パトリック・チャン選手(カナダ)が四回転ジャンプを計3回(ショート1、フリー2)決めて当時のワールドレコードを16.57点押し上げたのが、2011年世界選手権。そこから男子シングルの新時代、鬼・四回転時代が始まりました。同じように、羽生結弦選手の今季のISUグランプリシリーズ・NHK杯とファイナルでの演技が、男子シングルをまた新たなステージへと突入させています。四回転を計5回(ショート2、フリー3)決めた上で、羽生選手の演技構成点(ジャッジの評価点)は満点に近づき、技術点となる各エレメンツの得点も満点で揃えつつあります。エレメンツのGOE(技の出来栄え点)+3の最高評価が「目標」ではなく「基本」となり、「加点を稼ぐ」というこれまでのフィギュアスケートの概念を覆すほど「(満点から)失点のない」演技。これから始まる極・四回転時代の佳境に迎えるピョンチャン五輪では、トップ選手の演技構成点が満点で並ぶ横一線状態で、四回転を計5回以上決めて全てのエレメンツで失点をなくす勝負、パーフェクション(“完全”)への挑戦が予想されます。
……と考えただけで胃がキリキリするピョンチャン五輪男子シングル。折り返し地点となるボストンワールド(世界選手権)での男子日本代表選手の観戦ポイントを、澤田亜紀先生(関西大学アイススケート部コーチ)に解説して頂きました。五輪まで、今から盛り上がりましょう!

澤田(敬称略):澤田亜紀先生
インタビュー(「PP」):Pigeon Post ピジョンポスト 島津愛子

羽生結弦(21)
“完全”への挑戦
チェック項目:ステップのレベル、ジャンプのフォーム、【音楽との調和(matched to the musical structure)】

PP:羽生選手は、四回転を1つ多く構成している若手のネイサン・チェン選手(アメリカ)とボーヤン・ジン選手(中国)の演技構成点の上がり具合と自身の4ループの決定力との兼ね合いを見ながら、来季からは4ループを入れた構成にするかもしれません。

澤田:今練習していますね。

PP:なので、今大会は羽生選手にとって、「四回転計5回の構成でいかに失点をなくすか」試す、ピョンチャン五輪の前にパーフェクションゲームに挑める重要な試合になると思います。そこで、【現状レベル3で失点になっているステップがどうなるか】が今大会で注目されるんですけれども、レベル4にはどの要件が不足していると思われますか?

澤田:レベルは各大会のテクニカルコントローラーの方が判定されます。スピンだと「(ディフィカルトポジションの)ドーナツスピンで2回転」とか誰が見ても分かる物差しになっているんです。でもステップの「体幹に影響を及ぼす動き(全体の1/3以上)」という要件は個々の判定になるので、そこが足りないのかなと。本人は体幹を使っているつもりでも「見た目が簡単」っていう場合もあると思うんですよ。自分がやって大変、だけではなくそれを人にも「大変」と思わせないといけない、という(笑)

PP:あえて「難しい」感じを出さないと(笑)

澤田:ちょっとしたバランスを崩してターンのエッジが正確ではなかった、ということもないとは言えないです。足が疲れていたら踏めなくなってきますし。ステップの判定は見方によるので、専門家以外の方には分かりにくいところだと思います。

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