坂道が散りばめられた。前述したように、ユイ登坂は全部で3回。そして新たな試みとして、1度目と2度目のユイ通過の直前に、コート・ド・ソリエールが投入された。平均勾配こそ4%と凡庸だけれど、登坂距離が4.3km。それを2回。他の坂の平均距離が1.4kmだから、フレーシュの坂としてはかなり長い。クライマー向けと呼ばれるリエージュでさえ、最長の上りは4.4km(ロジエ)で、しかも登場は1回のみ。するとおそらく、このソリエール坂で、プロトンの後ろ側からじりじりと脱落していく者たちがあらわれるのだろう(というのを開催委員会は期待しているのだろう)。

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フレッシュ・ワロンヌ 4月20日
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 4月24日 ほか
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